ノエビア画廊で今森光彦「昆虫」展、写真と切り紙で地球の豊かさ

【銀座新聞ニュース=2017年6月13日】化粧品メーカーのノエビア(東京本社・中央区銀座7-6-15、03-5568-0300)の運営するノエビア銀座ギャラリー(中央区銀座7-6-15、ノエビア銀座本社ビル1階)は6月12日から9月1日まで今森光彦さんによる「写真&ペーパーカット展楽園の昆虫たち」を開いている。

ノエビア銀座ギャラリーで9月1日まで開かれている今森光彦さんの「写真&ペーパーカット展楽園の昆虫たち」のフライヤー。

「里山」をテーマとした作品で知られる写真家の今森光彦(いまもり・みつひこ)さんが、写真とペーパーカット(切り絵、切り紙)で制作した昆虫の作品を展示している。今森光彦さんは熱帯雨林からサバンナまで世界中を取材してまわり、昆虫、哺乳動物、爬虫類など生きものたちとの出会いがあり、ブッシュの中のライオン、アボリジニーの家族と追いかけたカンガルーなどを写真ではなく、ペーパーカット作品でも構成している。

今回は「身近な生命である昆虫を通して、地球という星の豊かさを感じて欲しいというメッセージ」を込めている。

ウイキペディアによると、切り絵は白黒に染め分けた下絵を黒い紙に固定し、不要な部分を切り抜いて絵を作り上げていく絵画の手法のひとつで、白と黒のコントラストの妙や、刃物の切り口による独特の造形が味わい深くとされている。

切り絵は日本では古より神さまの儀式に使われ、今も飛騨高山などでは奈良時代以来と伝えられる伝統的な様式が残っている。その後は染物師が使う染の型紙として発達した。現在、京都友禅の「型友禅」の制作初期工程である「型彫り」の切り絵作家として京都伝統工芸者3代目蓮蔵(れんぞう、山川勝雪=やまかわ・しょうせつ、1944年生まれ)さんがいる。

中国ではお守りであり、上海で行われている伝統的切り紙(きりがみ)は上海で内山書店を経営していた内山完造(うちやま・かんぞう、1885-1959)が日本から伝えたとされている。

今森光彦さんは1954年滋賀県大津市生まれ、近畿大学理工学部土木工学科を卒業、その後、昆虫写真専門の写真家を志し、コマーシャルフォトスタジオに2年間勤務して写真技術を学び、1980年にプロの写真家として自立し、1984年に大津市中心部から20キロほどの棚田や自然が残る仰木地区に活動場所を移した。

1988年に1976年から琵琶湖周辺で撮影してきた写真1700点を収めた写真集「昆虫記」を発表し、1989年6月に、アリ植物セクロピアと、それと共生するアステカアリの生態を描写した組写真「南米のアリ植物」で、平凡社の「アニマ賞」を受賞し、2000年以降NHKスペシャルの里山関係の作品の制作に参加するなど、テレビの動物番組の制作に関わる。

1991年に第10回東川賞新人作家賞、第17回滋賀県文化奨励賞、1994年に第48回毎日出版文化賞、1995年に第20回木村伊兵衛(きむら・いへえ)写真賞、第42回産経児童出版文化賞大賞、第9回大津市文化特別賞、第9回秀明文化賞、2003年に第50回産経児童出版文化賞(2004年、2006年も)、第28回滋賀県文化賞、2007年に第56回小学館児童出版文化賞、2009年に第28回土門拳(どもん・けん)賞などを受賞している。

開場時間は10時から18時(土・日曜日、祝日は17時)まで。入場は無料。