資生堂でアートエッグ展、岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬が競う

【銀座新聞ニュース=2023年1月23日】国内最大の化粧品メーカーの資生堂(中央区銀座7-5-5、03-3572-5111)は1月24日から5月21日まで資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3、東京銀座資生堂ビル、03-3572-3901)で「第16回shiseido art egg展」を開く。

資生堂ギャラリーで1月24月から5月21日まで開かれる「第16回shiseido art egg(シセイドウ アートエッグ)展」で、1月24日から2月26日までの個展に出品される岡ともみさんの「岡山市柳町1-8-19」(2018年、ミクストメディア、インスタレーション、撮影:野口羊)。

「shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)」は資生堂が2006年からはじめた若手作家を対象にした公募展で、応募者の中から3人を選んで、1月から5月にかけて個展を開き、最終的に「アートエッグ」賞(賞金20万円)を決める。

最終審査に挑む3人を選ぶのは、美術家の磯谷博史さん、小説家の温又柔さん、アーティストで「food creation(フードクリエイション)」主宰の諏訪綾子の3人。

16回目は260人の応募があり、その中から1992年東京都生まれ、2022年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程を修了し、現在、同大学院博士後期課程に在籍中の岡ともみさん、1987年韓国京畿道生まれ、2011年に弘益大学(Hongik University、韓国)彫塑科を卒業、2020年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程を修了したYU SORA(ゆ・そら)さん、1985年北海道生まれ、2004年から2009年まで青山スタジオで撮影業務に従事し、2010年に英国にわたり、ロンドン大学で学び、2014年から2020年まで主として3Dスキャンを用いた作品制作を行うロンドンの「ScanLAB Projects(スキャンラブプロジェクト)」に参加し、2020年から北海道で制作している佐藤壮馬さんの3人が順次個展を開く。

1月24日から2月26日まで岡ともみさん、3月7日から4月9日までYU SORAさん、4月18日か5月21日まで佐藤壮馬さんがそれぞれ個展を開く。

同じく3月7日から4月9日まで展示されるYU SORA(ゆ・そら)さんの「帰るところ」(2020年、布、糸、紙、プラスチック等、インスタレーション)。

岡ともみさんについては、個人の大切な思い出や消えかかっている風習など、見過ごされがちな小さな物語を封入した装置を作り、記憶を空間に立ち上げることを試みている。今回は「自身の祖父の葬儀での経験から、死者が出た際に日常の様々な動作を逆に行う『サカサゴト』という風習に着目」した。インスタレーションを通じて、日本各地に残る風習を紐解き、形骸化しつつある葬送の形や死との向き合い方について再考している。

YU SORAさんについては「白い布と黒い糸を使った刺繍の平面作品や、家具やカーテンなど実物大の立体作品を組み合わせたインスタレーションで些細な日常に向き合う作品を展開して」いる。今回は「ギャラリー空間に生活の舞台である部屋を創り、鑑賞者はこの舞台で自身の日常を重ね、その尊さを感じながら日常に思いを巡らす」ようにしている。

同じく4月18日から5月21日まで展示される佐藤壮馬さんの「あなたはどこでもないところから眺めみる」(2019年、映像、音、インスタレーション、第23回文化庁メディア芸術祭 アート部門審査委員会推薦作品)。

佐藤壮馬さんについては「時空間における身体と心の問題を主題に、表象の背景にある記憶や慣習について考察して」いる。複製技術を用いてアーカイブされたものを制作に取り入れるなど、モノや空間が持つ時間の流れや、それらとの関係性を表現することを試みている。今回は「一昨年大雨により倒れた岐阜県の神明神社の大杉を3Dスキャンで複製し構成する新作を中心に、科学と信仰の時空のズレや交わるところと私たちの心の在り方を探」る。

開場時間は11時から19時(日曜日、祝日18時)、毎週月曜日が休み(祝日でも休み)。入場は無料。