ヴァニラ画廊で林美登利人形展、驚異の部屋

【銀座新聞ニュース=2020年12月6日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は12月8日から20日まで林美登利さんによる人形展「Cabinet of Curiosities-驚異の部屋」を開く。

ヴァニラ画廊で12月8日から20日まで開かれる林美登利さんの人形展「キャビネット・オブ・キュリオシティ(Cabinet of Curiosities)-驚異の部屋」に出品される作品。

創作人形作家の林美登利(はやし・みどり)さんが新作を中心に個展を開く。「驚異の部屋」というテーマで、林美登利さんがサーニット(ドイツ製の樹脂粘土)や骨、真鍮で制作している子どもたちは「優雅に深い闇のユートピアの中で遊び、近年は、よりプリミティブで神話的な空気を濃厚にまとっている」(ヴァニラ画廊)としている。

また、写真家のユリア・シュール(Yulia Shur)さんと田中流(たなか・ながれ)さんによる林美登利さんの人形写真作品も展示する。

林美登利さんは「私にとっての美しいものとは何だろうかと考えてみる時、『驚異の部屋』という言葉が脳裏をよぎる」という。「驚異の部屋」とはかつてヨーロッパに存在した珍品陳列室のことで、奇妙で美しいものが自然物、人工物を問わず一堂に集められていた。

さらに「私も骨と金属とガラスと粘土と…私にとって美しいものを区別をつけずに組み合わせて人形を作り、その部屋の片隅にこっそりと並べてみたい」という。

ヴァニラ画廊は林美登利さんの人形作品について、「自然に宿る魂、そして死者の魂、二つの意味で精霊のような姿」としている。

ウイキペディアによると、「驚異の部屋」とは、15世紀から18世紀にかけてヨーロッパで作られていた、さまざまな珍品を集めた博物陳列室のことで、15世紀イタリアの諸侯や有力貴族の間で作られたことに始まり、16世紀にはドイツ語圏に伝わって、王侯貴族だけでなく学者や文人の間でも作られるようになった。

自然物も人工物も珍しいものなら分野を隔てず一カ所に集められるのが特徴で、その収集対象も、珊瑚や石英を加工したアクセサリーや、アルチンボルドを始めとする奇想を描いた絵画、(しばしば架空の)動植物の標本やミイラ、巨大な巻貝、オウムガイで作った杯、ダチョウの卵、イッカクの角(ユニコーンの角だと思われていた)、象牙細工、ミニチュア細工、錬金術の文献、異国の武具、数学や医学用の道具、天球儀や地球儀、オートマタ、東洋の陶磁器、聖遺物やアンティークなど多岐にわたる。

科学・分類学の発達と市民社会の台頭などにより18世紀半ばに廃れたが、そのコレクションのいくつかは今日の博物館の前身となった。大英博物館もハンス・スローン卿(Sir Hans Sloane,Bt,1660-1753)の収集物を基にして造られた。
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林美登利さんは山口県生まれ、2000年に吉田良(よしだ・りょう)さんに師事し、2003年に黒川早恵美(くろかわ・さえみ)さんによるサーニットの短期集中講座を受講し、2004年にサーニット人形の制作をはじめ、2011年6月に個展を開き、2012年にマンタムさんに師事し、2014年に作品集を刊行している。

開場時間は12時から19時(土・日曜日17時)まで。入場料は500円。会期中は無休。入場に際してはマスク着用、検温などがある。時間指定有の完全チケット制で、定員制で1時間単位の時間指定で完全入れ替えとなる。ライブポケット(https://t.livepocket.jp/t/te9i_)を通じて予約する。当日券はない。