ホワイトストーン画廊でR・ヴェンチューラ展、複雑な層のアニメ

【銀座新聞ニュース=2021年6月10日】ホワイトストーンギャラリー銀座本館(中央区銀座6-4-16、03-3574-6161)は6月26日までロナルド・ヴェンチューラさんによる個展「Comic Stripes(コミック・ストライプス)」を開いている。

ホワイトストーンギャラリー銀座本館で6月26日まで開かれているロナルド・ヴェンチューラさんの個展「Comic Stripes(コミック・ストライプス)」に出品されている作品。

フィリピン人画家、彫刻家のロナルド・ヴェンチューラ(Ronald Ventura)さんは、その比喩的なモチーフの連鎖とともに、東南アジアの現代美術シーンで異彩を放っており、そのイメージとスタイルの複雑なレイヤー(層)を特徴としており、超現実主義からマンガ、落書きまでカバーしている。

また、ホワイトストーンギャラリーによると、作品におけるレイヤー化のプロセスには、フィリピンという国家の多様なアイデンティティが隠喩となっているとしている。土着の文化とともに、何世紀にもわたりスペイン、アメリカに占領されてきた影響は複雑な、時として不安定なアイデンティティを生み出したという。

ロナルド・ヴェンチューラさんは歴史的、心理的な現象を、東洋と西洋、社会的身分の高低、老いと若さ、といったイメージを喚起しながら掘り下げ、作品中での古典絵画の大家や日米のマンガなどの仄めかしにも見て取れる。

今展ではロナルド・ヴェンチューラさんのアイデアが最も端的に表れた日本のアニメとコミックをフィーチャーで、その表層は、 あたかも皮膚のように現代人が抱える諸相を提示してくれる作品を展示している。

フィリピン人画家、彫刻家のロナルド・ヴェンチューラさん。

ヴェンチューラさんは、我々が知らず知らずのうちに身につけている「文化のシニフィエ(意味するもの)」という「第2の皮膚」を注視、皮膚を「表現的な表面」をみなし、そこはタトゥーが彫られていたり、イメージの連鎖のもとに隠されていたり、内面に抱える幻想や葛藤が露わになる場であるという。

ロナルド・ヴェンチューラさんは1973年フィリピン・マニラ生まれ、1993年にサント・トマス大学を卒業 (芸術学士)、母校にて後進の育成に力を注ぐ傍ら、 現在もマニラで制作を続けている。

開場時間は11時から19時まで。入場は無料。日・月曜日は休み。