中央の百貨店5月、全5店とも大幅増、3カ月連続、前年の反動

【銀座新聞ニュース=2021年6月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の5月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは3カ月連続となる。

前年から外国人客がほとんどいなくなり、苦しんだ銀座三越だが、5月は7倍の伸び率で急回復を見せている。

5月は前年に「緊急事態宣言」の発動を受けて、4月8日から5月29日までの臨時休業や時短営業などを強いられた反動から、3月、4月に続いて全5店とも大幅なプラスとなった。ただ、4月25日から食品、化粧品フロアなどを除いて臨時休業をしており、2019年5月比では全5店ともマイナスになっている。

また、緊急事態宣言は6月1日より20日まで再度延長となったが、今回は休業要請が緩和(土日曜日は引き続き「生活必需品」を除いて休業要請)され、平日は全館営業することが可能となっている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比508.6%増(4月速報値657.3%増、確定値511.8%増、2月までは小型店舗とソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、4月の商品別では家電を除いてプラス)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同703.1%増(同速報値967.6%増、確定値967.6%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、4月の商品別では全商品がプラス、とくに、衣料品は13倍、身の回り品が15倍、食堂・喫茶は20倍のプラス)と3カ月続けてプラスとなった。

国内百貨店(既存店)は2020年4月8日から5月29日に首都圏三越伊勢丹を全館休業、4月中旬から5月中旬にグループ百貨店で食品フロアのみ営業(一部店舗全館休業、店舗により休業期間は異なる)とした反動もあり、前年実績を上回った。

今年は首都圏では4月25日から大半のフロアの休業やグループ百貨店での月の中旬以降の土・日曜日の休業の影響により、2019年比は三越伊勢丹計で約5割、グループ百貨店計で約7割、合わせて国内百貨店計で約6割の売上高だった。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、4月25日から大半のフロアで休業したことにより、売上・入店客数ともに2019年比で大きく減少した。月の中旬以降、徐々に展開アイテムを拡大し、巣ごもり需要やロイヤリティの高い顧客の購買意欲に支えられ、一部アイテムは健闘した。三越伊勢丹オンラインストア(ギフトEC含む)の売り上げは店舗休業の受け皿となるかたちで2019年比約1.9倍と堅調に推移した。

訪日外国人観光客売上高(免税売り上げ、インバウンド)は、主要3店舗における前年5月実績の反動が大きく、国内百貨店合計で前年実績を上回った。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同61.3%増(同速報値141.5%増、確定値140.3%増)と3カ月続けてプラスとなった。

5月の店頭売り上げは、前年度にコロナ影響による全店臨時休業の反動から前年実績を大幅に上回った。日本橋店の休業日数は2020年5月が26日、今年が31日だった。

ただ、15店の店頭売り上げ(既存店)は前年比57.3%増、2019年比41.8%減、訪日外国人観光客売上高は755.2%増、2019年比89.1%減、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは55.2%増、2019年比37.2%減だった。

5月の商品別売上高(15店舗ベース)では、全商品群が前年を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同138.4%増(同速報値652.0%増、確定653.9%増)と3カ月続けて前年を上回った。

前年同期においても臨時休業や時短営業を行っていたが、今年は生活必需品売場を営業したことやオンライン接客を強化したことなどにより、大丸松坂屋百貨店合計では同78.6%増だった。

大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は同275%増(客数同61%増、客単価同133%増だった。また、大丸松坂屋百貨店既存店計(法人・本社等の本年・過去実績を除く)は同84%増、2019年比54%減、うち国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年・過去実績を除く)は同83%増、2019年比49%減だった。

J.フロントリテーリングでは2021年度より、これまで各店の実績に含めていた法人外商売り上げや本社に帰属する収益を「法人・本社等」として開示する。また、2021年度より、これまで「不動産事業」に含めていた不動産賃貸収入について「GINZA SIX(ギンザ シックス)」は「法人・本社等」へ、百貨店周辺店舗などは各店へ含めている。いずれも対前年増減率は、前年実績を組み替えて算出している。3月から「GINZA SIX」の家賃収入については「法人・本社等」に計上されている。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同361.8%増(同速報値573.2%増、確定573.2%増、2020年4月は5月の確定値段階で91.4%減と公表、4月は全商品がプラス)と3カ月続けてプラスとなった。2019年比では59.8%減にとどまっている。

5月は3回目の緊急事態宣言により休業要請を受け、前月より「生活必需品」を扱う一部の売場(食料品、化粧品等)を除き、臨時休業に入った。一方で、5月12日からは「生活必需品」の幅を拡大し、ほぼ全館で営業を再開したが、再度の休業要請により5月24日以降は海外ラグジュアリーブランドや高級時計などの豪奢品を取り扱う売場が休止となった。

営業活動が大幅に制限された中、外商事業部では、金製品の拡販や企画品の大型受注、さらにはテレビ通販における営業強化施策などが奏功し、売上高が前年比約3割増、2019年比約4割増と伸びた。また、緊急事態宣言は6月1日より20日まで再度延長となったが、今回は休業要請が緩和(土日曜日は引き続き「生活必需品」を除いて休業要請)され、平日は全館営業することが可能となった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社192店舗(総従業員5万8967人)の4月の売上高(店舗調整後)は前年同月比167.0%増の3178億6218万円で、2カ月続けてプラスとなった。

4月は、前年の緊急事態宣言に伴う、臨時休業や時短営業など営業自粛の反動から売上高は167.0%増と三桁のプラスであったが、実質的には、反動要素を除く2019年比では27.7%減、前月(2019年比19.1%減)よりも8.6ポイントダウンと大幅に水準を下げた。

4月前半は集客・売り上げともに回復傾向が見られたものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴う、7県のまん延防止等重点措置適用や、4都府県への3度目の緊急事態宣言発出による限定営業、さらには外出自粛などの影響から、一転、厳しい状況となった。

顧客別では、国内市場は164.3%増(2カ月連続、シェア98.6%、2019年比22.6%減)、訪日外国人観光客売上高は797.4%増(2カ月連続、シェア1.4%)だが、2019年比では86.9%減と苦境が続いている。

地区別では、大都市が192.1%増(10都市、2カ月連続、2019年比30.1%減)、地方が121.2%増(10都市以外の地区、2カ月連続、2019年比20.8%減)と、営業自粛による前年の減少幅の大きかった大都市が、その反動で地方を上回った。

商品別では、宝飾、時計などの高額品や、イエナカニーズからリビング関連、家電、食料品が好調に推移した。また、軽衣料や新生活需要でスーツなども動いた。各社が企画した恒例の催事や会員向け施策も好評だったという。EC売り上げは依然として高伸しており、母の日ギフトや化粧品、食料品などは、前年比2倍を超える店舗も見られたとしている。

全国の百貨店の4月の営業日数は前年より5.0日多い29.7日、108店舗の回答によると、入店客は84店が増え、17店が減ったとし、74店舗の回答によると4月の歳時記(春物商戦、GW)の売り上げについては20店が増え、17店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の4月の売上高(店舗調整後)は前年同月比186.2%増の861億8292万円と2カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の4月の売上高は同797.4%増の約45億円と2カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが1.4%としている。

このうち、一般物品売上高同923.9%増の約30億7000万円と2カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同609.9%増の約14億3000万円と13カ月ぶりにプラス、購買客数が同367.4%増の約1万1000人と13カ月ぶりにプラスとなり、1人あたりの購買単価が同92.0%増の40万2000円で、17カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年3月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年2月まで2位)で23カ月連続で2位、3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年3月まで3位)で、11カ月続けて3位だった。

4位が食料品(3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年3月まで4位)で、7カ月連続だった。5位が子ども服・洋品(2020年3月5位、4月4位、7月5位、10月5位、12月から2021年1月まで5位、2月6位以下、3月5位)で2カ月続けて5位だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2021年3月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2021年3月2位)で、12カ月連続だった。

3位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年3月まで3位)で、6カ月連続だった。

4位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年3月まで4位)で、5カ月連続となった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月、3月5位)で、3カ月続けて5位だった。

同じく5位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月から3月5位)で、4カ月続けて5位だった。

7位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月から3月まで7位)で、4カ月連続となった。