リコー画廊でP.デュラン、村上華子ら「拡張するイメージ」展

【銀座新聞ニュース=2022年1月14日】国内最大のOA機器メーカーのリコー(中央区銀座8-13-1、03-6278-2111)グループのリコーイメージング(大田区中馬込1-3-6)が運営するギャラリー「RICOH ART GALLERY」(中央区銀座5-7-2、三愛ドリームセンター、03-3289-1521)は1月15日から2月10日までフィリップ・デュランさんらによるグループ展「EXPANDED IMAGES 拡張するイメージ」を開く。

RICOH ART GALLERY(リコーアートギャラリー)で1月15日から2月10日まで開かれるグループ展「EXPANDED IMAGES 拡張するイメージ」のフライヤー。左下から時計順にM・ポンサンさんの「What Girls Are Made Of(ワット・ガールズ・アー・メイド・オブ)」、村上華子さんの「ANTICAMERA(OF THE EYE、アンティカメラ・オブ・ザ・アイ)」、P・デュランさんの「Chauvet Cave(ショーベ・カーブ)」、J・エマールさんの「The First Dream/Hatsuyume(ファースト・ドリーム・初夢)」((C)Justine Emard/Adagp,Paris 2021)。

今回はイメージの新たなパラダイムについて考察するグループ展(9階)で、リコーがアート作品のために開発した2.5次元印刷技術「StareReap(ステアリープ)」を使用し、フランスを拠点に活動するフィリップ・デュラン(Philippe Durand)さん、ジュスティーヌ・エマール(Justine Emard)さん、村上華子さん、マリルー・ポンサン(Marilou Poncin)さんの4人が制作した、初公開の作品を展示する。

本展は美術批評家・キュレーター、フランス国立造形芸術センター(CNAP)の写真コレクション責任者のパスカル・ボース(Pascal Beausse)さんが芸術アドバイザーとして担当した。

RICOH ART GALLERY(リコーアートギャラリー)によると、フィリップ・デュランさんは、自分の足で歩き回ることで、なんでもない日常の中に、社会と世界が変化する際に現れる束の間のサインを嗅ぎ出す。ドキュメンタリーの手法を採用した写真媒体へのアプローチは、華々しさやイベント性とは距離をおき、世界を迂遠的で詩的な方法で表そうとしている。最新シリーズ「ショーヴェ/内的探求」では、洞窟に残された人類の歴史上最古の芸術活動の貴重な痕跡をとらえている。

また、2020年にフランス国立造形芸術センター(CNAP)が国立ジュ・ド・ポーム美術館と共催する、国による写真注文を享受できるコンクール「Image 3.0」の受賞者となった。「タズナ岩石」プロジェクトは、リコーとフィリップ・デュランさんの最初の2.5次元印刷技術を用いたコラボで、リコーは2021年にフランスの国立現代アートコレクションに加わった6点の写真シリーズの制作に、全面的に技術サポートしている。

また、「Image 3.0」プログラムではジュスティーヌ・エマールさんと村上華子さんも受賞している。

ジュスティーヌ・エマールさんは、人間とテクノロジーの間に構築される新しい関係性について探求している。写真、ビデオ、仮想現実、パフォーマンスといった多様な表現媒体を組み合わせながら、ロボット工学、神経科学、有機生命体、人工知能の領域を行き来するように創作活動を行っている。その思考は、人間と機械のあいだの相互作用について源流を辿ることにも向かいはじめている。

数年前から睡眠中に現れる無意識のイメージに3D印刷による彫刻としての形態を与えることに取り組み、3連画「The First Dream/初夢」は、自らの脳から発された、夢における映像を電子信号として物質化した作品という。

村上華子さんは2007年に東京芸術大学美学・美術史学科を卒業、2009年に同大学大学院修士課程を修了、2011年に同大学大学院博士課程を修了、同年にベルギーのラ・カンブル国立美術学校に交換留学生として留学し、2014年にフランスの国立現代美術スタジオにて学ぶ。フランスでは、表現媒体の技術の歴史、とりわけ写真の古典技法や活版印刷術を探求しながら制作している。

それらが発明された時代に関する調査を通じて、例えばリュミエール兄弟(freres Lumiere、兄のオーギュスト・リュミエール=Auguste Marie Louis Lumiere、1862-1954、弟のルイ・リュミエール=Louis Jean Lumiere、1864-1948)によってガラス板に色の付いたジャガイモのでんぷんを用いて現像された最初のカラー写真技術であるオートクロームによる連作「ANTICAMERA (OF THE EYE、アンティカメラ・オブ・ザ・アイ)」では、写真とは何かという認識論的な問いかけを提示している。

マリルー・ポンサンさんはメディアにおける女性の身体の表され方を通じて、女性性の幻想について考察する作品を制作している。イメージを拡大し堆積をすることで、被写体と鑑賞者の距離を縮め、表された身体を触知的に体験させる。

新しい連作「What Girls Are Made Of(ワット・ガールズ・アー・メイド・オブ)」もまた、政治的・フェミニズム的な性格が色濃く刻まれた作品で、女性たちに向けて、社会の支配的な美のコードやモラルの束縛から解放され、自身の女性性をコンプレックスなく生きることを呼びかけている。

RICOH ART GALLERYは三愛ドリームセンター8階と9階に2021年6月5日から2022年3月までの期間限定で運営されているギャラリーで、リコーのアートプロジェクト、2.5D(次元)印刷ができる「StareReap(ステアリープ)」で制作された作品を展示するスペースとなっている。

展示品の販売はRICOH ART GALLERYだけでなく、一部についてはファッションサイト「ZOZOTOWN(ゾーゾータウン)」上のラグジュアリー&デザイナーズゾーン「ZOZOVILLA(ゾーゾービラ)」でも販売されている。

開場時間は12時から19時(最終日は18時)。日・月曜日、祝日は休み。