丸善日本橋で愛知芸卒、院友の甲村有未菜、鈴木靖代、安井彩子ら展

【銀座新聞ニュース=2021年11月23日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(東京都中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は11月24日から30日まで3階ギャラリーで「女流作家日本画展 特集作家:甲村有未菜・鈴木靖代・安井彩子」展を開く。

丸善・日本橋店で11月24日から30日まで開かれる「女流作家日本画展 特集作家:甲村有未菜・鈴木靖代・安井彩子」展に出品される安井彩子さんの「陽光」。

愛知県立芸術大学(愛知県長久手市岩作三ヶ峯1-1)卒業で、公益社団法人「日本美術院」の公募展「院展」を舞台に活躍する女流画家で、日本美術院院友の甲村有未菜(こうむら・ゆみな)さん、愛知県立芸術大学非常勤講師、日本美術院院友の鈴木靖代さん、愛知県立芸術大学非常勤講師、日本美術院院友の安井彩子さんの3人を特集する。

また、東京芸術大学卒業で、東京芸術大学美術学部准教授の宮北千織さん、東京芸術大学卒業で、東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻准教授、日本美術院同人の國司華子(くにし・はなこ)さん、東京芸術大学卒業で東京芸術大学日本画教育研究助手、日本美術院院友の川﨑麻央(まお)さん、愛知県立芸術大学卒業、日本美術院院友の坂根輝美さんも出品する。

公益社団法人日本美術院は1898年に岡倉天心(1863-1913)が東京美術学校を排斥されて学校長を辞職した際に、自主的に連座して辞職した横山大観(1868-1958)らが岡倉天心の計画する美術研究の構想に賛同し、同年7月に美術研究団体としての「日本美術院」を東京・谷中大泉寺(谷中初音町)にて結成したのがはじまりとされている(1952年に東京都の文化史蹟に指定され、現在、岡倉天心記念公園として岡倉天心先生旧宅趾・日本美術院発祥之地碑が建てられている)。

同年10月に落成開院した日本美術院は日本絵画協会と連合して「日本美術院展覧会(院展)」を開き、以後、日本絵画協会と合同で春秋2回、絵画展覧会を開催するも、1900年秋季の展覧会が最盛期で、以後、資金の欠乏、院の内紛、綱紀の乱れなどが原因で徐々に沈滞するようになった。

同じく出品される鈴木靖代さんの「ひらひら」。

1905年に茨城県・五浦海岸へ別荘(六角堂)を建設した岡倉天心は、1906年に第1部(絵画)と第2部(彫刻)を改組し、第1部を五浦海岸へ移転させたが、当時、岡倉天心はフェノロサ(Ernest Francisco Fenollosa、1853-1908)の紹介でボストン美術館中国・日本美術部に入っており、五浦とボストンを往復するうちに日本美術院への興味を失っていった。また、第2部は国宝修理も行うことから1914年に「美術院」と改称し、1965年に「財団法人美術院」となり、2013年に「公益財団法人美術院」となった。

1910年に岡倉天心がボストン美術館中国・日本美術部長として渡米すると、日本美術院は事実上の解散状態となった。1914年に文展(文部省美術展覧会)に不満を持つ横山大観や下村観山(1873-1930)らは、1913年に岡倉天心が没したことを契機に、その意志を引き継ぎ、谷中上三崎南町に研究所を建設し(現在公益財団法人「日本美術院」がある)、日本美術院を再興した。

現在、日本を代表する日本画の美術団体として活動を継続している。日本美術院には日本画のほかに洋画部(1920年9月に脱退)と彫刻部(のち「彫塑部」と改称し、1961年2月に解散)も加わったが、現在は日本画のみになっている。

日本美術院展覧会(院展)は、1914年10月に日本橋三越旧館で「日本美術院再興記念展覧会」を開き、これが現在、東京都美術館で9月に開かれている日本美術院展覧会(院展)の第1回展にあたり、1944年、1945年を除き、毎年秋に開催されてきた。

日本美術院展覧会を開催できなかった1945年11月に「日本美術院小品展覧会」が日本橋三越で開かれ、こちらは第2回展から毎年春に開かれることになり、1959年に「日本美術院春季展覧会」と改称され、1970年からは「春の院展」として現在まで毎年開かれている。1958年5月に日本美術院は財団法人化され、2011年4月に公益財団法人化され、2014年に再興100周年を迎えた。

甲村有未菜さんは1992年愛知県生まれ、2017年に愛知県立芸術大学日本画専攻を卒業、在学中の2015年に第29回三菱商事アートゲートプログラムで入選、2017年に再興第102回院展入選(2018年、2019年入選)、堀科学芸術振興財団文化芸術支援事業Dアート展で優秀賞、2020年に第1回三越伊勢丹・千住博日本画大賞展で入選、ギャラリーへ行こう2020で入選している。

鈴木靖代さんは1989年愛知県名古屋市生まれ、2013年に愛知県立芸術大学美術学部美術科日本画専攻を卒業、2013年に第68回日本美術院春の院で入選(2014年、2015年、2017年に入選)、再興第98回院展で入選(2014年、2015年に入選)、2016年に同大学大学院博士前期課程日本画領域を修了している。

安井彩子さんは1984年愛知県名古屋市生まれ、愛知県立芸術大学美術学部美術科日本画専攻を卒業、2011年に同大学大学院博士前期課程日本画領域を修了、同年に再興第96回院展で入選(以降2012年、2013年、2018年、2019年、2020年に出品)、第66回春の院展で入選(2012年、2013年、2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2020年に出品)、第22回臥龍桜日本画大賞展で入選、2018年に郷さくら美術館第6回桜花賞展で館長賞を受賞している。

宮北千織さんは1967年東京都生まれ、1992年に東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、サロン・ド・プランタン賞、台東区長賞、1994年に同大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻を修了、修了制作が芸大買い上げ、模写が台東区買い上げ、同年に再興第79回院展で入選(2001年に奨励賞、2002年に日本美術院大観賞、足立美術館賞、2003年に奨励賞、2004年に日本美術院賞大観賞、天心記念茨城賞、2014年に文部科学大臣賞、2015年に内閣総理大臣賞、2017年に足立美術館賞)、1995年に第50回春の院展で入選(2000年に奨励賞、2001年に春季展賞、2002年に春季展賞、2003年に奨励賞)している。

1995年に第10回有芽の会で全国更生保護婦人連盟賞(1998年に法務大臣賞)を受賞し、1997年に同大学大学院美術研究科博士後期課程(日本画)満期退学した。2000年に第55回日本美術院春季展で奨励賞(2001年に春季展賞、2002年、2003年に奨励賞)を受賞している。

國司華子さんは1960年東京都渋谷区生まれ、1987年に東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、1989年に同大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻を修了、1990年に再興第75回院展初入選(1995年に奨励賞、1999年に奨励賞、2001年に奨励賞、2005年に日本美術院大観賞、天心記念茨城賞、2006年に奨励賞、2014年に日本美術院大観賞、足立美術館賞、2016年に足立美術館賞、2017年に文部科学大臣賞)、2001年に東京日本画新鋭選抜展で特別賞を受賞している。

川﨑麻央さんは1987年島根県生まれ、2010年に東京芸術大学で安宅賞、2012年に東京芸術大学日本画を卒業、全国美術大学奨学日本画展で奨励賞、2014年に同大学大学院美術研究科修士課程日本画を修了、修了作品を芸大買い上げ、杜賞、第29回有芽の会で法務大臣賞、再興第99回院展で初入選(2019年に奨励賞、2020年に奨励賞、天心記念茨城賞、2021年に奨励賞)。

2015年に第70回日本美術院春の院展で初入選(2018年に奨励賞、2020年に春季展賞、郁夫賞)、第11回春の足立美術館賞、絵画の筑波賞展で奨励賞、島根県益田市スポーツ・文化顕彰、第26回天心記念茨城賞を受賞している。

坂根輝美さんは1978年愛知県生まれ、2004年に愛知県立芸術大学日本画科を卒業、卒業作品展で桑原賞、2006年に同大学大学院日本画修士課程を修了、2005年に日本美術院春の院展に出品(2008年、2010年、2012年、2013年、2014年、2015年、2016年、2018年、2019年にも出品)、2007年に再興第92回院展に出品(2009年、2012年、2013年、2014年、2018年、2019年にも出品)し、2011年に「風雅の会」に出品(2012年から2019年まで毎年出品)し、2009年に東京都歴史文化財団の「トーキョーワンダーウォール2009作品展」で入選している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)まで。