ポーラ銀座で若槻せつ子「打掛」展、80年代から90年代に制作

【銀座新聞ニュース=2021年6月4日】化粧品業界国内4位のポーラ・オルビスホールディングス(中央区銀座1-7-7、ポーラ銀座ビル、03-3563-5517)が運営するポーラミュージアムアネックス(ポーラ銀座ビル、03-3563-5501)は6月4日から27日まで若槻せつ子さんによる「絵を纏う-『打掛』コレクション」を開く。

ポーラミュージアムアネックスで6月4日から27日まで開かれる若槻せつ子さんによる「絵を纏う-『打掛』コレクション」に展示される「白地金彩エ霞(さいえかすみ)観世水金駒刺繍光琳松模様」(撮影:中村淳、スタジオKJ)。

ファッションディレクターの若槻せつ子さんが長い年月をかけて収集された貴重な打掛コレクションの中から1980年代後半から1990年代はじめに制作された13点を展示する。

この時期は「昭和バブル(バブル景気)」の時期にあたり、制作された打掛は、贅沢な素材や職人の技術が惜しみなく使われ、豪華絢爛な作品ばかりだったという。その艶やかな打掛に表現された文様にはそれぞれの意味を持ち、花嫁の幸せを願う気持ちや感謝の想いが込められている。普段、余り触れる機会がない打掛だが、「その美しさはもちろん、文様の意味や素晴らしい技術など1枚の絵画として読み解きながら」鑑賞できるとしている。

ウイキペディアによると、打掛は日本の女性の着物(和服)の種類の一つで、本来は春、秋、冬の衣料だが、結婚式の貸衣装では紗(しゃ)などから作られた夏物の打掛もまれにみられる。

内側に着用する着物よりひと回り長めの丈に仕立てられ、すそには「ふき」といわれる綿をいれて厚みを出した部分がある。「ふき」は、打掛のように、おはしょりを作らず床に裾を引く着物に見られるもので、裾周りに厚みのある部分を作ることで足に衣装がまとわりつくのを防止する目的がある。

また、「ふき」を特に厚く仕立てることで、強化遠近法の応用で実際よりも身長を高く見せる効果もある。刺繍や絞りのほか摺箔(すりはく)などをあしらって、衣装全体に絵画を描くように模様をあしらう。

打掛が着られるようになったのは、裕福な武家の女性が内着である小袖の上に打掛を羽織った室町時代(1336年から1573年)からである。1479(文明11)年には、後土御門天皇(1442-1500)が8代将軍の足利義政(1436-1490)の正妻の日野富子(1440-1496)を宴に招いた際に、打掛の服装を許可する別勅を発した。

江戸時代、大奥に勤める上臈(将軍や御台所への謁見が許される「御目見以上」の女中であり、大奥における最高位)、中臈(大奥の役職の1つで、将軍、もしくは御台所の身辺を世話する。大奥女中の中から家格や容姿のよい者が選ばれた)など高位の女性が打掛を着た。内裏の上級女官や一般公家の女性も日常的にこれを用いた。

江戸時代後期に、上方や江戸などの富裕な町人女性が婚礼などに着用するようになった。また、江戸吉原や京島原など特定の遊廓の上級の女性達の正装でもあった。

バブル景気は、景気動向指数(CI)上は1986年12月から1991年2月までの51カ月間に、日本で起こった資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされる。情勢自体はバブル経済と同一であり、バブル経済期またはバブル期や平成景気、昭和・平成バブルとも呼ばれる。

ただし、多くの人が好景気の雰囲気を感じ始めたのは1987年10月19日のブラックマンデーをすぎた1988年頃からであり、政府見解では日経平均株価が3万8957円の史上最高値を記録した1989年12月29日をはさみ、バブル崩壊後の1992年2月までこの好景気の雰囲気は維持されていたと考えられている。バブル崩壊と同時に1973年より17年3カ月間続いてきた安定成長期は終焉を迎え、失われた10年の引き金となった。

若槻せつ子さんは福島県本宮市生まれ、1969年に文化服装学院本科を卒業、「ジュンJ&R」デザイナー、高島屋デザイン室、アンアンクラブチーフデザイナー、マギットブランドチーフデザイナーを経て、1977年に「ナルミヤバルバラアージュ」チーフデザイナー、1981年に「ジュンロペ」ディレクター、1984年に「オフィスワカツキ」(若槻事務所、渋谷区神宮前3-33-17、ガーデンテラス神宮前2WEST、03-3402-1233)を設立、KIMONO(着物)ドレスブランド「ウロド ウルド」(2010年3月に「ローブ・ド・キモノ」に改名)を発表した。

その後、アパレル業界やブライダル業界などのファッション顧問として活躍し、アルビオン化粧品、コスモ石油、NTTデーター、ブルーベルボーテなどのユニホームを手掛けた。2006年から2008年にレコード大賞の司会を務めた小林麻耶さんの衣装を担当し、2007年に紅白歌合戦に出演した藤原紀香さんの衣装を手掛けた。1991年から2001年までポーラのアパレルを扱う事業部の顧問として商品の企画・プロデュースを担当している。

開場時間は11時から18時40分で、入場は事前予約制(https://airrsv.net/polamuseumannex-intensity/calendar)となっている。鑑賞時間は最大40分間で、定員に達していない場合は予約なしでも当日観覧できる。