丸善日本橋で安藤彩子「卵殻モザイクアート」展

【銀座新聞ニュース=2022年8月16日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は8月17日から23日まで3階スパインスペースで「卵殻モザイクアート 安藤彩子作品展」を開く。

丸善・日本橋店で8月17日から23日まで開かれる「卵殻モザイクアート 安藤彩子作品展」に出品される作品。

卵殻(らんかく)モザイクアートは、日本画の材料である顔料で着色した卵殻を素地に貼り付けて描くモザイク画で、昭和の初めに山梨県の師範学校の教師、矢崎好幸(1894-1950)によって考案され、それを受け継いだ桑原浜子(1921-2008)によって多くの作品が作られてきた。

現在、桑原浜子の孫にあたる安藤彩子さんがその技法を紹介し、普及に努めており、今回は「卵殻モザイク研究所」(山梨県笛吹市境川町藤垈166、055-266-2157)を主宰する安藤彩子さんの作品約50点展示する。

「THE PEACH CITY」などによると、「卵殻モザイク」は1930(昭和5)年に、山梨師範学校(現山梨大学)の教諭、矢崎好幸によって考案されたもので、卵の殻に水干(すいひ)と呼ばれる日本画の顔料で着色し、それを指で割って形を作り、専用の接着剤(牛乳のタンパク質を主成分とした「ガゼックス」と呼ばれる)で素地に割りながら貼り付けて描くモザイク画だ。

「卵殻モザイク」それ自体は昔から日本の伝統工芸の一つとしてつづいてきたもので、漆に卵の殻を塗り込め、磨きだし、卵の殻の白で図案を出すという工芸で、正倉院の御物の一部にも使われており、短刀の鞘や文鎮などにも使われ、残されている技術という。しかし、工程がむずかしく、専門的なものであるため、素人にはなかなかできないものだった。

矢崎好幸の発明により、誰にでもできる着色卵殻の技術が創られたことにより、絵画的にも自在に表現できるようになった。桑原浜子は、山梨県立甲府高等女学校を卒業後、矢崎好幸の研究所で直接指導を受け、2008年に95歳で他界するまでの75年間、創意工夫を重ねながら創作・普及活動を続けた。

安藤彩子さんは愛知県名古屋市生まれ、2000年に名古屋造形芸術短期大学日本画学科を卒業、2004年より山梨文化学園にて卵殻モザイク講座を開講している。現在も、日本で唯一の卵殻モザイクアーティストとして活動している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)。