【銀座新聞ニュース=2022年11月21日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル3階、03-3541-2511)は11月21日から12月3日まで「ギャルリー志門35周年記念特別企画」第3弾として、安藤栄作さんによる彫刻展「Dedicate to noble souls」を開いている。

ギャルリー志門で11月21日から12月3日まで開かれている安藤栄作さんの彫刻展「Dedicate to noble souls(デディケート・トゥ・ノーブル・ソウル、高貴な魂に捧げる)」に出品されている「Being(ビーイング)」。
ギャルリー志門は1987年1月に代表取締役の谷田部美子(旧姓深井)さんが銀座・並木通りに創業し、同年12月に法人化した。次世代を担う日本とアジアの若手、中堅の美術家の展覧会などを中心に紹介し、2005年3月に現在の場所に移転し、展示スペースを2倍にした。谷田部美子さんは「美術作品には、オリジナリティ、優れたテクニック、コンセプト、メッセージ性、高い精神性、洗練された表現」などが必要と考え、「いつの時代も芸術は人間が作るものであり、人間の精神のあり方を表現する」としている。
また、画廊の中にカウンターを設置して、「ギャラリーバー(BAR)」としてアルコール類を飲めるようにしてある。
その35周年を記念して、第1弾として6月に渡辺豊重さんの個展、第2弾として海老塚耕一さんの新作展を開き、第3弾として彫刻家の安藤栄作さんの新作展を開く。
安藤栄作さんは岡山県井原市が主催する日本の木彫作家を対象とした2017年に「第28回平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)賞」、2020年に「第10回円空(1632-1695)大賞」で「円空賞」を受賞している。
「平櫛田中賞」は岡山県井原市生まれの彫刻家で、東京美術学校(現東京藝芸術大学)教授をも務めた平櫛田中(1872-1979)の業績を表するために1974年に創設されたもので、井原市が受賞者を選び、井原市の「市立田中美術館」が展示会を開いている。
「円空大賞」は岐阜県が芸術文化の創出・振興とふるさとへの誇りの醸成を目的に、1999年度に制定し、立体造形、絵画、映像などの分野において、郷土の偉人である「円空」を彷彿させるような顕著な業績をおさめている人を顕彰している。2020年1月30日に授賞式を開くとともに、岐阜県美術館で1月30日から3月8日まで受賞者の作品を展示する。
神奈川県立近代美術館長の水沢勉さんによると、「2020年に円空賞を受賞した安藤栄作が、岐阜県美術館で記念展をしたとき、会場の中央には円空としては大作というべき不動明王が立ち、その周囲には安藤が手斧で刻んだ無数のひとがたが敷きつめられていた。(途中略)身を屈めてそのひとつひとつに近づき、不動明王を見あげると、それは憤怒の相ではなく、喜悦に満ちた笑みを湛えている」としている。
安藤栄作さんは1961年東京都墨田区生まれ、1986年に東京藝術大学彫刻科を卒業、1988年にギャラリーKで個展を開き、1989年に福島県いわき市の山間部に移り住み、1991年に彫刻の制作と並んで、パフォーマンスをはじめ、2008年にいわき市の海辺部に自宅兼アトリエを移し、2011年に東日本大震災で自宅兼アトリエが津波で流され、奈良県明日香村に移り、その後、奈良県天理市に移り、同年に絵本「あくしゅだ」を刊行、2017年に第28回平櫛田中賞、2020年に第10回円空賞を受賞している。妻の長谷川浩子さんも彫刻家として制作している。
開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。日曜日は休み。