日本橋三越で伝統工芸展、総裁賞奥井美奈ら620点、二塚長生らトーク

【銀座新聞ニュース=2017年9月21日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は9月20日から10月2日まで本館、新館の7階ギャラリーで「第64回日本伝統工芸展」を開いている。

日本橋三越で10月2日まで開かれている「第64回日本伝統工芸展」に展示されている日本工芸会総裁賞を受賞した奥井美奈さんの乾漆箱「流れる」。

「日本伝統工芸展」は文化庁(千代田区霞が関3-2-2、03-5253-4111)、東京都教育委員会(新宿区西新宿2-8-1)、日本放送協会(NHK、渋谷区神南2-2、0570-066-066)、公益社団法人「日本工芸会」(台東区上野公園13-9、03-3828-9789)、朝日新聞社(中央区築地5-3-2、03-3545-0131)が共催している国内最大級の公募展で、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸(ガラス、七宝など)7部門の重要無形文化財保持者の最新作と一般公募作品より選ばれた入選作約620点を展示している。

第64回日本伝統工芸展は応募1533点(2016年1551点)から入選620点(2016年627点)を選び、8月30日に入賞作品16点を決めた。9月20日からの日本橋三越を皮切りに全国12会場で展示される。

最優秀の日本工芸会総裁賞は奥井美奈(おくい・みな)さんの乾漆箱(かんうるしばこ)「流れる」が選ばれた。高松宮記念賞は山下郁子(やました・いくこ)さんの半紗織着物(はんしゃおりきもの)「春の川」、文部科学大臣賞が安達征良(あだち・まさお)さんの硝子絹糸紋平鉢(がらすきぬいともんひらばち)「一雫」。

同じく展示されている日本工芸会奨励賞を受賞した小嶋香代子さんの 桐塑紙貼「家路」。

東京都知事賞は和田的(わだ・あきら)さんの白器(はっき)「ダイ/台」、NHK会長賞が高月国光(たかつき・くにみつ)さんの「欅造鉢(けやきつくりばち)」、朝日新聞社賞が河野祥篁(かわの・しょうこう)さんの透網代花籠(すかしあじろはなかご)「清閑(せいかん)」、日本工芸会会長賞が宇佐美成治(うさみ・せいじ)さんの「彩泥線紋大鉢(さいでいせんもんおおばち)」。

日本工芸会保持者賞が角谷勇治(かくたに・ゆうじ)さんの「芦辺姥口釜(あしべうばぐちがま)」、日本工芸会奨励賞が小宮康義(こみや・やすよし)さんの江戸小紋着尺(えどこもんきじゃく)「トランプ」、大角裕二(おおかど・ゆうじ)さんの蒔絵六角箱「瀑布(ばくふ)」、小嶋香代子(こじま・かよこ)さんの桐塑紙貼(とうそかみばり)「家路」、村瀬克美(むらせ・かつみ)さんの桐塑布紙貼(とうそぬのかみばり)「角笛(つのぶえ)」、日枝陽一(ひえだ・よういち)さんの「楕円硯(だえんけん)」の5点。

日本工芸会新人賞が神垣夏子(かみがき・なつこ)さんの籃胎蒟醤箱(らんたいきんまばこ)「川霧」をはじめ3人が選ばれた。

さらに、 陶芸の重要無形文化財保持者(人間国宝)では、鈴木蔵(すずき・おさむ、1934年生まれ)さんの志野茶碗、井上万二(いのうえ・まんじ、1929年生まれ)さんの白磁花形地紋鉢(はくじはながたじもんはち)、吉田美統(よした・みのり、1932年生まれ)さんの釉裏金彩花鳥文九角皿(ゆうりきんさいかちょうもんきゅうかくさら)、伊藤赤水(いとう・せきすい、1941年生まれ)さんの無名異練上花紋五角壺(むみょういねりあげかもんごかくつぼ)。

伊勢崎淳(いせざき・じゅん、1936年生まれ)さんの備前黒花器(びぜんくろかき)、原清(はら・きよし、1936年生まれ)さんの「鉄釉柏に鳥文壺(てつゆうかしわにとりもんつぼ」、中島宏(なかしま・ひろし、1941年生まれ)さんの「青じ彫文壺(せいじちょうもんつぼ)」、加藤孝造(かとう・こうぞう、1935年生まれ)さんの「瀬戸黒茶わん(せとくろちゃわん)」。

前田昭博(まえた・あきひろ、1954年生まれ)さんの「白じ面取壺(はくじめんとりつぼ)」、14代今泉今右衛門(いまいずみ・いまえもん、1962年生まれ)さんの「色絵雪花墨色墨はじき利休梅文鉢(いろえせっかすみいろすみはじきりきゅうばいもんはち)」など。

「日本伝統工芸展」は1954年から年1回毎年開いている、文化財保護法の改正(1954年)に沿って、工芸技術を保護育成するために開かれている日本で最大規模の公募展で、1955年に設立された日本工芸会は、現在、重要無形文化財保持者(人間国宝)を中心に伝統工芸作家、技術者などで組織する団体だ。工芸分野重要無形文化財保持者59人中、日本刀、手漉和紙などの分野を除く48人を含めて正会員が約1300人が所属している。2011年に公益社団法人化されている。

期間中、会場で12時30分からギャラリートークが開かれる。

22日は染織の重要無形文化財保持者、二塚長生(ふたつか・おさお)さん、25日は漆芸の重要無形文化財保持者、室瀬和美(むろせ・かずみ)さん、26日は金工で重要無形文化財保持者の大角幸枝(おおすみ・ゆきえ)さん。

27日は木竹工作家で金沢美術工芸大学教授の山崎剛(やまざき・つよし)さん、28日は人形作家の紺谷力(こんたに・つとむ)さん、29日はガラス工芸作家で、1992年まで保谷硝子(現HOYA)に勤めた白幡明(しらはた・あきら)さんが出演する。

23日と24日は12時30分から第64回の受賞者が作品を解説する予定。
23日は日本工芸会総裁賞の奥井美奈さん、東京都知事賞の和田的さん。
24日は文部科学大臣賞の安達征良さん、日本工芸会奨励賞の小宮康義さん、小嶋香代子さんが出演する。

営業時間は10時30分から19時30分まで。入場は無料。

注:「高月国光」の「高」と「国」、「鈴木蔵」の「蔵」、「井上万二」の「万」は正しくは旧漢字です。名前などは原則として現代漢字(常用漢字)を使用しています。

注:「青じ彫文壺」と「白じ面取壺」の「じ」はいずれも上に「次」、下に「瓦」を合わせた漢字です。「瀬戸黒茶わん」の「わん」は上に「苑」の草冠をはずした漢字と下に「皿」を合わせた漢字です。

注:「伊勢崎淳」の「崎」は正しくは右の「大」が「立」です。