丸善丸の内で九谷焼展、福島武山、山本篤ら加賀、小松等陶芸家

【銀座新聞ニュース=2021年9月12日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は9月15日から21日まで4階ギャラリーで「第2回九谷モダン展」を開く。

丸善・丸の内本店で9月15日から21日まで開かれる「第2回九谷モダン展」のフライヤー。

2019年2月に芸術新聞社より刊行された「九谷モダン」(芸術新聞社編、3080円)に掲載された陶芸家たち約60人の新作を展示する。定評あるベテランから気鋭の若手まで、個性豊かな作品を生み出し続ける現代の九谷焼作家の作品を紹介する。

「九谷モダン」は現代の九谷焼作家93人と260点以上の作品を紹介している、「現代」から入る九谷焼の新しい入門書となっている。主な内容は「九谷焼開窯360年の歴史と展開」をはじめ、九谷焼の技法とデザイン、九谷焼ができるまで、今、九谷焼に何が起きているのかと九谷焼全体を概観している。

また、地域別に加賀九谷、小松九谷、能美九谷、金沢九谷を取り上げており、石川県指定無形文化財に認定されている、福島武山さんの一門にも触れている。

今回、出品しているのは山本篤さん、山本高寛さん、山本秀平さん、山本芳岳さん、山本浩二さん、苧野(あさの)直樹さん、苧野憲夫さん、北出太郎さん、堀江祐夫子さん、山本長左さん。

山本大輔さん、三代仲田錦玉さん、宮本雅夫さん、宮本忠夫さん、吉田美統(みのり)さん、吉田幸央さん、井上雅子さん、田村星都さん、浅蔵五十吉さん、浅蔵一華さん。

打田幸生さん、北村和義さん、田畑奈央人さん、徳田八十吉さん、中田一於さん、美山富さん、宮吉由美子さん、山口義博さん、山中國盛さん、宮本直樹さん。

福島武山さん、福島礼子さん、東早苗さん、福田良則さん、船木大輔さん、宮本晄さん、南絢子さん、澤田郁美さん、中田雅巳さん、谷敷正人さん。

宮腰徳二さん、山岸青矢さん、川上真子さん、新川敦子さん、河内範子さん、多田幸史さん、山近泰さん、織田恵美さん、木戸優紀子さん、平野由佳さん。

櫻谷藍太郎さん、戸出克彦さん、野上映翠さん、前田昇吾さん、竹内瑠璃さん、吉田純鼓さん、三ツ井達也さん。

ウイキペディアなどによると、九谷焼は石川県南部の金沢市、小松市、加賀市、能美市で生産される色絵の磁器で、大聖寺藩領の九谷村(現石川県加賀市)で、良質の陶石が発見されたのを機に、加賀藩の命により、藩士の後藤才次郎(1634-1704)を佐賀・有田へ技能の習得に赴かせ、帰藩後の明暦初期(1655年ころ)、藩の殖産政策として、江沼郡九谷村で開窯したのが始まりとされる。

しかし、約50年後(18世紀初頭頃)突然、廃窯となり、窯跡は加賀市山中温泉九谷町にあり、1号窯、2号窯と呼ばれる2つの連房式登窯と、19世紀に再興された吉田屋窯の跡が残っており、この間に焼かれたものは、現在「古九谷(こくたに)」と呼ばれている。

古九谷の廃窯から、約1世紀後の1807年に加賀藩が京都から青木木米(1767-1833)を招き、金沢の春日山(現金沢市山の上町)に春日山窯を開かせたのを皮切りに、数々の窯が加賀地方一帯に立った。これらの窯の製品を「再興九谷」という。

同じ頃、能美郡の花坂山(現小松市八幡)で、新たな陶石が発見され、今日まで主要な採石場となった。これらの隆盛を受け、それまで陶磁器を他国から買い入れていた加賀藩では、1819年に磁器を、1820年に陶器を、それぞれ移入禁止にした。

1832年ころに小野窯に陶匠として招かれる、寺井村(現能美市寺井町)生まれの九谷庄三(1816-1883)は能登の火打谷(現志賀町)で、能登呉須と呼ばれる顔料を発見し、後の九谷焼に多大な影響を与え、1840年ころに故郷に戻り、寺井窯を開いた。ヨーロッパから入った顔料を早い時期から取り入れ、彩色金欄手を確立し、庄三風と呼ばれる画風は後にヨーロッパに輸出される九谷焼の大半に取り入れられることになる。

明治時代に入り、九谷焼は主要な輸出品となり、1873年のオーストリア・ウィーン万国博覧会などの博覧会に出品されると同時にヨーロッパの技法も入り込んだ。1872年ころから型押しの技術が九谷焼にも取り入れられ、1892年ころから、獅子を始めとする置物の制作が盛んとなり、大正時代になると型が石膏で作られるようになり量産化が進んだ。

また、明治維新による失業士族の授産施設として1872年に誕生した金沢区方開拓所製陶部は、砂子吉平(生没年不詳)、初代諏訪蘇山(1851-1922)らの参加を得て成果を上げ、1876年には「石川県勧業場」と名を改めた。1887年に金沢工業学校(現石川県立工業高校)が開校し、次代の陶芸家が育成されるようになった。

現在、九谷焼は陶器と磁器があり、上絵付けを九谷でしたものを「九谷焼」と呼んでいる。陶器は原料が陶土(粘土)で、温かみがあり、全体に厚くぽってりした感じで、指ではじくと、鈍い音がする。一方の磁器は原料が陶石(石の一種)で、白く堅い感じがあり、薄くて軽くて丈夫で、指ではじくと「チン」と金属質の音がする。

開場時間は9時から21時(最終日は15時)、入場は無料。15日8時45分から1階正面入口前で、購入整理券の抽選を行う。