シャネルで荒木経惟「東京」展、ギメ美術館の明治期前後の写真も

【銀座新聞ニュース=2017年6月21日】フランスの総合ファッション企業「シャネル」の日本法人、シャネル株式会社(中央区銀座3-5-3、シャネル銀座ビルディング)は6月22日から7月23日まで4階シャネル・ネクサス・ホールで荒木経惟さんによる写真展「東京墓情 荒木経惟×ギメ東洋美術館」を開く。

6月22日から7月23日までシャネル・ネクサス・ホールで開かれる荒木経惟さんの写真展「東京墓情 荒木経惟×ギメ東洋美術館」に展示される作品(Nobuyoshi Araki,Tombeau Tokyo,2016,gelatin silver print(C)Nobuyoshi Araki Courtesy of Taka Ishii Gallery)。

写真家の荒木経惟(あらき・のぶよし)さんが2016年に東洋美術専門の美術館としてヨーロッパで最大規模のフランス・パリにある「フランス国立ギメ東洋美術館(Musse National des Arts Asiatiques-Guimet)」で個展「アラキ(ARAKI)」を開き、50年間の作家活動を振り返るレトロスペクティブとともに、撮り下ろしの新作「東京墓情」を発表した。

大病を経験して得た「死」への意識を抱きながら、自身の写真家人生を振り返ったもので、今回は、この個展で発表された「東京墓情」を日本で初公開し、同時にギメ東洋美術館が所蔵する写真コレクションの中から、荒木経惟さんが選んだ日本の幕末・明治期の写真作品も展示する。さらに、本展のために撮り下ろした新作も発表する。

ウイキペディアなどによると、荒木経惟さんは1940年東京市下谷区(現東京都台東区)三ノ輪生まれ、千葉大学工学部写真印刷工学科を卒業、電通に宣伝用カメラマンとして入社し、写真部に所属、1964年に写真集「さっちん」で第1回太陽賞を受賞、1971年に電通に勤務していた青木陽子(あおき・ようこ、1947-1990)と結婚し、新婚旅行を写した記念碑的写真集「センチメンタルな旅」を自費出版し、1972年に電通を退社し、フリーとして活動する。

展示されるオーストリアの写真家ライムント・フォン・シュティルフリート男爵(Raimund Freiherr von Stillfried、1839-1911)が撮影した「刺青をした別当」(1877−1880年、鶏卵紙に手彩色)。

1974年に「ワークショップ(WORKSHOP)写真学校」の設立に参加し、1988年に事務所「アート・ルーム(AaT ROOM)」を設立、1990年に「写真論」や「東京物語」で「第2回写真の会」賞(1992年にも受賞)、1990年に亡くなった妻、陽子を撮影した写真集「センチメンタルな旅・冬の旅」を刊行、1999年に織部(おりべ)賞、2008年にオーストリアより科学芸術勲章、2011年に安吾(あんご)賞、2013年に毎日芸術賞特別賞を受賞している。また、同年末に前立腺がんによる網膜中心動脈閉塞症のため右目を失明し、2014年にポジフィルムの右部分を黒マジックで塗りつぶした新シリーズ「左眼ノ恋」を発表している。

1970年代より、被写体である女性との極めて親密な関係性を写した写真作品や、妖艶な花々、緊縛ヌード、空景、食事、東京の街、飼い猫など、さまざまな被写体からエロスとタナトス(Thanatos、ギリシア神話の死神)が漂う独特の写真世界を確立した。

ギメ東洋美術館はパリにある東洋美術を専門とする美術館で、化学産業で財を成した実業家エミール・ギメ(Emile Etienne Guimet、1836-1918)が当初は比較宗教の美術館を設立しようと考えていたが、1879年に日本や中国、インドなどで収集した美術品や遺物をもとに、リヨンに設立した。

エミール・ギメは1876年のフィラデルフィア万国博覧会で、画家でイラストレーターのフランス人のフェリックス・レガメ(Felix Regamey、1844-1907)と出会い、フランスの文部省から極東の宗教調査を依頼されたエミール・ギメとともに、フェリックス・レガメも記録画家として開国後まもない日本に1876年8月から1877年1月ころまで滞在した。2人は通訳とともに日本の大きな仏閣をたずねて回り、その後、中国、インドを経て1877年3月頃に帰国した。

ギメの設立した美術館は来館者があまり多くなく、1889年にパリに移設し、1929年に国立美術館となった。1945年にギメ美術館の古代エジプトなどのコレクションがルーヴル美術館に移管され、代わりにルーヴル美術館の東洋部のコレクション全体がギメ美術館に移され、以来、ルーヴル美術館の東洋部門に位置付けられ、彫刻、絵画、装飾品など約4万5000点が収蔵されている。

写真コレクションには幕末から明治・大正期に日本で撮影された作品も多数含まれている。また、フランスの植民地であったカンボジアのクメール遺跡、アンコール・ワットの石造彫像、日本の浮世絵、インドの絹織物などアジア1000年の美術コレクションで知られる。2013年にソフィ・マカリウ(Sophie Makariou)さんが館長に就任している。

開場時間は12時から20時、入場は無料。期間中、無休。