シュールストレンミングなど臭み食品トップ5、納豆の18倍も

【銀座新聞ニュース=2012年1月27日】トリップアドバイザー(渋谷区恵比寿西1-10-11、03-6416-9333)は「世界のくさくておいしい食べ物」をまとめた。

トリップアドバイザーが農学者の小泉武夫(こいずみ・たけお)さんの「発酵は力なり(NHK人間講座)」と「くさいはうまい」を参照してまとめているが、ウイキペディアなどにも同じ商品と臭い数値が掲載されている。臭いはアラバスターという臭気指数計で測って、数値化した臭いの単位(アラバスター単位=Au)を使用、大きい数値ほど臭気が強いことになる。

日本で臭いといわれる「はいた靴下」が120、野球選手の練習後の「ストッキング」で420、フナ寿司が486、納豆が452、タクアンの古漬けが430となっている。

世界でもっとも臭いのはスウェーデンの「シュールストレンミング」(8070)で、2位が韓国の「ホンオフェ」(6230)、3位が大幅に低くなってニュージーランドの「エピキュアーチーズ」(1870)、4位がアラスカ、グリーンランドの「キビヤック」(1370)、5位が日本・伊豆諸島の「くさや」(1267、ただし、焼いた後で、焼く前は447)。

「シュールストレンミング」はニシンを塩漬けにして缶の中で発酵させた、漬物の一種だ。発酵中のニシンを缶詰にして殺菌しない状態のままフタがされるため、密封後も缶の中では発酵が続く。発酵が続くとガス(二酸化炭素など)によって円筒形だった缶が丸く膨らむほどになる。殺菌を行わないこの食品は缶詰の定義から外れるため、日本ではJAS法などに基づき缶詰と標記できない。スウェーデンでは8月の第3木曜日に解禁される。

「ホンオフェ」はガンギエイの身をツボなどに入れて発酵を促進させたものの切り身で、エイの持つ尿素などが加水分解されてアンモニアが発生し、ホンオフェができる。凄まじいアンモニア臭がし、涙を流しながら食べ、口に入れた後にマッコリで流し込むのが通の楽しみとされている。

一般には5ミリぐらいにスライスして、しょう油、コチュジャン、ニンニク、ネギの入ったタレにつけ、ゆでた豚の3枚肉とサンチュに包んで食べる。韓国では高級食品のひとつとされ、朝鮮半島南部のホンオフェの本場では結婚式など冠婚葬祭に欠かせないごちそうとなっている。

「エピキュアーチーズ」は缶の中でチーズを熟成させるため、乳酸菌発酵に伴う炭酸ガスや硫化水素などにより缶詰は膨満し、破裂しそうな形になる。味は酸味が強くがコクがあり、においはどんなチーズより強烈で、すごみを帯びているという。

「キビヤック」は海鳥(ウミスズメ類)を捕獲したアザラシの腹の中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作る。アザラシの内臓と肉を取り出し、その中に、海鳥をそのままの形で詰め込み、腹を縫い合わせ、地面の穴に埋め、2カ月から数年間放置して熟成させる。

食べるときは海鳥の尾羽を取り除き、総排出口に口をつけて発酵して液状になった内臓をすする。肉や脳みそもも食べる。

「くさや」はサメの頭、魚の内臓や血液などを海水に入れて発酵させた「くさや液」に、ムロアジなど魚の開きを2時間ぐらいつけてから天日で干すという手順を繰り返して仕上げる魚の干し物。くさや液は先祖代々繰り返し連続使用しているという。

ほかに、マレーシアのアオイ科の樹木にできで果実「ドリアン」、カンボジアの発酵させた坂のペースト「プラホック」、スリランカの発酵させた魚の切り身「ジャーディ」、西アフリカの発酵させた後に乾燥させた魚「グウェーデ」、イタリア・サルデーニャの巨大なチーズの中に生きたうじ虫を入れている「カース・マルツゥ」(現在は、販売禁止)。

ノルウェーの白身魚を発酵させている「ルタフィスク」(日本では劇物取締法により劇物に指定されている、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムが使われている)、アイスランドのウザサメ肉を発酵させた「ハカール」、ロシアの土の中で魚を発酵させた「キスラヤル・ルイド」、中国の発酵液につけた豆腐「臭豆腐」、タイの魚類を原料にした液体状の調味料「ニョクマム」も選ばれている。