インド、3カ月緩んで感染再拡大、冠婚葬祭も再び規制強化(63)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2021年4月6日】既にお伝えした通り、インド西部の感染再拡大は最速で進んでおり、ワーストのマハラシュトラ州(Maharashtra、人口1億1420万人)は、3月28日現在の統計で、新規感染者数が3万5726人(累計267万人、死者5万4073人)、州都の金融ハブ、ムンバイ(Mumbai)はパンデミック(世界的流行)始まって以来最多の新規数、5500人超を記録した。

挙式御用達のホテルのエントランスは、垂れ幕で飾られ、夜はきらびやかにライトアップされる。パンデミック下も、需要は衰えず。

インド全土の新規感染者数は、6万2714人(累計1200万人、死者16万2000人)と、昨年10月の水準に戻り、今後の急速な拡大が懸念される。第2波の方がひどくなることは推定済みで、この調子で行くと、来月半ばには、昨年9月のピーク数を超えて、10万人以上に達してしまうかもしれない。

何せ、インドとの人口比4分の1のアメリカの最多が1日30万人、である。欧米に比べ、回復率も高く、致死率も低いので、何とか規制強化とワクチン促進(既に70日で5690万回)で持ちこたえて欲しいものだが、予測がつかない。

さて、第3波中で2位の南部ケララ州(Kerala)は、新規2055人でピークの半分に減少したが(累計112万人、死者4567人)、3位以下カルナータカ(Karnataka、新規2886人、累計98万4000人)、アンドラプラデシュ(Andhra Pradesh、新規947人、累計89万8000人)、タミルナドゥ(Tamil Nadu、新規2089人、累計87万7000人)と、収まっていたのがじわじわぶり返している。

6位の首都デリー(Delhi)も新規1558人(累計65万6000人)と増加気味、9位の当オディシャ州(Odisha)も、2桁台から、ここ数日で210人と3倍増(累計34万人、死者1920人)、当州は、99.25%の回復率を誇り、さる3月22日ロックダウン(都市封鎖)1周年を迎えたときには、抑制に成功した業績が英字紙で特集され、讃えられたばかりだった。

スクール関係クラスターが主で、州都ブバネシュワール(Bhubaneswar)、旧州都カタック(Kathak)を中心に新規感染者数がじわじわと増え続けている。

フルムーン下の壮麗なベンガル海。

それでも、今のところ200人台で、北隣の西ベンガル州(West Bengal、現在、州議選中で集会が連日)の812人よりずっと少ないが(累計58万4000人)、予断を許さない。

他に新規感染者数が著しく増えている州に、パンジャブ(Punjab、新規2505人、累計22万9000人)、チャティスガール(Chhattisgarh、新規3162人、累計33万8000人)、グジャラート(Gujarat、新規2276人、累計29万9000人)、マドゥヤプラデシュ(Madhya Pradesh、新規2142人、累計28万6000人)がある。

さて、急拡大と変異株の関連性だが、最近まで否定されてきたのが、一転、調査でマハラシュトラ州に二重変異株が見つかったことで、日本の水際対策強化国に新たにインドがリストアップされてしまった。

時間の問題とは思っていたが、個人的にやはりがくりときた。強化対象であるにしろ、ないにせよ、海外からの入国にあたっては、72時間前の陰性証明が必須なので、対応は変わらないと思いたいが、日本の空港に着いてみないと、リストアップされていない国々との違いはわからない。

とにかく、ワクチン開始後3カ月緩みっぱなしだったから、2波の引き金になるであろうことは容易に想像できたが、9月末でピークを迎え、以後半年は収束に向かっていたので、思ったより長い期間安心して過ごせた。このまま推移してくれ、せめて当州だけは第2波を免れてほしいと、虫がいいことを思っていたが、当たり前というか、そうはいかなかったようだ。

先が見えない戦争再開で、当地もマスク派がちらほら再出現しだした。29日は春の収穫祭ホーリー(Holi)、色水かけ祭りだが、全インド的に禁止、当州は、冠婚葬祭の500人まで許可していた人数を、結婚式は200人、葬儀は50人までと、再規制強化に乗り出した。

マスク着用やソーシャルディスタンス遵守を戒めるパトロールカーも、サイレンを鳴らしながらちらほら再出動の昨今である。

〇コロナ余話/ワクチンは殺人兵器?

我が母郷の福井県議、斎藤新緑さん(64歳、自民党所属)が、新型コロナウイルスのワクチンについて、穏やかならぬ発言をしている。Yahooニュースのみならず、週刊文春にも取り上げられたようで、その趣旨はワクチンは遺伝子組み換えで人口削減のためのもの、打てば5年以内に死ぬというものだ。

ネットで流布されている陰謀論と説自体は変わらないが、現職の重鎮議員が同見解をまとめた文書(ほっとらいん)を支援者らに配布していたという事実に驚かされた。

毒まんじゅうとわかっていて、政治家として黙っていられなかった、看護師が打っているというので、早く書かねばと思ったということらしい。

県会自民党は厳重注意したそうだが、有権者の命を守るためと本人は弁明、ワクチンは強制でないので、各自が危険性を充分吟味した上で決めてほしいと応じたとか。

ワクチンに懐疑的な人は、インドにもたくさんいる。かくいう私もそのひとりだ。開発が早すぎたことと、副作用への懸念からだが、アレルギー体質気味なので、できれば打ちたくない。インドの強い抗生物質に苦しめられた口でもあるし、田舎町の医療設備がお粗末なので、感染リスクも危惧される。

日本の医療関係者にも、懐疑派がいて、モルモットにされていると、中には拒絶する人もいると聞いた。ネットでは、ワクチンの断り方の事例文まで出回っている。

あなたは、肯定派、それとも、否定派?

〇極私的動画レビュー/孤独な中年の日常、ミリオン超の不思議

何気ない日常を自撮り、動画で公表してミリオン超の視聴数を易々と獲得している手合いがいて、なんでこれがと不思議に思ったので、私なりに解析してみたい。

そもそも、この種の動画を見るようになったのは、海外在住者の我が家の食卓風景並びに家族(外国人夫と混血児)がテーマのものに、同じ境遇として、興味をそそられたからであった。

イタリアやスペイン、アメリカに暮らす在住日本人の生活動画を追ううちに、日本国内で独り暮らしの60代から70代女性が手の混んだ料理を作る、丁寧な暮らし風動画に行き着いた。視聴数は10万回前後(顔は出しているのも、出さないものも。音声も入れているのや、テロップだけのものも)。

凝ったお菜のみならず、手作りお菓子やケーキまで、玄人はだしの料理の腕前には舌を巻かせられたが、意外なことには、まるで正反対のずぼら主婦、めんどくさい、料理作りたくない動画がミリオン超を易きに獲得していることだった。

確かに、大方の女性は「丁寧でない暮らし」の方に共感するし、仕事から帰って絨毯に大の字にのさばる絵は、ユーモラスでずっと庶民受けする。

歳をとって独りになっても、手を抜かずに見た目も美しい料理を作るって、真似ができないだけに、素晴らしいし、暮らしを大事にしている生き方は尊敬に値するけど、これって少数派だよな。フツーの人はそんなに完璧にできません。

ミリオン超は、共感の数だと思う。男性版もあって、お勧めは、やっちゃんねる。46歳のバツイチ、派遣社員の日常だが、2ミリオン超えって、この異常な人気、何?

給料日に刺身3パックとコメ2キロ買って、ノンアルビールを飲みながら、舌鼓を打った後、風呂とトイレ、筋トレをして、映画と剣豪シリーズ読んで寝るだけの動画がなぜ?

理由は、簡単明快。やっちゃんが渋いイケメンなんである。なんか最初見たときから、ハンサムだと思ったけど。初見動画は、車の中で兄が精神障害者だと告白する重い内容だったけど、46歳バツイチ派遣の惨めったらしさがなく、車も持っているし、ルックスもいいという印象だけが残った。2度目に別の日常動画を見て、我が第一印象は、間違っていなかったことを確認、コメントで実に多くの人がイケオジと評していたからだ。

土台、自信がないと、シャワーや風呂で上半身裸を露呈できないよなあ。筋トレで鍛えているだけあって、ナイスバディ、エロいというコメントもあったけど、この人は確信犯のナルシスト。きっと、女性ファンが多いと思う。46歳バツイチ孤独な派遣と自称しているイメージを裏切るようなスマートさ、結構独りの充実を、予算の範囲内で満喫している。

コメントに、ゴミ袋が石川県のものとあった。動画中のイオン、加賀温泉駅にあったけど、あの辺かしら。片山津温泉まだ行ってないし、偶然お見かけするチャンスもあるかしら。イケメン顔割れているし、石川出身とバレてしまったので、これからストーカーファン増えるかも。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は2020年3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

2021年3月29日現在、世界の感染者数は1億2718万5164人、死亡者数が278万3800人、回復者が6789万5983人です。インドは感染者数が1203万9644人、死亡者数が16万1843人、回復者が1135万5993人、アメリカ、ブラジルに次いで3位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は3026万2377人、死亡者数が54万9335人(回復者は未公表)、ブラジルの感染者数は1253万4688人、死亡者数が32万2206人、回復者数が1100万4281人です。日本は感染者数が47万0945人、死亡者数が9107人、回復者が44万3028人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。編集注は筆者と関係ありません)。