ポーラ銀座で田原桂一「表現者」展、Lumiereの共有者

【銀座新聞ニュース=2021年4月28日】化粧品業界国内4位のポーラ・オルビスホールディングス(中央区銀座1-7-7、ポーラ銀座ビル、03-3563-5517)が運営するポーラミュージアムアネックス(ポーラ銀座ビル、03-3563-5501)は4月28日から5月30日まで田原桂一による「表現者たちー白の美術館」を開く。

ポーラミュージアムアネックスで4月28日から5月30日まで田原桂一の「表現者たちー白の美術館」に展示されるアンドレ・マッソンのポートレート(1981年)。

写真家の田原桂一(1951-2017)は、「光」をテーマにフランスを中心に世界的に活躍し、1985年に木村伊兵衛写真賞、1993年にフランス芸術文化勲章シュヴァリエ、1995年にパリ市芸術大賞など多くの賞を受賞しており、その表現方法は写真にとどまらず、彫刻や映像、インスタレーションなどさまざまな領域にわたっている。

今回は田原桂一が1978年から1987年に撮影したフランスの画家、アンドレ・マッソン(Andre-Aime-Rene Masson、1896-1987)やドイツの彫刻家、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys、1921-1986)、フランスの彫刻家、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski、1944年生まれ)さんら世界的な巨匠の「ポートレート」シリーズを中心に、最後に手掛けた「白の美術館」での表現者たちを撮影した作品を展示する。

ポーラによると、田原桂一にとってポートレートの撮影とは、「単なる肖像写真ではなく、その人物の瞳の奥に秘められた想いや気配などから放たれる『Lumiere(ルミエール)』(光・知識・啓示)までも掴み取ること」という。また、「作品を通じて、自らが発する者だけが『表現者』ではなく、鑑賞者も含めその「ルミエール」を共有する者すべてが『表現者』であると強く思い知らされ」るとしている。

田原桂一は1951年京都府生まれ、写真家の祖父の影響で中学時代に写真の技術を習得し、高校卒業後に劇団の「レッド・ブッダ・シアター」に参加し、照明と映像を担当、1972年に劇団のヨーロッパ公演に同行してフランスに行き、日本の柔らかい光とは異なる、ヨーロッパ特有の鋭い光に衝撃を受け、パリにとどまり写真家として活動をはじめた。

以来、2006年までパリを拠点とし、「光」をテーマに写真、彫刻、インスタレーション、建築と幅広く活動した。1973年から1976年の最初のシリーズ「都市」でパリの街をモノクロームで写し、日本とは違うパリ独特の光をとらえ、1973年から1980年のシリーズ「窓」で、「アルル国際写真フェスティバル」で新人大賞を受賞、1978年に世界の巨星の肖像写真を撮影したシリーズ「顔貌」を発表、1979年から1983年の「エクラ」、1984年の「ポラロイド」などがある。

1978年にコダック主催フランス写真批評家賞、1984年に日本写真家協会新人賞、1985年に東川賞、木村伊兵衛賞、1987年にポルトガルのグルベンキア美術財団給費、1988年にフランスのニセフォール・ニエプス賞、1989年に日本のADC賞、1990年にフランス文化庁ヴィラメジチ給費、1993年にフランスと日本のシャトーベイシュヴェル財団大賞、フランス芸術文化勲章シュバリエを受賞している。

1994年に日本のADC賞、1995年にパリ市芸術大賞、1999年にリオン市化学工業地帯の「バレー・ドゥ・ラ・シミエ(Vallee de la Chimie)」プロジェクトを受賞、リオンの光のフェスティバルコンクール、2003年にパリの「タラン・デゥ・リュックス オリジナリティー賞」などを受賞している。

2009年に「株式会社KTP」を設立、2017年3月から8月までプラハ国立美術館で舞踊家の田中民さんを被写体とした個展を開いており、4月からはポーラ提供でテレビ朝日系「白の美術館」で出演者のポートレートを撮影していた。同年6月6日未明に肺がんのため東京都内の病院で死去した。

開場時間は11時から18時40分で、入場は事前予約制(https://airrsv.net/polamuseumannex-intensity/calendar)となっている。鑑賞時間は最大40分間で、定員に達していない場合は予約なしでも当日観覧できる。