中央の百貨店4月、全5店とも大幅増、前年に休業、時短等の反動

【銀座新聞ニュース=2021年5月7日】中央区とその周辺の主要百貨店の4月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは2カ月連続となる。

4月の売上高で、141.5%増にとどまった日本橋高島屋。前年4月がほかの店が90%以上の減少を強いられた中で、食品売り場などを営業していた日本橋高島屋は67.7%減にとどまったため、その反動で4月の伸び率が抑えられた。

4月は前年が「緊急事態宣言」の発動を受けて、4月8日以降に臨時休業や時短営業などを強いられた反動から、3月に続いて全5店とも大幅なプラスとなった。ただ、4月25日から食品、化粧品フロアなどを除いて臨時休業をしており、6日間の売り上げ損失の影響は「約6%」(松屋銀座店)としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比657.3%増(3月速報値29.7%増、確定値13.0%増、2月までは小型店舗とソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、3月の商品別では子ども服・洋品と食料品、その他を除いてプラス)と店頭ベースでは2カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同967.6%増(同速報値33.9%増、確定値33.9%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、3月の商品別では呉服寝具他、その他を除いてプラス)と2カ月続けてプラスとなった。

2020年4月8日から5月29日まで首都圏の三越伊勢丹を全館休業し、4月中旬から5月中旬までグループ百貨店で食品フロアのみ営業(一部店舗全館休業、店舗により休業期間は異なる)とした反動もあり、前年実績を大きく上回った。

首都圏における売り上げ(訪日外国人観光客売上高=インバウンド、免税売上高を除く)は2019年比では約9割まで回復を見せていたが、4月25日から緊急事態宣言の発出を受け、同地域4店舗(伊勢丹浦和店を除く)を休業(食品・化粧品・その他一部サービス関連を除く)とし、2019年比では三越伊勢丹計で約7割、グループ百貨店計で約8割、併せた国内百貨店計で約8割にとどまったとしている。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、顧客の高額品への関心が高く、宝飾・時計やラグジュアリーブランドのハンドバッグなどを中心に売り上げを牽引した。また、食品では自宅での時間を充実させたいニーズから牛肉やホールケーキなどが好調だった。オンラインストアは、母の日のギフト需要の伸びに加え、外出自粛傾向や月末の休業の影響もあり、2019年比で約2倍と好調を維持(2020年4月8日から5月6日はオンラインストアも休業)。

また、訪日外国人観光客売上高は、主要3店舗における2020年4月の反動が大きく、国内百貨店合計で前年実績を上回った。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同141.5%増(同速報値38.6%増、確定値20.0%増)と2カ月続けてプラスとなった。

4月の店頭売り上げは、コロナ影響により2020年は全店で臨時休業を行った反動から、前年実績を上回った。本年は緊急事態宣言の発出に伴い、4月25日から一部店舗で生活必需品売り場を除き、臨時休業している。また、日本橋店は今年4月の休業日は6日(2020年は25日)としている。

訪日外国人観光客売上高は前年比1464.2%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上は184.0%増(既存店計190.0%増)となった。2019年比では、店頭売り上げは27.4%減(既存店計26.2%減)、訪日外国人観光客売上高は86.4%減(同86.4%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは20.9%減(同19.5%減)だった。

商品別売上高(15店舗ベース)では、全商品群が前年を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同652.0%増(同速報値13.7%増、確定13.9%増)と2カ月続けて前年を上回った。

全体の商品別では、美術、時計、ラグジュアリーブランドが引き続き好調だった。ただ、政府および各自治体の要請により、関東・関西の店舗は本年4月25日から当面の間、食品フロアなどを除き、臨時休業している。大丸松坂屋百貨店の既存店計の国内売上高(法人・本社など、および訪日外国人観光客売上高を除く)は2019年比27%減にとどまっている。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年比476%増(客数同192%増、客単価同97%増)だった。

J.フロントリテーリングでは2021年度より、これまで各店の実績に含めていた法人外商売り上げや本社に帰属する収益を「法人・本社等」として開示する。また、2021年度より、これまで「不動産事業」に含めていた不動産賃貸収入について「GINZA SIX(ギンザ シックス)」は「法人・本社等」へ、百貨店周辺店舗などは各店へ含めている。いずれも対前年増減率は、前年実績を組み替えて算出している。3月から「GINZA SIX」の家賃収入については「法人・本社等」に計上されている。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同573.2%増(同速報値43.4%増、確定43.4%増、2020年4月は5月の確定値段階で91.4%減と公表、3月は家電を除いた商品がいずれもプラス)と2カ月続けてプラスとなった。

4月は3回目の緊急事態宣言により一部臨時休業に入り、月間で6日間の売り上げが損失(全体に与えた影響は約6%)となり、2019年と比べると約4割減だった。(前年は、1回目の緊急事態宣言の発出により、4月第2週から5月末日までほぼ全館で休業したことにより、売上高前年比としては約575%増となった)。

一方、臨時休業前の24日までの訪日外国人観光客売上高を除いた国内客の売り上げについては、ラグジュアリーブランドの売上高が前年に対して約12倍(2019年比でも約1.5倍)、宝飾の売上高も前年に対して約3.3倍(2019年比でも約1.7倍)となるなど、銀座店の品揃えの軸となるカテゴリーの堅調な売り上げが全体を牽引した。

また、化粧品も前年に対して約4倍(2019年比では約1割減まで縮小)となるなど、一部の商品は月を追うごとに回復しつつあった。しかしながら、25日より銀座店と浅草店ともに、生活必需品を扱う一部の売場(食料品、化粧品など)を除き臨時休業に入っている。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社196店舗(総従業員5万8967人)の3月の売上高(店舗調整後)は前年同月比21.8%増の4076億7969万円で、18カ月ぶりにプラスとなった。

3月は、前年の新型コロナウイルス感染拡大による臨時休業や時短営業の反動に加え、緊急事態宣言の解除や、各社が企画した会員向け施策などが寄与した。コロナ禍の影響を受けない2019年比では19.1%減と、ほぼ前月(2019年比21.9%減)並みの水準であった。

顧客別では、富裕層を中心とした高額消費や「イエナカニーズ」が牽引し、国内市場は21.9%増(5カ月ぶりプラス、シェア98.6%)となった。訪日外国人観光客売上高(インバウンド)は17.1%増(14カ月ぶりプラス、シェア1.4%)だが、2019年比では83.3%減と厳しい状況に変化は見られない。

地区別では、全地区でプラスとなり、その内訳は大都市が25.0%増(10都市、18カ月ぶりプラス)、地方が14.6%増(10都市以外の地区、5カ月ぶりプラス)と、14カ月ぶりに大都市が地方を上回った。

商品別では、主要5品目すべてでプラスとなった。高級時計やラグジュアリーブランドなどの高額品、インテリアやキッチン関連、家電などの家庭用品が比較的好調だった。衣料品は、ビジネス関連が不調だったが、気温の上昇に伴いブラウス・カットソーなど春物商材が動いた。また、卒入学などの需要から、フォーマル関連や、アクセサリーなど身のまわり品も伸びを見せた。食料品は、物産展やホワイトデーなどの食品催事の他、送別や新生活祝いなどギフト需要も底堅かった。

コロナ禍にあって、各社とも密を回避するさまざまな施策を打ち出しているが、特にデジタル活用策は拡がりを見せており、EC売上は高伸が続いているという。

全国の百貨店の3月の営業日数は前年より0.4日少ない30.9日、107店舗の回答によると、入店客は64店が増え、28店が減ったとし、75店舗の回答によると3月の歳時記(ホワイトデー、卒業・入学、新生活)の売り上げについては28店が増え、13店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の3月の売上高(店舗調整後)は前年同月比18.5%増の1101億0260万円と18カ月ぶりにプラスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客需要の3月の売上高は同17.1%増の約55億5000万円と14カ月ぶりにプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが1.4%としている。

このうち、一般物品売上高は同93.4%増の約36億5000万円と14カ月ぶりにプラスとなったが、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同33.4%減の約19億円、購買客数が同52.7%減の約1万4000人と14カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同147.5%増の39万4000円で、16カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年2月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年2月まで2位)で22カ月連続で2位、3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年2月まで3位)で、10カ月続けて3位だった。

4位が食料品(3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年2月まで4位)で、6カ月連続だった。5位が子ども服・洋品(2020年3月5位、4月4位、7月5位、10月5位、12月から2021年2月5位、3月6位以下)で2カ月ぶりに5位に返り咲いた。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2021年2月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2021年2月2位)で、11カ月連続だった。

3位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年2月まで3位)で、5カ月連続となった。

4位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年1月4位)で、5カ月連続となった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月5位)で、2カ月続けて5位だった。

同じく5位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月と2月5位)で、3カ月続けて5位だった。

7位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月と2月7位)で、3カ月連続となった。