国立映画でSCREEN75年展、ヘプバーンやグラントのサイン入り等

【銀座新聞ニュース=2021年4月10日】独立行政法人「国立美術館」が運営する国立の映画機関、国立映画アーカイブ(旧東京国立近代美術館フィルムセンター、中央区京橋3-7-6、050-5541-8600)は4月13日から7月18日まで7階展示室で「創刊75周年記念 SCREENを飾ったハリウッド・スターたち」を開く。

国立映画アーカイブで4月13日から7月18日まで開かれる「創刊75周年記念 SCREENを飾ったハリウッド・スターたち」のフライヤー((C)Kindaieigasha)。画像は臨時増刊号を手にする1961年ころの、まだ30代のクリント・イーストウッド(Clint Eastwood、1930年生まれ)さん。

「SCREEN(スクリーン)」は近代映画社(豊島区南大塚3-46-3、いちご大塚ビル、03-5957-7411)が1946年5月に創刊した洋画専門の映画雑誌で、以来75年になるのを記念して、1990年代までを対象に、ハリウッドで独自に収めた華やかなスターフォトや、スターの来日時に撮影された写真を通じて、日本の映画ファンが注いできた情熱の系譜をたどる。

また歴代の号の誌面を紹介するとともに、半世紀近くにわたって同誌に貢献したハリウッド通信員の故ヤニ・ベガキス(Yani Begakis)の功績に光を当てる。

展覧会は「『SCREEN』のカメラがとらえたスターたち」として、1950年の英国出身の俳優、コメディアンのボブ・ホープ(Bob Hope KBE KCSG、1903-2003)以来、1990年代までに日本を訪れたハリウッド・スターたちの取材写真を展示し、とくに「SCREEN」が他誌に先駆けて始めたハリウッド現地取材ならではの写真の数々を、名物記者のヤニ・ベガキスの仕事を中心に紹介する。

「ハリウッド・スターからのおくりもの」としては、来日インタビュー時に書かれた英国出身の女優、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn、1929-1993)のサインや、「SCREEN」とその読者にあてられた英国出身の俳優、ケーリー・グラント(Cary Grant、1904-1986)のサイン入りポートレートなど、「SCREEN」の財産である貴重な資料を展示する。

「『SCREEN』75年の歴史から」として、1946年5月発行の「SCREEN」創刊号をはじめとする各時代の誌面を紹介する。とくに、思い出の表紙の数々とアメリカの俳優、ジョン・ウェイン(John Wayne、1907-1979)からイスラエル出身の女優、ナタリー・ポートマン(Natalie Portman、1981年生まれ)さんまで歴代のスターたちをパネル展示し、「SCREEN」読者投票が選ぶ年間ベスト作品と人気男女優の歴史をパネルで紹介する。

国立映画アーカイブでは、「SCREEN」の誌面を飾ってきたハリウッド・スターの写真から、1950年代から1990年代までを中心に構成している。なかでも、「ハリウッド・キング」と称されたアメリカの俳優、クラーク・ゲーブル(Clark Gable、1901-1960)の来日など、1950年代から1960年代にかけて日本を訪れた伝説的なスターたちの貴重な取材写真の数々は見どころ、としている。

また、「SCREEN」の財産といえる、オードリー・ヘプバーンやアメリカの俳優、ジョニー・デップ(Johnny Depp、1963年生まれ)さんのサイン色紙、アメリカの俳優、ジェームズ・スチュアート(James Stewart、1908-1997)やアメリカの女優、グィネス・パルトロー(Gwyneth K.Paltrow、1972年生まれ)さんのサイン入りポートレートなども展示する。

さらに「SCREEN」では60年以上前から、独自のハリウッド通信員が現地取材を行ってきた。スターへのインタビューやアカデミー賞授賞式取材など、通信員ヤニ・ベガキスの取材写真を中心に、他誌に先駆けて手掛けたハリウッド現地取材の歴史をする。

ウイキペディアによると、「SCREEN」は1945年10月に創業(設立は1950年2月)した近代映画社が1946年5月に創刊した。創刊号は表紙が日本の女優、原節子(はら・せつこ、1920-2015)、裏表紙がアメリカの俳優、タイロン・パワー(Tyrone Power、1914-1958)という構成で、大きさはB5サイズ、価格は4円80銭、発行部数は2万部だった。1948年に創刊1周年記念として、「スクリーン」とカタカナ表記に変更した。

1952年に名物連載となる双葉十三郎(ふたば・じゅうざぶろう、1910-2009)の「ぼくの採点表」が開始され、2000年まで48年間掲載された(後に書籍として刊行)。1950年代にハリウッドに特派員を置き、1967年に創刊20周年記念号に当たる2月号よりサイズがA4変型判に変更された。1968年にベネチア国際映画祭図書展で出版部門のサンマルコ獅子賞を受賞している。

1983年に香港の俳優、ジャッキー・チェン(成龍=しぇんろん=、Jackie Chan、1954年4月7日生まれ)が男優として23年ぶりに表紙を飾った。1994年にアメリカの俳優、レオナルド・ディカプリオ(Leonardo W.DiCaprio、1974年11月11日生まれ)が男優として10年ぶりに表紙を飾った。1997年2月の50周年記念号よりサイズがA4ワイド判になり、「SCREEN」と再び英文表記に戻した。2015年7月に通巻1000号を刊行している。

2015年に発行元の近代映画社が社名を「ケーイー」と変更し、10月2日に東京地方裁判所へ破産申請し、同日に手続き開始が決定し(負債総額は約9億5000万円、2016年7月12日に法人格が消滅)、食材宅配サービス会社「タイヘイ」傘下の会社「ティ・アイ・ティ」に2015年10月1日付で譲渡され、「ティ・アイ・ティ」が「近代映画社」に商号を変更した上で発行を継続している(SCREEN、SCREEN+、BIG ONE GIRLSの3誌)。

開場時間は11時から18時30分まで。入場料は一般250円、大学生130円、65歳以上、高校生以下、18歳未満、障がい者(付添者は原則1人まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料。5月18日「国際博物館の日」は無料。5月25日から28日、7月6日と7日、月曜日は休み。