戸田建のKYOBASHI WALLで高橋喜代史とC・ジンウェンが優秀賞

【銀座新聞ニュース=2022年9月21日】建設業界売上高14位の戸田建設(中央区八丁堀2-8-5、03-3535-1354)は9月20日、「KYOBASHI ART WALL-ここから未来をはじめよう」の第2回優秀作家と奨励作品を発表した。

戸田建設の「KYOBASHI ART WALL-ここから未来をはじめよう」のフライヤーで、第2回優秀作家に選ばれた高橋喜代史さんの「POSTER(ポスター)」(左)とチャン・ジンウェンさんの「冬夜」。

優秀作家と作品は写真家の高橋喜代史さんの「POSTER(ポスター)」と台湾生まれで、インスタレーション作家のチャン・ジンウェン(Chang Chingwen)さんの「冬夜」が選ばれた。この作品は9月21日から2024年3月まで戸田建設が現在、工事を進めている新本社ビル「TODA BUILDING(トダ・ビルディング、仮称)」(TODAビル)の建設現場の仮囲(中央区京橋1-7-1、北面)に展示する。

「POSTER」は英語、日本語、アラビア語の3つの言語で「助けて(HELP)!」と描かれた大きなポスターを、1人で貼ろうとするスチール写真で、日本の難民認定問題を背景に、日本に助けを求めて難民申請をする人々の状況と、ポスターを貼るには助けが必要な状況を重ねている。

一方、「冬夜」は無機質な風景を描写し、現代人の「孤独」や「記憶」、また「コロナの不安感」などの感情を伝えたいと考えたチャン・ジンウェンさんが、見慣れた喫煙所をモチーフにして描写したもので、人がいなくても、見えない記憶や感情が存在していると考え、空間の閉鎖的な構図を利用して、物語が溢れるような場面を作りたいと思ったという。作品は、現実の世界を再現するだけではなく、現実と非現実の隙間を織り込んで、不思議な世界を表現している。

奨励作品は有馬莉菜さんの「屋上」、諏訪葵さんの「色と揺れ」、中井伸治さんの「ただいま」、BAKKY(バッキー)さんの「BAKKY POSE(バッキー・ポーズ)」が選ばれた。

「KYOBASHI ART WALL(キョウバシ・アート・ウォール)」は、戸田建設が新進アーティストの支援を目的に2021年11月にスタートした現代アート作品の公募展で、TODAビルの2024年オープンに向けて、半年に1回、全4回にわたり作品を募集し、毎回、優秀作品を2点(計8作品)を選出する。優秀作品は、TODAビル建設現場の仮囲に掲出するほか、東京・京橋の各所にて展開し、京橋発の新進アーティストを発掘するのが目的としている。

第2回目は2022年5月16日から7月28日まで作品を募集し、国内外から総数247点の応募があり、公益財団法人「石橋財団」アーティゾン美術館の副館長、笠原美智子さんと、タカ・イシイギャラリー代表の石井孝之さん、戸田建設京橋プロジェクト推進部が審査員で、優秀作品2点、奨励作品4点を選び、優秀作品には、仮囲での掲出展示に加え、賞金25万円、2023年3月には戸田建設が期間限定で運営するスペース「KYOBASHI ART ROOM(キョウバシ・アート・ルーム)」(中央区京橋1-8-4、京橋第二ビル)にて優秀作家の展示会を予定している。

高橋喜代史さんは1974年北海道生まれ、札幌を拠点に国内外で活動。言葉や文字を扱い「接続と分断」に関する映像インスタレーションや立体作品を制作している。1995年にヤングマガジン奨励賞、2000年にビッグコミックスピリッツ努力賞、2010年にJRタワーアートボックス最優秀賞、2020年に第3回本郷新記念札幌彫刻賞を受賞している。2012年より現代美術の企画も行う。2015年に一般社団法人「PROJECTA(プロジェクタ)」を設立している。

チャン・ジンウェンさんは1979年台湾台中生まれ、2020年から多摩美術大学大学院博士後期課程に在籍している。2022年に「記憶容器」SICF22 EXHIBITION部門グランプリアーティスト展に出品している。

また、2021年の第1回目の優秀作品に選ばれたコケシスキーさんが9月28日から10月8日まで個展「Somewhere(サムウエア)」展を、佐々木香輔さんが10月19日から29日まで個展「SPACE(スペース)」展をそれぞれ「KYOBASHI ART ROOM」で開く。

コケシスキーさんは多摩美術大学デザイン科を卒業、アメリカ・ニューヨークのPratt Institute(プラット・インスティチュート)を修了、MFA(美術学修士)を取得、モーショングラフィック・デザイナーとして活動後、帰国し、デザイン業に従事する傍ら2005年より絵画を制作し、2016年からファインアートに移し、初個展を開き、近年は東京を拠点に作品を発表している。

佐々木香輔さんは1985年宮城県生まれ、2007年に日本大学芸術学部写真学科を卒業、2018年に第41回「キヤノン写真新世紀」で優秀賞、2020年に第22回 「1_WALL」写真部門でファイナリスト、2021年に「ALTERNATIVE KYOTO(オルタナティブ・キョウト)」(京都府主催芸術祭)に参加している。

10月5日には18時30分から19時30分まで「KYOBASHI ART ROOM」でコケシスキーさんとアートコレクターで横浜美術大学教授の宮津大輔さんがクロストークを開く。定員は15人で、事前予約制。

10月21日には18時30分から19時30分まで「KYOBASHI ART ROOM」で佐々木香輔さんと批評家、哲学研究者、立命館大学非常勤講師の福尾匠さんがクロストークを開く。定員は15人で、事前予約制。いずれも入場は無料。

展示会の開場時間は11時から18時。日曜が定休。入場は無料。