資生堂ギャラリーで第8次椿会展、杉戸洋、中村竜治、宮永愛子ら

【銀座新聞ニュース=2021年6月4日】国内最大手の化粧品メーカー、資生堂(中央区銀座7-5-5、03-3572-5111)は6月5日から8月29日まで資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3、東京銀座資生堂ビル、03-3572-3901)で「第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界」を開く。

資生堂ギャラリーで6月5日から8月29日まで開かれる「第八次椿会」に出品される杉戸洋さんの作品「Untitled(アンタイトルド)」(2021年、油彩)。

1947年から続いている資生堂ギャラリーを代表するグループ展で、2021年が74年目になり、これまでに86人の作家が参加している。今回は2021年より新しくスタートする「第8次椿会」のメンバーによる初の展示会で、メンバーは東京芸術大学美術学部絵画科油画准教授の杉戸洋さん、建築家の中村竜治さん、田中義久さんと飯田竜太さんのユニット「Nerhol (ネルホル)」。

現代美術作家、写真家、小説家のミヤギフトシさん、2009年に第3回シセイドウアートエッグ賞を受賞した宮永愛子さん、アーティストの荒神明香(こうじん・はるか)さん、ディレクターの南川憲二さん、インストーラーの増井宏文さんを中心とするアートチーム「目[me]」の6人(組)。

「第8次椿会」は2023年までの3年間で、「after(アフター)コロナ」の「新しい世界」について考え、2021年が「2021触発/Impetus(インペトゥス)」、2022年が「2022探求/Quest(クエスト)」、2023年が「2023昇華/Culmination(カルミネーション)」と位置づけ、「プロセスを踏みながら新たな問いを見出し、深めていく作業」を行うとしている。

同じく中村竜治さんの「Form SWISS(フォーム・スイス)神戸展空間設計」(2021年、撮影:Takato Miyoshi)。

2021年は「触発」をテーマに、資生堂がこれまでの椿会展で蒐集してきた美術収蔵品約200点から、メンバーが「新しい世界」を触発される作品を選ぶ。選んだ収蔵品と、それに対する応えを提示することで、収蔵作品に新たな視点を加え未来へとつなげることを試みるとしている。

2022年には、メンバー同士によるコラボや異分野の専門家と交流し、2021年に生まれた問いや気づきについて「探求」し、そこから生まれる作品を展示し、2023年には、3年間の活動を昇華させる展示を行う。

杉戸洋さんは1970年愛知県名古屋市生まれ、1992年に愛知県立芸術大学美術学部日本画科を卒業、1991年から個展を開き、1996年にアメリカで個展を開き、1996年から1997年にアメリカ・ネブラスカ州にてビーメス・ファウンデーションのアーティスト・イン・レジデンスに参加し、1998年にVOCA展奨励賞を受賞、1999年にブラジル、ドイツで個展、2000年にイタリアで個展、その後、欧米で毎年のように個展を開いており、2017年度に第68回芸術選奨で文部科学大臣賞を受賞している。小さな家や、空、舟などのシンプルなモチーフを好んで描き、繊細かつリズミカルに配置された色やかたちが特徴という。

中村竜治さんは1972年長野県生まれ、1996年に法政大学工学部建築学科を卒業、1999年に東京芸術大学大学院を修了、2000年から2003年まで青木淳建築計画事務所に勤務、2004年に中村竜治建築設計事務所を設立している。

同じく宮永愛子さんの「第3回shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)宮永愛子展 地中からはなつ島」(2009年より、撮影:加藤健)。

2006年にグッドデザイン賞、JCDデザインアワード金賞(2007年に大賞)、2007年にオランダの「THE GREAT INDOORS AWARD(グレイト・インドアーズ・アワード)」、ナショップライティングアワード優秀賞、東京デザイナーズウィークTOKYO DESIGN PREMIO(トウキョウ・デザイン・プレミオ)、2008年にくまもとアートポリス熊本駅西口駅前広場設計競技で優秀賞、2018年に第6回京都建築賞優秀賞、2020年に第32回JIA新人賞(2020年)などを受賞している。

「Nerhol」の田中義久さんは1980年静岡県生まれ、2004年に武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科を卒業している。飯田竜太さんは1981年静岡県生まれ、2004年に日本大学芸術学部美術学科彫刻コースを卒業、2014年に東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術専攻を修了している。

アイデアを「練る」田中義久さんとアイデアを「彫る」飯田竜太さんが2007年に結成、連続撮影をした数百枚のプリントを束ね、彫り込むことで生まれる立体作品を発表後、ポートレイト、街路樹、動物、水、あるいはネット空間にアップされた記録映像等、さまざまなモチーフを選びながら、それらが孕む時間軸さえ歪ませるような作品を制作している。2013年にベーコン・プライズを受賞、2020年にVOCA賞を受賞している。

ミヤギフトシさんは1981年沖縄県生まれ、2005年にニューヨーク市立大学を卒業、美術関連書籍の専門店「プリンテッドマター」に勤務しながら制作活動をはじめ、2012年にスタートしたプロジェクト「American Boyfriend(アメリカンボーイフレンド)」では、沖縄で沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることの関係性などをテーマに作品を制作している。自身のアイデンティティや出身地の沖縄、アメリカ文化など題材とした映像や写真作品だけでなく、小説も発表している。

宮永愛子さんは1974年京都府京都生まれ、1999年に京都造形芸術大学美術学部彫刻コースを卒業、卒業制作展で学長賞、2003年に「群馬青年ビエンナーレ’03」で入選、2004 年に京都府京都美術工芸新鋭選抜展で優秀賞、2006年にアジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の助成によりアメリカで研修、京都市芸術文化特別奨励者に認定される。

2007年度に文化庁新進芸術家海外留学制度により英国エジンバラに1年間滞在、2008年に京都芸術センター2008で入選、2008年に東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程を修了、2009年に第3回シセイドウアートエッグ賞を受賞し、第27回京都府文化賞で奨励賞、2010年に第1回創造する伝統賞を受賞、2011年に第22回五島記念文化賞美術部門新人賞、2013年に日産アートアワードでグランプリ、2018年に第2回瓜生山学園賞、第28回タカシマヤ美術賞、2020年に第70回文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞などを受賞している。

日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集めている。アートエッグ賞から初めての椿会メンバーとしている。

「目[me]」の荒神明香さんは1983年広島県生まれ、2007年に「Art Award Tokyo(アート・アワード・トウキョウ)2007」でグランプリ、2009年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了、2018年から東京芸術大学非常勤講師。南川憲二さんは1979年大阪府生まれ、2009年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了、2009年に「Art Award Tokyo 丸の内2009」でグランプリ、2018年から東京芸術大学非常勤講師。2006年から表現活動集団「wah document(わうどきゅめんと)」としてオランダ・ロッテルダム、香港など国内外で展開している。増井宏文さんは1980年滋賀県生まれ、2004年に成安造形大学造形学部を卒業、2009年から2014年まで京都造形芸術大学非常勤講師、「wah document」運営メンバーとしても活動している。

2012年に荒神明香さんと「wah document」の南川憲二さん、増井宏文さんで「目」を結成し、作品は主にインスタレーションの形態をとっており、2014年に資生堂ギャラリーで開いた「たよりない現実、この世界の在りか」でホテル型の展示が大きく話題を呼んだ。第28回タカシマヤ美術賞、VOCA展2019で佳作等を受賞している。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックではお台場の海の上に顔が浮かぶ、「まさゆめ」が東京都、公益財団法人「東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京」が主催する「Tokyo Tokyo FESTIVAL(トウキョウトウキョウフェスティバル)スペシャル13」のひとつに選ばれている。ただし、延期され、2021年夏に公開される予定。

開場時間は11時から19時(日曜日、祝日は18時)、月曜日は休み。また、8月16日から23日は夏休み。入場は無料。