中央の百貨店9月、5店とも12カ月連続増、高額品や宝飾品等好調続く

(終わりの方に参考として8月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れました)
【銀座新聞ニュース=2022年10月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の9月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは12カ月連続となっている。

中央の百貨店5店の中で、9月の売上高(店頭ベース)で前年同月比38%以上の伸びを示した大丸東京店。

なかでも、日本橋三越、銀座三越、大丸東京店、松屋銀座店の4店舗は30%以上の高い伸びを示した。

9月は新型コロナによる行動制限がなかったことから、昨年に対する反動増に加え、「引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く」(三越伊勢丹ホールディングス)、「ラグジュアリーブランド、宝飾品などの好調」(J.フロントリテーリング)が続いている。松屋銀座店では「松美会・秋の感謝祭」を開いたところ、2日間で過去最高となる16億円超の売上高を記録した。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比31.0%増(8月速報値39.6%増、確定値37.5%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、8月の商品別では全商品がプラス)と店頭ベースでは13カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同32.9%増(同速報値43.7%増、確定値43.7%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、8月の商品別では家具インテリアがマイナス、ほかの商品はプラス)と12カ月続けてプラスとなった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響は限定的で、高額品への購買意欲が高く、特に、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では増税前の大きな駆け込み需要があった2019年実績には届かなかったものの、2018年実績を大きく上回り、引き続き売り上げを牽引している。

伊勢丹新宿本店・日本橋三越では、引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く、宝飾、ハンドバッグに加え、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に秋冬アイテム(婦人ではコートなどの重衣料やショートブーツ、紳士ではトップスなどの軽衣料)も好調に推移している。また、お得意向けのイベントや外国展も好調に推移し、売り上げを押し上げた。

訪日外国人観光客売上高(免税売り上げ、インバウンド)は入国制限の規制がさらに緩和されたこともあり、回復基調がより強まり、国内百貨店計で前年実績を上回った。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同20.3%増(同速報値24.9%増、確定値24.7%増)と12カ月続けてプラスとなった。前年の緊急事態宣言に伴う売り上げ減少の反動に加え、高額品が好調であったことから、前年実績を上回った。

全店ベースの商品別売り上げ(高島屋15店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、子供情報ホビー、スポーツ、リビング、美術、食料品、食堂が前年実績を上回った。

9月の全店の店頭売上高は20.1%増(2019年比25.3%減)、訪日外国人観光客売上高は153.0%増(2019年比54.2%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は18.0%増(2019年比23.6%減)だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同38.1%増(同速報値45.4%増、確定値45.9%増)と12カ月続けてプラスとなった。

9月は、台風11号・14号・15号による臨時休業や営業時間短縮などの影響があったものの、前年同時期に全国主要都市で新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が実施されていたことによる反動増に加え、ラグジュアリーブランド、宝飾品などの好調持続により、大丸松坂屋百貨店合計(既存店)では同22.4%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計(既存店)では同21.8%増となった。

大丸松坂屋百貨店合計(既存店)の訪日外国人観光客売上高は同418.9%増(客数同586.6%増、客単価同24.4%減)だった(2019年比72.9%減、2018年比67.6%減)。

また、国内売上高(訪日外国人観光客売上高を除く)は同18.9%増、2019年比26.6%減、2018年比1.5%減だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同36.1%増(同速報値46.1%増、確定値46.1%増、8月の銀座店は家具がマイナス、ほかの商品はプラス)と12カ月続けてプラスとなった。

銀座店は、化粧品が8月上旬のリニューアルで売場面積が2割拡大したことも要因となり前年比約53%増、ラグジュアリーブランドは同約35%増、時計は同約79%増になった。また、月上旬には松屋カードホルダーなどを対象とした「松美会・秋の感謝祭」を開催し、2日間の売上高は過去最高となるなど秋物商材が好調に推移した。訪日外国人観光客売上高は入国緩和に伴い徐々に回復の傾向にあるとしている。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社187店舗(総従業員5万5383人)の8月の売上高(店舗調整後)は前年同月比26.1%増の3494億8151万円で、6カ月続けてプラスとなった(2019年8月比14.1%減)。入店客数は26.2%増だった。

8月は、夏期休暇の帰省や旅行で人の往来が活発化したことから、新型コロナ感染状況がピークとなり、主要顧客の高齢層を中心に外出自粛傾向が見られたものの、前年の緊急事態宣言などによる営業制限の反動や、各社が実施した物産展やセールなどの企画催事、さらに一部高級ブランドにおける価格改定前の駆け込みなども含め業績を下支えし、前年実績を上回った。しかし、2019年7月比(9.1%減)よりも5.0ポイントダウンした。

顧客別では、国内市場は24.3%増(6カ月連続、シェア97.4%)、訪日外国人観光客売上高は政府による水際対策緩和などから176.0%増(5カ月連続、シェア2.6%)となった。2019年比では、国内市場は10.8%減だった。その一方で、訪日外国人観光客売上高は64.0%減と、依然として厳しい状況にある。

地区別では、全地区で前年比増となり、大都市(10都市、11カ月連続)が31.6%増、地方(10都市以外の地区、5カ月連続)でも12.4%増とともに二桁増だった。

商品別では、主要5品目すべてで前年実績を超えた。とくに、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品が増勢が続き、美術、宝飾、貴金属は2019年実績も上回っている。

衣料品や靴、かばんなどのファッション雑貨は、盛夏アイテムに加え、秋物商材にも動きが見られた。「オケージョンニーズ」からフォーマル関連も好調だった。食料品は、帰省など手土産需要から和洋菓子が高い伸びを示した。生鮮食品は、不漁や大雨による葉もの野菜の高騰などで苦戦したものの、前年比ではプラスに転じた。

全国の百貨店の8月の営業日数は前年比0.2日増の30.7日、108店舗の回答によると、入店客は86店が増え、2店が減ったとし、82店舗の回答によると8月の歳時記(夏休み、お盆)の売り上げについては27店が増え、6店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の8月の売上高(店舗調整後)は前年同月比38.4%増の1031億9195万円と12カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の8月の売上高は同176.0%増の約92億2000万円と5カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが2.6%としている。

このうち、一般物品売上高は同194.2%増の約84億4000万円と18カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同65.1%増の約7億8000万円と2カ月続けてプラス、購買客数が同250.2%増の約2万7000人と5カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同21.2%減の約33万7000円で、4カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年8月まで1位、9月2位、10月から2022年7月まで1位)で11カ月連続、2位がハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年8月まで2位、9月1位、10月から2022年7月まで2位)で、11カ月連続だった。

3位が食料品(2020年3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年4月まで4位、5月3位、6月5位、7月3位、8月4位、9月から11月3位、12月、2022年1月4位、2月3位、3月4位、4月、5月3位、6月4位、7月3位)で、2カ月続けて3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年9月まで3位、10月4位、11月、12月、2022年1月3位、2月4位、4月、5月、6月3位、7月4位)で、2カ月連続だった。

5位が婦人服(2020年12月5位、以降は6位以下、2021年7月5位、8月以降6位以下、10月に5位、2022年5月5位、6月6位以下、7月5位)と、2カ月続けて5位だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2022年7月まで1位)と56カ月連続だった。2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2022年7月まで2位)で、28カ月連続となった。

3位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年4月まで4位、5月から2022年7月まで3位)で、16カ月連続だった。

4位が香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年4月まで3位、5月4位、6月、7月6位、8月5位、9月3位、10月、11月、12月4位、2022年1月6位、2月、3月7位、4月、5月、6月4位、7月5位)で、2カ月ぶりに上がった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月から4月5位、5月6位、6月、7月5位、8月6位、9月5位、10月から12月6位、2022年1月5位、2月、3月4位、4月5位、5月6位、7月4位)で、3カ月ぶりに5位だった。

6位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月から9月まで7位、10月、11月5位、12月と2022年1月4位、2月、3月5位、4月6位、5月5位、6月、7月6位)で、3カ月続けて6位だった。

7位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月から4月5位、5月から8月4位、9月5位、10月と11月6位、12月と2022年1月7位、2月、3月5位、4月、5月、6月、7月7位)で5カ月続けて7位だった。