松屋で中村征夫が沖縄、三陸や世界の海の生き物展、トークも

【銀座新聞ニュース=2017年8月7日】中村征夫写真展実行委員会(事務局・クレヴィス・渋谷区渋谷1-1-11、青山SIビル、03-6427-2806)は8月9日から21日まで松屋銀座(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)8階イベントスクエアで、中村征夫さんによる新作写真展「永遠の海」を開く。

8月9日から21日まで松屋銀座で開かれる中村征夫さんの新作写真展「永遠の海」に展示されるサイパンの海の生き物((C)IKUO NAKAMURA)。

水中写真家の中村征夫(なかむら・いくお)さんがパラオ、沖縄で撮影した最新作を中心に、世界の海を旅して記録した中から約120点を展示する。「透明度の高いミクロネシア、世界に誇る沖縄のサンゴ、震災からよみがえる三陸海岸の海、水深1300メートルの深海の世界、鮮やかな紅海」など、撮り下ろしや未発表作品も紹介する。

会場は5部構成で、第1章が「ミクロネシア-海の王国」で、2017年2月に撮り下ろしたパラオの海を中心に、ジープ島、マーシャル諸島、グアムの海で撮影し、火山と隆起サンゴ礁によってできた島々の透明度の高い海景とそこに生きるものたちを見られる。

第2章が「沖縄-サンゴ礁の森」で、中村征夫さんがもっとも長く変化を見つめてきた沖縄のサンゴ礁の海を2017年4月に撮り下ろした作品を中心に構成されている。

第3章が「三陸海岸-よみがえる海」で、2011年の東日本大震災による津波で、未曾有の大被害を受けた三陸地方ではカキやワカメの養殖などが一時壊滅状態に陥ったが、中村征夫さんは、よみがえりつつある海で次々と産卵する生きものを撮影し、再生する海の力を捉えたドキュメントを紹介する。

第4章が「深海-水深1300メートルの生命」で、2017年4月16日に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船「しんかい6500」に乗船して中村征夫さんは往復7時間に及ぶ深海への旅に挑み、駿河湾戸田海底谷の深海を撮り下ろし、そこには見たこともない不思議な生きものが息づいており、それらの姿を披露する。

第5章が「永遠の海-虹色の光彩」で、紅海、カリブ海、ガラパゴス諸島、ハワイ、オーストラリア、マレーシア、モルディブ諸島、パプアニューギニア、小笠原諸島など世界の海を旅し記録してきた中から、美しい海景とそこに棲む生きものたちの姿を展示することで、「改めて海の自然の多様性、命の豊かさに気づかされ」(実行委員会)るとしている。

中村征夫さんは1945年秋田県昭和町(現潟上市)生まれ、秋田市立高校(現秋田県立秋田中央高校)を卒業、19歳のとき神奈川県真鶴岬にて独学で水中写真をはじめ、撮影プロダクションを経て、31歳でフリーで活動し、1977年に東京湾に初めて潜り、以降ライフワークとして取り組む。

1993年に取材先の奥尻島で北海道南西沖地震に遭遇、避難に成功し、九死に一生を得、機材のすべてを流され、裸足で避難したものの、唯一持っていたモーターマリンで災害直後の奥尻島の惨状を撮影し、その写真が共同通信社から世界中に配信され、世界中の新聞に掲載された。

また、石垣島白保地区でのアオサンゴ大群落を、モノクロ写真で撮影した写真(写真集「白保 SHIRAHO」に収録)により、白保地区に海底を埋め立てて建設予定だった石垣島新空港計画が白紙撤回された。2009年に秋田県潟上市に「フォトギャラリーブルーホール」を開設している。

1988年に第13回木村伊兵衛(きむら・いへえ)写真賞、1994年に通産省’94ビデオ部門映像特別賞、第9回文化庁芸術作品賞、1996年に第12回東川写真賞特別賞、1997年に第28回講談社出版文化賞写真賞、2007年に日本写真協会年度賞、第26回土門拳(どもん・けん)賞などを受賞している。

12日と13日の14時から銀座フェニックスプラザ(中央区銀座3-9-11、紙パルプ会館)3階会議室で中村征夫さんによるトークイベントとサイン会を開く。

開場時間は10時から20時。入場料は一般800円(前売600円)、高校生600円(500円)、小・中学生400円(300円)。トークイベントは1000円で、ヤフーパスマーケットを通じて購入する。サイン会は、会場で販売する展覧会公式図録のみが対象。