中央の百貨店7月、5店が10カ月連続増、高額品や日傘等堅調

(終わりの方に参考として6月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてあります)
【銀座新聞ニュース=2022年8月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の7月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは10カ月連続となっている。

中央の百貨店5店の中で、7月の売上高(店頭ベース)で30%以上の伸びを示した松屋銀座店。

7月は新型コロナ感染症の再拡大に伴う外出自粛から、下旬に入店客数が減少したものの、7月としては各店とも前年実績を上回った。「ラグジュアリーブランドなど高付加価値な商品への購買意欲が高」(三越伊勢丹ホールディングス)いことや、猛暑の影響により「サングラス、日傘などの婦人雑貨」(松屋)が堅調だった。なかでも、銀座三越、大丸東京店、松屋銀座店の3店舗は20%以上の伸びを示した。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比13.8%増(6月速報値14.4%増、確定値13.6%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、6月の商品別では家具インテリアと家電がマイナスで、ほかの商品はプラス)と店頭ベースでは11カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は26.3%増(同速報値24.2%増、確定値24.2%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、6月の商品別では呉服寝具ほか、がマイナスで、ほかの商品はプラス)と10カ月続けてプラスとなった。

伊勢丹新宿本店、日本橋三越では、引き続きラグジュアリーブランドなど高付加価値な商品への購買意欲が高く、時計・宝飾・ハンドバッグに加え、早期の梅雨明けによる気温上昇で、夏物衣料(ワンピース、カットソーなど)や服飾雑貨(晴雨兼用傘、サングラスなど)が大きく伸長した。これにより、伊勢丹新宿本店、日本橋三越は2019年の実績を上回り、三越伊勢丹計(5店)では9カ月ぶりに2019年の実績を超えた。

訪日外国人観光客売上高(免税売り上げ、インバウンド)は、6月の入国制限の緩和を受け、三越伊勢丹計、国内百貨店計(15店)ともに前年実績を上回り、緩やかな回帰傾向を見せている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同8.7%増(同速報値12.7%増、確定値12.4%増)と10カ月続けてプラスとなった。新型コロナの感染者数が増えたものの、高額品をはじめ消費意欲が堅調であったことから、前年実績を上回った。

全店ベースの商品別売り上げ(高島屋15店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、子ども情報ホビー、スポーツ、リビングなどが前年実績を上回った。

7月の全店の店頭売上高は10.6%増(6月速報値12.3%増、確定値12.4%増、2019年比6.8%減)、訪日外国人観光客売上高は153.2%増(6月速報値73.1%増、確定値73.1増、2019年比57.3%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は8.7%増(6月速報値11.5%増、確定値11.6%増、2019年比3.2%減)だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同25.9%増(同速報値33.6%増、確定値33.4%増)と10カ月続けてプラスとなった。

新型コロナ感染症の再拡大に伴う外出自粛から、下旬に入店客数が減少したものの前年実績を上回った。商品別では、ラグジュアリーブランドや宝飾品が引き続き全体を牽引したほか、猛暑の影響や夏季休暇に向けた消費の動きが見られ、パラソルやキャリーケースなどが好調であった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店)の訪日外国人観光客売上高は433.6%増(客数同441.0%増、客単価同1.4%減)、2019年7月比75.8%減だった。
だった。

7月の大丸松坂屋百貨店の店計売上(法人・本社等の本年、過去実績を除く既存店)は同12.5%増、2019年7月比10.2%減、うち国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年、過去実績を除く)は同10.4%増、2019年7月比3.8%減だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同33.6%増(同速報値42.8%増、確定値42.8%増、6月の銀座店は全商品ともプラス)と10カ月続けてプラスとなった。

銀座店は、化粧品が前年比約38%増、ラグジュアリーブランドが同約51%増、時計も同約78%増と、強みとなるカテゴリーが大幅に売り上げを伸ばした。また、クリアランスセールと並行し、サングラス、日傘などの婦人雑貨が前年比約3割増となるなど、厳しい暑さを反映したプロパー商材も健闘した。

これらの堅調な売り上げにより、訪日外国人観光客売上高を除く国内の売り上げは新型コロナ感染症の拡大前となる2019年7月比でも約17%増となった。また、訪日外国人観光客売上高については、今後の入国緩和などにより徐々に回復する見通しとしている。

新型コロナの再拡大において、現段階では入店客数が前年比約3割増で推移しており、入店客数などに大きな影響はないとしている。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社188店舗(総従業員5万6099人)の6月の売上高(店舗調整後)は前年同月比11.7%増の4143億20万円で、4カ月続けてプラスとなった(2019年6月比11.3%減)。入店客数は19.3%増だった。

前年の緊急事態宣言等対象地区における営業制限(一部売場を除く土日曜日休業など)の反動と、外出機会の増加が寄与した。富裕層を中心に高額消費が引き続き活況だった他、月後半の記録的に早い梅雨明けなどに伴い、夏物衣料や服飾雑貨、UV(紫外線)ケア商品も動いた。

顧客別では、国内市場は4カ月連続プラスの11.3%増(シェア98.4%)、2019年比では7.0%減であったが、コロナ前の実績を超える店舗も見られた。訪日外国人観光客売上高は、政府による水際対策の段階的な緩和などもあり、47.9%増(3カ月連続、シェア1.6%)と伸長したが、2019年6月比では76.4%減と、依然、厳しい状況に大きな変化は見られない。

地区別では、5月と同様、全地区で前年比プラスとなり、地方(10都市以外の地区、3カ月連続)が3.9%増、前年に8地区で緊急事態宣言が出された大都市(10都市、9カ月連続)は14.7%増となった。

商品別では、主要5品目すべてがプラスとなった。中でも、ラグジュアリーブランドを含む身のまわり品(27.2%増)や、時計・宝飾などの高額品(美術・宝飾品・貴金属25.7%増)、菓子(14.7%増)の3品目は高伸し、2019年実績も超えた。また、猛暑などの天候与件から、日傘、帽子、サングラスなどの盛夏商材や、UV関連商品も好調だった。化粧品は、一部海外ブランドなどで価格引き上げ前の駆け込み需要も見られた。

食料品では、生鮮食品は世界情勢の影響などによる入荷減や価格高騰、イエナカニーズの減少などから苦戦したが、手土産需要で和洋菓子が好調だった他、父の日ギフトで酒類なども健闘した。中元商戦前半は、各社共、SNSを活用したウエブ連動策や顧客ニーズに沿った商品展開を行い、堅調に推移している。

全国の百貨店の6月の営業日数は前年比0.2日増の29.9日、108店舗の回答によると、入店客は82店が増え、7店が減ったとし、82店舗の回答によると6月の歳時記(父の日、中元)の売り上げについては12店が増え、13店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の6月の売上高(店舗調整後)は前年同月比13.8%増の1236億6126万円と10カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の6月の売上高は同47.9%増の約66億円と3カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが1.6%としている。

このうち、一般物品売上高は同72.1%増の約59億円と16カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同33.0%減の約7億円と13カ月続けてマイナス、購買客数が同83.7%増の約1万8000人と3カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同19.5%減の約36万円で、2カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年8月まで1位、9月2位、10月から2022年5月まで1位)で9カ月連続、2位がハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年8月まで2位、9月1位、10月から2022年5月まで2位)で、9カ月連続だった。

3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年9月まで3位、10月4位、11月、12月、2022年1月3位、2月4位、4月、5月3位)で、3カ月連続だった。

4位が食料品(2020年3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年4月まで4位、5月3位、6月5位、7月3位、8月4位、9月から11月3位、12月、2022年1月4位、2月3位、3月4位、4月、5月3位)で、3カ月ぶりに下がった。5位が紳士服・雑貨と4月以来、2カ月ぶりに5位に上がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2022年5月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2022年5月まで2位)で、26カ月連続だった。

3位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年4月まで4位、5月から2022年5月まで3位)で、14カ月連続だった。

4位が香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年4月まで3位、5月4位、6月、7月6位、8月5位、9月3位、10月、11月、12月4位、2022年1月6位、2月、3月7位、4月、5月4位)で、3カ月連続だった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月から4月5位、5月6位、6月、7月5位、8月6位、9月5位、10月から12月6位、2022年1月5位、2月、3月4位、4月5位、5月6位)で、2カ月ぶりに上がった。

6位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月から9月まで7位、10月、11月5位、12月と2022年1月4位、2月、3月5位、4月6位、5月5位)で、4月以来2カ月ぶりに下がった。

7位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月から4月5位、5月から8月4位、9月5位、10月と11月6位、12月と2022年1月7位、2月、3月5位、4月、5月7位)で3カ月続けて7位だった。