M84で降旗良房が初個展、「水の表面と底流」

【銀座新聞ニュース=2017年6月23日】Art Gallery M84(中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル、03-3248-8454)は6月26日から7月8日まで降旗良房さんによる「surface undercurrent」を開く。

アート・ギャラリー・エムハッシー(Art Gallery M84)で6月26日から7月8日まで開かれる「表層から底流まで(サーフェイス・アンダーカレント、surface undercurrent)」に出品される「アクア・サーフェイス(#Aqua #Surface)#160606」(2016年、(C)amisu、価格は税別5万円)。

アート・ギャラリー・エムハッシー(Art Gallery M84)では毎年2回程度開いてきた一般公募展で、5回連続出品し、いずれも作品が売れている写真家が降旗良房(ふりはた・よしふさ)さんで、今回、「表層から底流まで(surface undercurrent)」と題して初めて個展を開き、およそ30点を展示する。

アート・ギャラリー・エムハッシーのオーナーの橋本正則(はしもと・まさのり)さんは「光を捉(とら)え、刻々と変化をみせる水面に心を奪われ、これを撮り続けるうちに、絶え間なく変化するその奥底にもさまざまな表情が見える瞬間を見つけて撮影した作品」であり、「何をどうやって撮影したのかよく判らない写真も多いが、その表現に惹かれる」人も多いとしている。

降旗良房さんは「幼い頃、公園の遊具に巻き込まれ、瀕死(ひんし)の重傷を負った」ことがある。「周囲には沢山の大人がいたが、その手はひとつも差し伸べられることはな」く、「砂場に横たわった私にはもう一つ大きな変化が起こっていた。それは幽体離脱だったのか。砂場は突如、積層の連なる階層となり、自分が己の体を俯瞰(ふかん)しながらこの階層へ深く落ちていく感覚。気づくと暗い井戸の底のような空間に横たわっている自分を見下ろす自分」がいたという。

「医師は瞳孔が半分開いた状態だったと。後年、父が一度だけ漏らした。あの時、一目見た瞬間、あぁ、こいつはもうダメだ」と思った。「この経験が内なる自分に新たな視点をもたらしていたことに気づいた。(略)表層の裏側に全く異なる様相を潜ませ、階層深く幾重にも積み重ねられたさまざまな表情。これを一層丹念に探し続けたい。そしてこれを表現したい」との思いで作品を制作している。

降旗良房さんは1963年東京都生まれ、1977年に中学を卒業、在学時は写真部部長を務め、その後、写真から離れ、2011年に東日本大震災を契機に写真活動を再開し、2012年に写真家の渡部(わたなべ)さとるさんの「ワークショップ(Workshop)2B」に参加した。

現在は8×10などの大判カメラや防水カメラによる撮影と作品を制作、サイアノタイプやプラチナパラジウム、ソルトなどのオルタナティブプリントなども取り入れた表現方法を模索している。2016年に「アートの競演2016文月」でM84賞(買い上げ賞)、2017年1月に「アートの競演2017睦月」でG.I.P.Tokyo賞を受賞している。

3日18時からレセプションパーティーを開く。

開場時間は10時30分から18時30分(最終日は17時)。入場は無料。日曜日は休み。作品はすべて販売する。1点5万円(税別)。