中央の百貨店11月、5店が2カ月連続増、高額品等が好調

(終わりの方に参考として10月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてあります)
【銀座新聞ニュース=2021年12月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の11月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは2カ月連続となる。とくに、日本橋高島屋以外の4店舗は10%以上の2桁の伸びを示した。

11月の売上高(店頭ベース)で前年比23.7%増ともっとも高い伸びを示した大丸東京店。

11月は前年に比べて日曜日が1日少なかったものの、外出機会の増加や前年の新型コロナウイルス感染症第3波の影響の反動や、10月初に「緊急事態宣言」などの解除などにより、「日を追うごとに改善の傾向を示し」(松屋)、「高額品の好調に加えて、衣料品も回復基調にあることから」(高島屋)、5店舗とも前年実績を上回った。

また、日本人顧客の店頭売り上げでは、「2020年の新型コロナウイルスおよび2019年の消費増税による影響がない2018年の実績に近づいている」(三越伊勢丹ホールディングス)としている。

1日から全国で「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が解除されたことから、前年比だけでなく、2019年比でも「上回った」(三越伊勢丹ホールディングス)としている。また、中旬以降、「最高気温が前年を下回る気候が続いた結果、防寒コートなどの重衣料が堅調に推移」(松屋)、「ブルゾンやコートといった重衣料の実需購買が増え、売上を底上げした」(三越伊勢丹ホールディングス)という。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比14.5%増(10月速報値7.0%増、確定値1.3%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、10月の商品別では婦人服・洋品、呉服寝具他、身の回り品、雑貨、家具インテリア、家庭用品、サービスを除いてマイナス)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同15.4%増(同速報値10.9%増、確定値10.9%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、10月の商品別では子ども服・洋品、呉服寝具他がマイナス、ほかはプラス)と3カ月続けてプラスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、伊勢丹新宿本店、三越日本橋店では、年末にかけた消費意欲の向上から、時計や宝飾、ハンドバッグ、ラグジュアリーブランドといった高付加価値な商品が好調を維持した。また、年末年始に家の中で過ごす時間を充実させたいニーズも高く、クリスマスケーキやおせちの予約販売は前年比2桁増と好調を維持している。

訪日外国人観光客売上高(免税売り上げ、インバウンド)は、伊勢丹新宿本店、三越日本橋店、銀座三越店における前年11月実績の反動が大きく国内百貨店合計で前年実績を上回ったとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同3.0%増(同速報値14.0%増、確定値14.2%増)と2カ月続けてプラスとなった。

全店の店頭売上高は、外出機会の増加により、高額品の好調に加えて衣料品も回復基調にあり、前年実績を上回った。訪日外国人観光客売上高は前年比95.2%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は8.4%増だった。

商品別売り上げ(15店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾、スポーツ、リビング、美術、食料品が前年実績を上回った。一方で、呉服、子ども情報ホビーなどが前年実績を下回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同23.7%増(同速報値4.5%増、確定4.9%増、全店の10月は婦人服・洋品、化粧品、美術・宝飾・貴金属、家具、菓子、惣菜、食堂・喫茶、サービス、その他がプラス)と2カ月続けてプラスとなった。

11月の売上高は、外出機会の増加や、前年の新型コロナの反動により、売上高、入店客数ともに前年実績を上回り、商品カテゴリでラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額品に加え、衣料品や食料品も前年比2桁増となった。

また、大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高は60.1%増(客数44.4%増、客単価10.9%増)だった。さらに、11月の大丸松坂屋百貨店の店計売上(法人・本社等の本年、過去実績を除く既存店)は前年比15.9%増、2019年比7.5%減、うち国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年・過去実績を除く)は前年比15.7%増、2019年比2.1%増としている。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同13.4%増(同速報値6.2%増、確定値6.2%増、10月は雑貨、サービスがマイナスで、それ以外はプラス)と3カ月続けてプラスとなった。

銀座店は、ラグジュアリーブランドが約3割増、時計が5割増、宝飾が9割増と大幅に売り上げを伸ばし、引き続き、富裕層の堅調な買い上げ動向が全体を強く牽引している。夕方以降の来店、回遊、買廻りも好調に推移し始め、化粧品(約6%増)、婦人衣料品が10%増となった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社189店舗(総従業員5万8100人)の10月の売上高(店舗調整後)は前年同月比2.9%増の3848億3613万円で、3カ月ぶりプラスとなった(2019年比1.3%増)。

「緊急事態宣言」などが解除され、主要顧客層の外出機会が増加したことに加え、各社が企画した組織顧客向施策や物産展など各種催事も奏功した。高額商材の増勢が続いている他、気温低下で衣料品など秋冬商材も好調だったとしている。入店客数は0.8%減とほぼ前年並、2019年比では22.0%減と、コロナ禍前の水準には戻っていない。

顧客別では、国内市場(3カ月ぶり、シェア99.2%)は2.6%増、2019年比7.7%増だった。訪日外国人観光客売上高(インバウンド)は49.3%増(2カ月連続、シェア0.8%)だが、2019年比では87.7%減と厳しい状況が続いている。

地区別では、大都市が4.3%増(10都市、3カ月ぶり、2019年比0.6%増)、地方が0.4%減(10都市以外の地区、5カ月続けて減、2019年比3.2%増)となった。

商品別では、主要5品目のうち、4品目(衣料品、身のまわり品、雑貨、食料品)で前年実績を上回り、特に高級時計や宝飾、ラグジュアリーブランドなど高額品は高い伸びが続いている。また、「宣言」解除で外出意欲が高まり、旅行用品や靴、アクセサリーなどが堅調だった他、気温の低下に伴ってコートやブルゾン、ジャケット、セーターなども動いた。

また、食料品は、物産展などの食品催事の他、弁当、惣菜など巣ごもり関連も底堅く、和洋菓子は土産需要の復調もあり伸長した。おせちやクリスマスケーキの予約はEC・店頭ともに好調に推移している。

全国の百貨店の10月の営業日数は前年と同じく30.9日、108店舗の回答によると、入店客は37店が増え、44店が減ったとし、79店舗の回答によると10月の歳時記(秋物商戦、秋の行楽)の売り上げについては20店が増え、16店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の10月の売上高(店舗調整後)は前年同月比4.9%増の1048億200万円と2カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の10月の売上高は49.3%増の約31億4000万円と2カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが0.8%としている。

このうち、一般物品売上高は同94.0%増の約27億5000万円と8カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同42.2%減の約3億9000万円と5カ月続けてマイナス、購買客数が同24.5%増の約6000人と2カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同19.9%増の50万4000円で、23カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年8月まで1位、9月2位)で、2カ月ぶりに1位に戻り、2位がハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年8月まで2位、9月1位)で、2カ月ぶりに2位に下げた。

3位が食料品(2020年3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年4月まで4位、5月3位、6月5位、7月3位、8月4位、9月3位)で2カ月続けて3位だった。4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年9月まで3位)で、17カ月ぶりに4位に下がった。5位が婦人服(2020年12月5位、以降は6位以下、7月5位、8月以降6位以下)が3カ月ぶりに5位に上がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2021年9月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2021年9月まで2位)で、18カ月連続だった。

3位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年4月まで4位、5月から9月3位)で、5カ月連続だった。

4位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年4月まで3位、5月4位、6月、7月6位、8月5位、9月3位)で、5月以来、5カ月ぶりに4位に下がった。

5位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月から9月まで7位)で、2020年3月以来の5位に上がった。6位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月から4月5位、5月6位、6月、7月5位、8月6位、9月5位)で、2カ月ぶりに6位に戻った。

同じく6位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月から4月5位、5月から8月4位、9月5位)で、2020年11月以来の6位に下がった。