インド、第3波が終わりへ、学校も再開、結婚式ラッシュに(90)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2022年3月1日】インド全土(人口13億8000万人)の感染状況は2月16日現在のジョンズ・ホプキンス大学(JHU)統計では、新規陽性者数3万0615人(昨日は3万人弱の2万人台)と激減しており、第3波収束へと加速化している(累計4270万人、死者数51万人)。

わが息子は、インドで活躍するプロのラッパー(芸名はRapper Big Deal、写真左)。コロナ禍で2年間思うように音楽活動ができずにいたが、第3波収束でオファーが殺到し、うれしい悲鳴をあげている。

ワースト州は南のケララ(Kerala、人口3460万人)で新規1万1776人と、唯一1万人を突破している(累計643万人、死者数6万2681人)。累計数でワースト(785万人)のマハラシュトラ(Maharashtra、人口1億1420万人)は、新規2831人だった(死者数14万3000人)。

全土の28州8連邦直轄領は緩和推進、当オディシャ州((Odisha、人口4600万人)も、陽性者数が1000人を切り(925人、累計128万人、死者数8926人)、低学年の公立スクールも14日から開校決定、ナビーン・パトナイク(Naveen Patnaik)州首相は、子女を学校に送り出すことを恐れないでほしいと呼びかけていたが、パンチャヤート(Panchayati Raj、地方自治体の最末端単位、サンスクリットで5の意味)選挙を控え、開校は2月28日に延期された。

私立校数校を除いて依然閉校したままで、州政府の不確かな方針に関係者や父兄に混乱が広がっている。

一方、第3波収束の動きを受けて、挙式需要が高まり、州都ブバネシユワール(Bhubneshwer)では、2000件以上の結婚式ラッシュ、2年間式自粛を強いられたカップルたちが、痺れを切らしたようにどっと会場ホテルの予約に殺到した。

当地プリー(Puri)でも、表通りを結婚行進隊が大音響の音楽を鳴らしながら、にぎやかに行き交っている。しかし、式の費用を惜しまずゴージャスに催したがるアッパーミドルクラス層もさすがに、予算は抑え気味のようだ。

当ホテル・ラブ&ライフ(HOTEL Love&Life)もいずれは、結婚式ビジネスに乗り出したいと思っているが、今現在は環境が整わず、式ラッシュに沸く大中ホテル群を指をくわえて見守るばかりだ。

なお、現時点での全土のワクチン接種2回完了者は55%(1回69.5%)と、半数を超えたが、ワクチン先進国のように3回目ブースターの足場は整っていない(わずか1.2%)。

アルバム(https://youtu.be/AlhWdh3xoB0)とシングル(https:/youtu.be/teE1EXY4bNU)を最近リリースしたが、好評でファンが待ち焦がれるライブ開催も遠くない?

〇ニュース/インド政府、北京五輪を外交ボイコット、印中関係悪化

さる2月4日から、北京にて冬季オリンピックが開催されたが、インドは前日、聖火リレーのランナーに、2020年5月の印中国境紛争(インド兵士20人死亡)時の人民解放軍の指揮官(中国本国では英雄視扱い)が起用されたことに抗議して、外交ボイコットを表明した。

インドの外務省報道官は、五輪の政治利用は遺憾と批判、開会・閉会式にも、在中インド大使館の幹部は欠席、インド国営放送ドゥーダルシャン(Doordarshan)も生中継しない方針を決定した。

5日付けの現地英字紙には、北京のスタジアムで行われた開会式にインド代表団が国旗を掲げて行進する写真が掲載されたが、参加選手もアルペンスキー1人のみで、北京五輪は、インド国民の関心の外だ。

印中関係は度重なる国境での小競り合いで、ただですら犬猿の仲がさらに険悪になっている。商業上は、安価な中国製品が流れ込むなど、近年活発化しているが、パンデミック(世界的大流行) 下勢力拡大の野心を見せる中国に、警戒を強めている。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。

2022年2月21日現在、世界の感染者数は4億2594万2053人、死者は589万0818人(回復者は未公表)です。インドは感染者数が4285万1929人、死亡者数が51万2344人(回復者は未公表)、アメリカに次いで2位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は7852万9099人、死亡者数が93万5990人(回復者は未公表)、日本は感染者数が455万0141人、死亡者数が2万2033人、回復者が361万3926人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。2021年3月から第2波に突入するも、中央政府は全土的なロックタウンは発令せず、各州の判断に任せています。マハラシュトラ州や首都圏デリーはじめ、レッドゾーン州はほとんどが州単位の、期間はまちまちながら、ローカル・ロックダウンを敷いています。編集注は筆者と関係ありません)。