中央の百貨店、8月も高島屋減、他はプラス、秋物と観光客が奏功

【銀座新聞ニュース=2017年9月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の8月売上高(速報値、店頭ベース)は7月に続いて大丸東京店、日本橋三越、銀座三越、松屋銀座店がプラスだったが、日本橋高島屋のみがマイナスだった。

8月もプラスで大丸東京店は12カ月続けて前年実績を上回った。

8月は「例年と比較し、気温が低い日が続き、ジャケットなど秋物衣料に動きが見られた」(高島屋)ことや、「夏休みを利用して来店したお客の売り上げ好調が際立ち、首都圏で最高気温が30度を下回る日が続いた中で、秋物アイテムの先行提案が功を奏し、婦人、紳士衣料品ともに堅調な動きを見せた」(三越伊勢丹ホールディングス)と秋物の動きが活発化している。

日本橋高島屋は3月から休業日を設定した影響などもあり、マイナスになったとしている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比5.4%増(7月速報値1.9%増、確定値6.3%減の153億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは5カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同17.9%増(同速報値7.8%増、確定値7.8%増の80億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と5カ月続けてプラスだった。

8月は夏休み利用客と秋物アイテムが堅調な動きを見せているほか、前年大きく実績を落とした基幹店の訪日外国人観光客需要(免税売り上げ、インバウンド)売り上げが回復し、売り上げ伸長率で7月を超える勢いを示し、売上額でも2015年並みの水準に戻ったとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同5.8%減(同速報値1.4%減、確定値0.7%増)と2カ月続けて前年を下回った。17店舗ベースの商品別では、婦人服、リビング用品などが前年を下回ったが、一方で、特選衣料雑貨、宝飾品などの高額品をはじめ、化粧品を中心に好調な婦人雑貨が前年実績を上回り、紳士服、紳士雑貨、子ども服ホビー、食料品もプラスとなった。訪日外国人観光客需要は前年比54.7%増だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同9.3%増(同速報値3.4%、確定値3.6%増)と12カ月続けてプラスとなった。

15店舗ベースでは、8月の百貨店事業の売上高は、秋物婦人ファッションの立ち上がりの動きが鈍かったものの、紳士服飾、食品が堅調に推移したほか、化粧品、ラグジュアリーブランド、美術宝飾品が大きく売り上げを伸ばした。また、免税売上高は前年比83%増(客数が同54%増、客単価同19%増)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、7月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」などの家賃収入は159.6%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同10.9%増(同速報値7.1%増、確定値7.1%増)と2カ月続けて前年を上回った。銀座店は、婦人、紳士衣料品では秋物新作を始めとしたプロパー商品などの動きが堅調で、衣料品全体でも好調に推移した。

また、7月に引き続き訪日外国人観光客需要も、化粧品、ラグジュアリーブランド、時計などが全体を牽引し、売上高を大きく伸ばした。食品部門では、気温による影響もあり、野菜、果物が不調も、惣菜、菓子、和洋酒が好調に推移した。

日本百貨店協会によると、国内93店舗の7月の訪日外国人観光客需要の免税売上高(総売上高)は前年同月比54.9%増の227億6000万円で、8カ月連続のプラスとなった。

このうち、一般物品売上高は同34.3%増の139億8000万円で、5カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同105.1%増の87億8000万円、購買客数が同32.2%増の約35万7000人と2013年2月から54カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同17.2%増の6万4000円で、3カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(12月から6月まで1位)、2位には婦人服飾雑貨(12月3位、1月2位、2月、3月3位、4月2位、5月2位、6月3位)が再びランクを上げ、3位にはハイエンドブランド(12月2位、1月、2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位)にダウンした。4位の食品(12月4位、1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位)、5位の婦人服(4月は6位以下、5月と6月5位)は前月と同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(12月から6月まで1位)、2位が香港(12月から6月まで2位)、3位が台湾(12月から6月まで3位)、4位が韓国(12月から6月まで4位)、5位がタイ(12月6位、1月から5月まで5位)、6位がシンガポール(12月5位、1月から6月まで6位)、7位がマレーシア(12月から6月まで7位)で、4カ月続けて同じだった。