蔦屋書店で入江早耶展、消しカスで3次元化した立体作品

【銀座新聞ニュース=2022年11月13日】書店やレンタル店、フランチャイズ事業などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(渋谷区南平台町16-17、渋谷ガーデンタワー)グループの銀座 蔦屋書店(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3575-7755)は12月2日まで店内アートブックフロアで、入江早耶さんの作品展示「形象七景とリリィ」を開いている。

銀座 蔦屋書店で12月2日まで開かれている入江早耶さんの「形象七景とリリィ」に出品されている作品。元の素材を消しゴムで消して、そのカスで立体作品を制作している。

消しゴムのカスを利用して立体画を制作する作家の入江早耶(さや)さんは日用品などの印刷物に描かれたイメージを消しゴムで消し、その消しカスを用いて彫像を制作している。例えば、掛け軸に描かれた観音像が消しゴムを用いて立体として立ち上げられ、目の前に出現する。イメージとして流通し、日常的な存在となっている図像を自らの手で一旦消し去り、2次元の情報を3次元化して再構築する作品は、「私達と表象の関わりを巡る現代的な問題をユーモラスに提起」(蔦屋書店)している。

今回はオーストラリアの風景が描かれた古い画集を消し、そのイメージを再解釈したレリーフ状の新作に加え、聖母マリアが描かれた希少な掛軸を立体化した作品を展示している。

入江早耶さんは1983年岡山県生まれ、2007年に広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科を卒業、2009年に同大学大学院芸術学研究科博士前期課程を修了、この間、2008年にドイツのベルリン・ヴァイセンゼー美術大学に交換留学している。2005年に「デザイナーズウィーク2005」で富士通賞、2007年に「新・公募展 2007Re-Act(リ・アクト)」で野太郎賞、2008年に「龍門 2008」で最優秀賞、2009年に「AMUSE ARTJAM in Kyoto(アミューズ・アート・ジャム・イン・京都)2009」で森本千絵賞を受賞した。

2010年に「New Creators Competition(ニュークリエイターズ・コンペティション)2010展覧会企画公募展」で大賞、同年に「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2010」で入賞、同年に「岡本太郎現代芸術賞」で入賞、2012年に「資生堂アートエッグ(shiseido art egg)賞」で最優秀賞を受賞している。また、2019(平成31)年度にポーラ美術振興財団の在外研究助成を得て、2022年にアメリカ・ニューヨークのISCPレジデンスプログラムに参加している。

開場時間は11時から19時(最終日は18時)まで。入場は無料。休みは月曜日。作品は蔦屋書店の店頭のほか、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」(https://oil.bijutsutecho.com/)でも販売している。