インドから私的ワクチン考、中立の立場で接種せず、当分静観(73)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2021年6月25日】世界各国でワクチン接種が進む中、賛否両論渦巻く折でもあり、打とうか打つまいか悩んでいる人も多いと思う。

すっかりおなじみになった、新型コロナウィルスの構造図(画像はいずれもウィキペディアより)。赤い突起がスパイクタンパク質(鍵)で細胞の受容体(鍵穴)と結合すると感染する(新型コロナウイルスの構造で、赤い突起はスパイクタンパク、灰色の被膜はエンベロープ。主成分は脂質でアルコールや石鹸で破壊できる。黄色の付着物はエンベロープタンパク、オレンジの付着物は膜タンパク質)。

微妙な問題で、専門家でもない私が、まだデータが揃ってないこの時期にワクチンについて触れることには、躊躇いがあったが、素人の一個人として、現時点でどのように思っているか、ざっくばらんに述べてみることにする。

最初にお断りしておくが、私は専門家でないので、学術的視点からでなく、あくまで一個人としての考察だ。今のところ接種は任意で義務化されていないし、可否は、私の素人考えに影響されることなく、各自出回っている情報を入念に調べて、真偽を吟味した上で自己責任で決めていただきたい。

現役の医者や、医学部教授などがネットで医学的データに基づいた情報を発信しているので、調べる手間を惜しまなければ、付け焼刃的とはいえ、にわか専門知識もつくはずだ。

私の周囲の友人たち(日本在住)は、肯定派が多く、既に接種し終えた人もぼちぼち出ているが、私自身は懐疑派で、できるなら打ちたくないと思っている。理由は、副反応への懸念と、いつまで持つかの有効性が不明なこと、中・長期的に見た影響への危惧である。

たとえば、日本で使用されている米ファイザー製のmRNA(遺伝子組み換え)ワクチンを例にとると、治験終了は2023年で、動物実験が開示されていないことを危惧する専門家の声がある。事態の緊急性から見切り発車、今まさにぶっつけ本番中で、地球規模で人体実験が行われているというわけだ。

インドで使用されているワクチンは、英アストラゼネカ社のウイルスベータワクチンで(コビシールド)、現在、在庫不足ながらも国産(コバキシン)や、最近ではロシア製(スプトーニクⅤ)も、市場に出回っている。日本ではあまり知られていないかもしれないが、インド政府は、ファイザー製については、安全性の観点から不認可としたのである。私見では、それだけでなく、マイナス70度で要冷凍の至難さも、医療インフラが整ってないだけに、あったと思う。

インドでは本年1月16日、日本より一足先に接種開始、しかしメガ第2波でストック不足に陥って以来、遅々と進まない。現在1回のみが2億1754万回超だが、2回完了は14億近い人口の約3.6%のみで、世界的にも遅れをとる。国産ワクチンには、牛の血清が使われているとのまことしやかな噂も。

安全性という意味では、アストラゼネカ製も、血栓などの副反応で一時ヨーロッパの何カ国かで中止された前歴があり、ファイザー製と50歩100歩だ。たとえ、接種人口比から見て微々たる確率であろうとも、不幸にして亡くなっている人もいるわけで、私には見過ごせない。それに、アストラゼネカ製は、インドで見つかったデルタ株(B1.617.2)への効率低下も懸念され、アルファ株(系統B1.1.7)流行が接種加速で一旦収まったかにみえたイギリスでも、デルタ株感染が増えているという。

ファイザー製は最近、3度目の接種(ブースター)の必要性を示唆しているし、毎年打たねばならない可能性もあるようだ。インフルエンザワクチンに比べると、副反応がはるかに強い注射を毎年というのは体に負担がかかるし、私だったらごめん蒙りたい。

とにかく、現時点では、有効期限がわからないので、長くもてばいいが、毎年変異が出て対処しきれないと、変異株対応の新ワクチン接種を迫られるかもしれない。仮に現行で変異に効いたとしても、毎年は辛い。

誤解しないで頂きたいが、これはすべて仮説で、いま少し時期を経て、データが出揃わないと、なんとも言えない。巷間では、ファイザー製は、ロシア製と並んで、効力が高いとされるが、変異の問題もあって、本当に実効力があるかどうかは、今しばらく経過を見ないとわからない。

接種後の感染事例は、インドのウッタルプラデシュ州(Uttar Pradesh)首相(アストラゼネカ製か国産のいずれか)、パキスタン大統領(ファイザー製)、アルゼンチン大統領(ロシア製)、日本でも報告されている。それでも、重症化を防ぐ効果があれば、いいのだが。

あと、気になるのは、接種によって体内で作られたスパイクタンパクが含まれる呼気や体液に非接種者が晒されると、感染リスクがあることをファイザー社そのものの研究計画書で示唆されていることだ。

がゆえに、ごく少数とはいえ、日本の病院やクリニックでは、接種者の来院を禁じているところもあるというわけだ。

ワクチンが感染拡大の温床になるとの説は聞き捨てならず、インドのメガ第2波ももしかしたらそのせいでとの疑惑も湧き上がったが、証拠はない。ワクチンそのものが変異株拡大を誘発するとの説は、ネットで前から得ていたが、専門家でない私には半信半疑で、今も真偽はわからない。

念を押しておくが、私はワクチン懐疑派だが、否定論者ではない。人類の歴史を見ても、ワクチン開発が疫病抑制に役立ってきたし、効力と安全性が認められれば、無下に退けるものではない。

ただ、今回のワクチンが人類初の治験未終了のもので、中長期的影響がわからないというところに引っかかるのだ。

しかし、国民の6割が接種を終えたイスラエルがほぼ正常な生活に戻っているところを見ると、あながち有効性は否定できないとも思う。まだ変異株がどう影響するかの問題もあり、バーレーンのようにワクチン接種完了55%で感染拡大か止まらない国もあるのだ(同国は中国製のシノファームからファイザー製に切り替える方針のようで、中国製の効力が低いこともありえる)。

マイケル・イードン(Michael Yeadon) ファイザー元副社長(ファイザー元科学主任)の告発もあり、前内部の人間として、ワクチンに警鐘を鳴らしているが、詳細は各自調べていただきたい。

ワクチン生産会社の巨大利権が絡むことは言わずもがなだが、肯定論者に言わせると、9年も前に辞めて今更の時効説で反論する人も。どう判断するかはともかくも、接種を迷っている人は、チェックしておいた方がいい情報だ。

このほか、ノーヘル受賞学者はじめ、世界の錚々たる免疫・ウイルス学教授・学者たちが、日本の医家や教授連も含めて警鐘を鳴らしている。内外の肯定派の学者の説と併せて、吟味いただいた上で、慎重に決断してもらいたい。

概して、テレビや新聞のマスメディアは、肯定論調、YouTubeやTwitterなどのネットメディアは、否定論に偏りがちだが、ネットでも過激な意見は削除される可能性があるので、ワ〇チ〇とか、接タネなどの隠語を使って動画配信している人がほとんどだ。

接種体験者が副反応事例を報告している動画や、不幸にして接種後重症に陥った身内の報告動画もあるので、調べる気になれば、情報はふんだんにある。もちろん、デマやフェイクも混じっているので、真偽を見極める鋭い眼力が必要だが。

私自身も、そうして丹念に調べた末、当面接種は見送り、年内静観の結論に至った。よって、今年一杯は様子見、たとえば、将来ワクチンパスポート制が導入され、出入国に接種証明書が必要となったら、受けるしかないと諦観しているが、その場合も、日本国産が開発済みだったら、絶対に現行より安全性が高い国産にしたい(塩野義製薬がインフルエンザワクチンと同製法の組み換えタンパクワクチン開発を年内目指して進めているというし、従来型の不活化ワクチンも、別社で開発中)。

原則としては、インドの強い薬の副作用に苦しめられてきた口なので、ケミカルはなるたけ体に入れたくないが、将来接種しないことで日本に帰れなくなるのは困る。現実の便宜上の問題として、そこら辺は妥協せざるをえない。

自然の免疫機能を損ないたくないと、もとい自然治癒信奉者だが、懐疑派といっても、明確な否定論者には論破されそうな腰砕けぶり、願わくば、遅くとも、来春までには、現行ワクチンの有効性と安全性のデータがもう少しクリアになり、国産ワクチンのみならず、特効薬が開発さることに期待したい(富山大学が変異株にも対処可能な治療薬発見の朗報も伝わっている)。

不便な途上国暮らしが長いだけに、待つことには慣れている。せっかち気性の私も、34年の現地生活で忍耐力が培われたようだ。「あわてる乞食はもらいが少ない」ということわざもある。

某医者に言わせれば、「とりあえず走るけど、ブレーキが効くかどうかわからない車」には乗りたくない。調べ尽くして、よく吟味してた上で慎重に臨みたい。

スタンスとしては、賛否どちらにもくみせず、ニュートラルに客観視、頭よりも直感や体の声を信じて、自分にとって一番望ましい道を選択したい。

未だ義務化されていない現況下、個々人の自由意思いかん、各自自己責任で決めるということだが、私からの一言アドパイスは、慎重を期して頂きたいということだ。

蛇足ながら、最後に付記しておく。日本人の体質にはやはり、国で開発されたものが一番しっくり来るのではなかろうか。これはインドに長年暮らした私ならではの体験に基づく自論、いわば生活の知恵のようなもので、インド製品は歯ブラシから薬まで、小柄な日本人の私には合わないのだ。インド古来の自然療法アユールヴェーダ薬とて、合わないのである。

外国産のワクチンも、彼らの体質に合わせて作られているので、軟弱な日本人には強すぎるような気がする。体験から来る仮説だが、インドの強い抗生物質やワクチンで、副作用に悩まされた私独自の自論でもある。

以上、打て打てムードの日本はじめインド(ストック不足で一時期の熱は冷めたが)ほか世界の趨勢がワクチンに傾いている昨今、私の意見は少数派かもしれないが、迷っておられる方もいると思うので、少しでも参考になればと、あえて時期尚早、生煮えのワクチン考を披露してみた次第である。

●わが病歴/伝染病漬けの34年、やぶ医者跋扈のインド

インドに移住して34年、この間の現地におけるわが病歴をざっと列記すると。赤痢、肝炎2度(うち1度は肝炎中の出産で九死に一生を得た)、マラリア、坐骨神経痛、肺炎、熱帯性の皮膚病(アレルギー)と、伝染病蔓延の国だけに、無菌環境で生まれ育ったやわな日本人の私は格好の標的、移住以降、すっかり病弱になってしまった。

インドの田舎町の医療設備はお粗末で、現地で受けた肝炎検査が帰国時誤まっていたことが判明したのを契機に、身内(医者)が勤める日本の病院で診てもらうのが常になった。

意思疎通の問題もあるし、インドの医師に根強い不信感を抱いている私にとって、医療設備の整った清潔な自国の医院は安心で、それも身内の診察ならなおさら、絶対の信頼感がある。インドのやぶ医者の誤診で辛酸を嘗めさせられてきた当方なのだ。

とにかく、インドは抗生物質神話が生きて、やたら強いアンティバイオティックを処方したがる。坐骨神経痛のときも、おできの後遺症と誤診され、強い抗生物質を長期にわたって服用、胃痛に悩まされる羽目になった。

比較的近年の事例では、肺炎をただの風邪と誤診された。夫(2019年死去)がウイルス性肺炎でICUに緊急入院していた4年前のことで、看病するうちに私自身も体調悪化、咳が止まらなくなってしまったのである。夫の主治医に3度診てもらったが、風邪と誤診され、肺炎だったことが判明したのは、帰国後だった(既に自然治癒していたが、痕跡が残り再発リスクも)。

近年、インドの都会では最新設備の私立病院も多数設立され、医療費が安いため先進国からも治療に訪れるようになったが、地方はいまだ脆弱で、わが田舎町プリー(Puri)のお粗末な医療事情は変わらない。重病者は、州都まで出向かねばならず、わが亡夫のようにたらい回しにされることはしょっちゅうだ。

夫は、インドの医療システムによって殺されたとの思いは今も変わらないし、現に身内(医者)も、日本にいたら助かったかもしれないと言っている。

私がインドでワクチンを打ちたくないもうひとつの理由は、副反応に対処し切れず、殺されるのがオチだからである。
(今回のコラムは筆者の持論であり、銀座新聞ニュースを代表するものではありません。また、今回は著者の略歴などを省きます)