ギャルリー志門で安藤栄作と長谷川浩子夫婦が彫刻展

【銀座新聞ニュース=2021年11月22日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル3階、03-3541-2511)は11月22日から12月4日まで安藤栄作さんと長谷川浩子さんによる彫刻展「MILESTONE」を開く。

ギャルリー志門で11月22日から12月4日まで開かれる安藤栄作さんと長谷川浩子さんによる彫刻展「MILESTONE(マイルストーン)」のフライヤー。

彫刻家で丸太を手斧で叩いて刻む技法で制作する安藤栄作さんと妻で彫刻家、妖精の様なつるつるした木の彫刻を作成する長谷川浩子さんが新作を中心に展示する。

ギャルリー志門によると、10年前の3.11東北大震災のその日、「安藤栄作・長谷川浩子二人展」を開催していた。「画廊も大きな揺れがあり、私はあわてて事務室から飛び出し会場の彫刻を手で押さえた。揺れは止まらず私も外に出た。汐留の高層ビルがゆっくりゆらゆらと揺れていた」という。

「揺れも収まったので急いで画廊に戻ると2メートルの細長い彫刻が倒れていた。台座もガタガタ移動していた。しかし、台座の上の彫刻は倒れもせず落ちもせず、ちんまりと台に乗っかっている。よく見ると台座ごと歩いていて壁にぶつかって止まっていた。私は何に驚いたかって、地震よりその彫刻の安定感に芯から驚いた」。

福島にアトリエを構えていた安藤栄作さんは新潟の親戚の家に身を寄せたが、翌日から木を拾ってきて彫刻を作っていた。長谷川浩子さんは東京で翌4月に以前から予定していた個展を、各処に預けてある作品をかき集めて穴をあけずに開いたという。

「家も家財も思い出の作品もすべてを失い精神を喪失してしまいそうなあの状況下で、どこからこのエネルギーが生まれてくるのだろう。その後の活躍はめざましい。魂が震えるようなすばらしい作品をたくさん見せてくれた。彫刻を作るためにこの世に生まれて来た人なのだと思う」としている。

安藤栄作さんは岡山県井原市が主催する日本の木彫作家を対象とした2017年の「第28回平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)賞」、2019年に「第10回円空(1632-1695)大賞」で「円空賞」を受賞している。

安藤栄作さんは1961年東京都墨田区生まれ、1986年に東京芸術大学彫刻科を卒業、1988年にギャラリーKで個展を開き、1990年に福島県いわき市の山間部に移り住み、1991年に彫刻の制作と並んで、パフォーマンスをはじめ、2008年にいわき市の海辺部に自宅兼アトリエを移し、2011年に東日本大震災で自宅兼アトリエが津波で流され、奈良県明日香村に移り、その後、奈良県天理市に移り、同年に絵本「あくしゅだ」を刊行している。

長谷川浩子さんは1961年新潟県新発田市生まれ、1988年に東京芸術大学大学院彫刻専攻を修了、1989年に第19回現代日本美術展で入選、1990年に福島県いわき市の山間部に移り住み、1998年に雪梁舎(せつりょうしゃ)展で雪梁舎賞、2008年に同市の海辺部に自宅兼アトリエを移転、2011年に東日本大震災により自宅兼アトリエを津波で流され、新潟の実家に移り、その後、奈良県明日香村を経て、天理市に移転した。現在、京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)非常勤講師。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、日曜日のみ休み。