中央の百貨店7月、5店とも5カ月連続増、高額品等好調続く

【銀座新聞ニュース=2021年8月3日】中央区とその周辺の主要百貨店の7月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは5カ月連続となる。

前年比で20%を超える高い伸びを示した銀座三越。

7月は「緊急事態宣言」がさらに8月31日まで延長となったが、「高額品の好調が続き、前年よりも降雨日が少なかったことから」(高島屋)、前年実績を上回った。また、「顧客ロイヤリティの高いラグジュアリーブランドや希少性が高いデザイナーズブランドなど、高付加価値な商品へのニーズは依然として高い」(三越伊勢丹ホールディングス)としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比7.0%増(6月速報値6.0%増、確定値1.2%増、2月までは小型店舗とソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、6月の商品別では紳士服・洋品、婦人服・洋品、子ども服・洋品、食料品、食堂・喫茶、サービスがマイナス)と店頭ベースでは5カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同26.6%増(同速報値12.5%増、確定値12.5%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、6月の商品別では紳士服・洋品、、子ども服・洋品、呉服寝具他、家具インテリア、家庭用品、サービスがマイナス)と5カ月続けてプラスとなった。

6月21日以降、全店舗で通常営業(レストランは時短営業)としており、ロイヤリティの高い顧客の購買を中心に売り上げを下支えし、引き続き回復基調を維持している。顧客ロイヤリティの高いラグジュアリーブランドや希少性が高いデザイナーズブランドなど、高付加価値な商品へのニーズは依然として高く、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店での客単価上昇を主要因に、時計や宝飾、ハンドバッグも好調を維持している。

また、両本店で、東京オリンピックの自宅観戦需要から酒類などの食品の一部アイテムも好調に推移している。三越伊勢丹オンラインストア(ギフトEC含む)の売り上げは前年比約1.1倍強、2019年比約1.3倍強と、人気催事による購買が下支えしている。

訪日外国人観光客売上高(免税売り上げ、インバウンド)は、主要3店舗における前年7月実績の反動が大きく国内百貨店合計で前年実績を上回った。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同6.4%増(同速報値0.3%増、確定値0.8%増)と5カ月続けてプラスとなった。

7月の15店舗ベースの店頭売り上げは前年比7.3%増、2019年比14.2%減、訪日外国人観光客売上高が116.8%増、2019年比で83.1%減、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは6.6%増、2019年比で9.2%減だった。

7月の商品別売上高(15店舗ベース)では、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、スポーツ、食料品などがプラスだった。。一方で、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、子ども、リビングがマイナスだった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同11.9%増(同速報値11.0%増、確定11.3%増)と5カ月続けて前年を上回った。

7月はラグジュアリーブランドや宝飾品が引き続き好調であったほか、イエナカ食として惣菜や菓子も堅調だったことから、大丸松坂屋百貨店合計では7.8%増だった。

大丸松坂屋百貨店既存店計(法人・本社等の本年・過去実績を除く)は8.6%増、2019年比20.0%減、うち訪日外国人観光客売上高を除いた国内売上高は8.3%増、2019年比12.8%減だった。訪日外国人観光客売上高(速報値)は87%増(客数同34%減、客単価同181%増)だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同8.9%増(同速報値2.8%増、確定2.8%増、6月は紳士服・洋品、婦人服・洋品、子ども服・洋品、呉服寝具他、雑貨、家庭用品がマイナス)と5カ月続けてプラスとなった。2019年比では34.6%減にとどまっている。

7月は、月初に4度目の緊急事態宣言が発出されるも、百貨店などの大型商業施設には20時までの営業が可能となり、海外ラグジュアリーブランドが前年に対して約3割増と大幅な伸びを示している。

また、化粧品も前年比1割増、時計や宝飾品も国内の富裕層を軸とした堅調な消費動向を反映し前年比2割増だった。一方で、婦人、紳士ともに衣料品の動きは依然弱いとしている。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社191店舗(総従業員5万7844人)の6月の売上高(店舗調整後)は前年同月比1.6%減の3715億6146万円で、4カ月ぶりにマイナスとなった。

6月は、緊急事態宣言対象地区店舗の土日休業や時短営業などに加え、外出自粛による集客減が響いた。下旬の休業要請解除により回復傾向も見られたが、入店客数(5.0%減)、売り上げともに前年には届かなかった。2019年比は、前月(43.1%減)より22.5ポイント改善したものの、20.6%減と依然として厳しいとしている。今年上半期(1-6月)累計の伸び率は10.3%増、2019年同期比では27.2%減だった。

顧客別では、国内市場は2.1%減(4カ月ぶり減、シェア98.8%、2019年比16.7%減)、訪日外国人観光客売上高(インバウンド)は68.1%増(4カ月連続、シェア1.2%)だが、2019年比では84.0%減と苦境が続いている。

地区別では、大都市が0.4%増(10都市、4カ月連続、2019年比21.7%減)、地方が6.5%減(10都市以外の地区、4カ月ぶり減、2019年比17.6%減)となった。

商品別では、主要5品目のうち、身のまわり品(0.6%増)、雑貨(3.7%増)、食料品(3.3%増)の3品目でプラスだった。特に、富裕層を中心に高額消費は活発で、ラグジュアリーブランドや、高級時計、美術宝飾品など高額品(美術、宝飾、貴金属が25.8%増)が増加傾向にある。また、巣ごもり需要から和洋中惣菜、和洋菓子、ワインなど酒類の他、家電、高級家具などリビングアイテムも好調だった。また、EC売り上げは引き続き高伸し、中元商戦や父の日などのギフトにおいても、そのシェアは一層拡大している。

全国の百貨店の6月の営業日数は前年より0.1日少ない29.7日、108店舗の回答によると、入店客は23店が増え、62店が減ったとし、81店舗の回答によると6月の歳時記(父の日、中元)の売り上げについては8店が増え、38店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の6月の売上高(店舗調整後)は前年同月比3.7%増の1086億3847万円と4カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の6月の売上高は同68.1%増の約45億1000万円と4カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが1.2%としている。

このうち、一般物品売上高は同126.2%増の約34億8000万円と4カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同9.6%減の約10億3000万円と3カ月ぶりにマイナス、購買客数が同22.2%減の約1万人と3カ月ぶりにマイナス、1人あたりの購買単価が同116.2%増の46万6000円で、19カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年5月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年5月まで2位)で25カ月連続で2位、3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年5月まで3位)で、13カ月続けて3位だった。

同じ3位に紳士服・雑貨(2021年2月に5位)、5位が食料品(3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年4月まで4位、5月3位)だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2021年5月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2021年5月2位)で、14カ月連続だった。

3位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年4月まで4位、5月3位)で、2カ月続けて3位だった。

4位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月から4月5位、5月4位)で、2カ月連続となった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月から4月5位)で、2カ月ぶりにワンランク上げた。

6位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年4月まで3位、5月4位)で、5月よりも2ランクも下げた。香港の混乱が影響していると思われる。

7位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月から5月まで7位)で、6カ月連続となった。