丸善丸の内で東山魁夷、棟方志功ら文化勲章受章者「版画」展

【銀座新聞ニュース=2022年1月18日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は1月19日から2月1日まで4階ギャラリーで「文化勲章受章作家版画展」を開く。

丸善・丸の内本店で1月19日から2月1日まで開かれる「文化勲章受章作家版画展」に出品される田崎広助の「箱根の朱富士」。

丸善・丸の内本店で毎年新年恒例の日本文化を担う文化勲章を受章した巨匠たちの版画展を開く。同時に人気作家の版画展も併催する。

今回、出品するのは、日本画家で「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれる、独特の描法を確立し、1937(昭和12)年に制定された文化勲章の第1回受章者となった横山大観(1868-1958)、ヨーロッパで学んだ油彩画に、桃山美術や琳派、南画といった日本の伝統的な美術を取り入れ、装飾的な世界で知られ、1952年に受章した梅原龍三郎(1888-1986)。

歴史画を軸に肖像画や花鳥画など幅広く作域を示し、武者絵では鎧兜の精密な描写で知られ、1955年に受章した前田青邨(せいそん、1885-1977)、刷毛で胡粉などを100回とも200回ともいわれる塗り重ねをし、微妙な色加減の作品が特徴とされ、1962年に受章した奥村土牛(1889-1990)。

日本の風景画家で「国民的画家」として知られ、1969年に受賞した東山魁夷(1908-1999)、日本を代表する板画(版画)家で、「仏」を題材にした作品で知られ、1970年に受賞した棟方志功(1903-1975)、点描画法により、幻想的な風景画で知られ、1972年に受賞した岡鹿之助(1898-1978)、日本画家でエジプトやインドなどの古代遺跡や神像、抽象画や裸婦など従来の日本画にはなかった題材を描いたことで知られ、1974年に受賞した杉山寧(1909-1993)。

阿蘇山を好んで描き、「阿蘇の田崎」と呼ばれ、晩年は「朱富士」を描き、1975年に受賞した田崎広助(1898-1984)、バラの絵で知られ、1975年に受賞した中川一政(1893-1991)、身近でさりげない水面や野辺、自宅の庭越しに見上げた樹木や雲、夕焼けの空を背景とした樹木をモチーフとし、日本の自然の美しさを描き続け、1976年に受章した小野竹喬(ちっきょう、1889-1979)。

女性画や静物を生き生きと描き、1980年に受章した小倉遊亀(1895-2000)、肖像画や群像を手がけ、女性像の人物画を多く描いたことで知られ、1983年に受章した小磯良平(1903-1988)、パリを中心とするヨーロッパの歴史が刻まれた街並みを描き続け、「世界のオギス(Oguiss)」として知られ、1986年に受章した荻須高徳(たかのり、1901-1986)。

「帝展」や「院展」にたびたび落選し「落選の神様」とまでいわれながら、強烈な色彩とデフォルメで独自の絵画世界を築き、1989年に文化勲章を受章した片岡球子(1905-2008)、シルクロードの画家で、1998年に文化勲章を受章した平山郁夫(1930-2009)、日本画の伝統的な様式美を現代的な感覚で表現し、2003年に受章した加山又造(1927-2004)、独自に編み出したアフレスコ画により鮮烈な色彩イメージを展開し、エネルギーのあふれた絵画を描き続けている東京芸術大学名誉教授で、2021年に受章した絹谷幸二(1943年生まれ)さんら。

ほかに、花鳥画の第一人者として知られる元京都市立美術大学副学長の上村淳之さん、四季の風景を題材とする日本画で知られる中村宗弘さん、順天堂大学国際教養学部客員教授の平松礼二さん、日本画家で京都造形芸術大学(現京都芸術大学)元学長、同大学付属康耀堂美術館館長の千住博さん、孤高の洋画家で自宅の虫や花を描き続けた熊谷守一(1880-1977)らも出品する。

ウイキペディアによると、文化勲章は当時の首相の広田弘毅(1878-1948)の発案により、1937年の文化勲章令をもって制定された。毎年11月3日に親授式が皇居宮殿松の間で行われ、天皇から直接授与(親授)されるが、1997年以前は天皇臨席のもとに内閣総理大臣が勲記と勲章を手交する伝達式の形式で行われていた。

そのため、以前は同じく宮中伝達式により授与される旧勲2等と同位に位置づけられていたが、現在では天皇親授により授与される大綬章(旧勲1等)と同位に位置づけられている。

文化庁文化審議会に置かれる文化功労者選考分科会の意見を聞いて文部科学大臣が文化功労者のうちから選んで、毎年度5人程度を首相に推薦し、内閣府賞勲局で審査したうえ、閣議決定する。慣例として、その年にノーベル賞を受賞した者で文化勲章未受章である人には、文化勲章が授けられる。

文化勲章には金品等の副賞は伴わないが、1951年に文化功労者顕彰制度が創設され、前年度までの文化勲章受章者で存命者を一斉に文化功労者として顕彰するとともに、以後も文化勲章受章者は同時に文化功労者でもあるように運用しているため、文化勲章受章者は文化功労者年金法に基づく終身年金が支給される。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。