銀座M84でJ・シーフ展、ファッションとポートレイト

【銀座新聞ニュース=2017年5月21日】Art Gallery M84(中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル5階、03-3248-8454)は5月22日から6月24日までジャンルー・シーフによる写真展「Fashion portrait」を開く。

アートギャラリーエムハッシー(Art Gallery M84)で5月22日から6月24日まで開かれるジャンルー・シーフの写真展「ファッション・ポートレート(Fashion portrait)」に出品される「ファース・オン・ザ・ビーチ(海岸で毛皮を着た女性、Furs on the Beach)」(ハーパーズ・バザー誌、ロンドル、1965年、(C)The Estate of Jeanloup Sieff/G.I.P.Tokyo、税別13万円)。

フランスを代表する写真家、ジャンルー・シーフ(Jeanloup Sieff、1933-2000)の作品を妻のバルバラ・リックス(Barbara Rix)さんが中心になって、未発表作品を整理し、2008年に写真集「レジンディスクリート:フォトグラフィ・イネディット・ドゥ・ジャンルー・シーフ(Lesindiscretes.Photographies inedites de Jeanloup Sieff)」として出版され、同タイトルの写真展が世界を巡回し、日本でも2010年に東京都写真美術館で「アンシーン&ベスト・ワークス(Unseen&Best works)」が開かれている。

今回はジャンルー・シーフの作品を収蔵している写真家の著作権管理、写真展企画制作会社の「ジー・アイ・ピー(G.I.P)」(渋谷区神宮前2-33-8、03-3478-6555)のコレクションから、ジャンルー・シーフの「ファッション・ポートレート」の写真の中から約30点を、希少性の高いゼラチンシルバープリントによるモノクローム作品として展示販売する。

これらの作品について「何故未発表だったのか、後に発表するはずだったのか、選定について作家の領域にどこまで踏み込めるのか、シーフのこだわったプリント表現など知られざる作品の興味はつきない」とし、「ゼラチンシルバープリントの銀塩粒子、バライタ印画紙の絶妙なトーンによる力強い格調高い表現はまさにモノクロ写真芸術」としている。

ジャンルー・シーフは1933年11月30日パリ生まれ、両親はポーランド人で、スイスで写真を学んだ後、1954年にフリーのジャーナリストとして写真撮影 をはじめ、1954年に「マグナムフォト」に参加(1959年まで)、1955年にフランス「エル」誌の写真リポーターとしてデビューし(1958年まで)、世界各地でルポルタージュ写真を撮影し、1959年に「ニエプス賞」を受賞した。

1958年に「決定的瞬間」を求めるアプローチに共感できず、「保存された瞬間(Moments Preserved)」に共感し、1959年にフリーの写真家として、スイスの雑誌「レアリテ」に参加、1959年から1961年まで「ジャルダン・デ・モード」と契約、1961年から1965年までアメリカ・ニューヨークに在住し、アメリカの「ルック」をはじめ、「グラマー」や「エスクァイヤー」、「ハーパス・バザー」などに掲載し、ヨーロッパでも「ヴォーグ」をはじめ、「ツイン」や「クイーン」などと契約し、初めての広告写真「ロジー(Rosy)」を制作した。

1966年にパリに戻り、スタジオを開設、1970年代から1980年代には個人的な作品の方向性を見つけ、モノクロ写真と広角レンズを多用して、立体的な感じの風景、ヌード、ファッションを探求し、透明で乾いたエロチシズムを感じさせる作品で注目された。1972年にリヨンのフランス写真財団委員に任命され、フランス財団(旧名はローマ賞)の審査員、1980年にフランス写真財団理事を辞職し、「旅ジャーナル」シリーズのアートデレクションも辞退した。1984年にイタリア・パレルメでカプチン会修道院のカタコンブを発見、1980 年にシュバリエ芸術文化賞顕彰、1984年にフランスのレジオン・ドヌール・シュバリエ勲章を受賞した。

1990年から1991年にかけて 第2次世界大戦の戦場地ソンムの写真ミッションに参加し、1991年に第1回写真航海巡船プロジェクトの名誉招待作家となり、1992年に第1次世界大戦(1914年から1918年)の戦地、ヴェルダンでの写真レポートを完了し、2000年9月にがんのため活動中に急逝した。1967年に「ノヴァ」掲載ファッション写真がロンドンアート・ディレクターズ・クラブ銀メダル、1980年にシュバリエ芸術文化賞、1984年にフランスのレジョン・ドヌール・シュバリエ勲章、1992年にフランス文化省写真家芸術賞などを受賞した。

開場時間は10時30分から18時30分(最終日は17時)まで。入場料は700円。日曜日は休館。