中央の百貨店1月、5店共16カ月増、重衣料が好調、春節は限定的

(終わりの方に参考として2022年と12月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2023年2月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の1月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは16カ月連続となっている。

中央の百貨店5店の中で、1月の売上高(店頭ベース)で前年同月比50%近い増加を示した松屋銀座店。4月以来、30%超で推移し、11月は8カ月ぶりに30%を割ったが、12月は再び30%を超え、1月は48%増と好調。

1月は「2日から10日のクリアランスセールが、気温低下の後押しもあり、婦人・紳士の重衣料を中心に売り上げを伸長」(三越伊勢丹ホールディングス)、「初売りが堅調にスタートし、中旬以降の寒波により婦人・紳士コートが活発に動いた」(J.フロントリテーリング)としている。また、訪日外国人観光客売上高は高島屋が同249.9%増、J.フロントリテーリングが657.9%増など急増しているが、中国の旧正月にあたる春節(1月21日から27日)については「目立った客数の増加は見られなかった」(三越伊勢丹ホールディングス)「現時点では限定的」(松屋)としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比21.8%増(12月速報値9.6%増、確定値8.6%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、12月の商品別では、紳士服・洋品、子ども服・洋品、家電、家庭用品、その他がマイナス)と店頭ベースでは17カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同42.0%増(同速報値23.0%増、確定値23.0%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、12月の商品別では全商品ともプラス)と16カ月続けてプラスとなった。

1月は2日から10日のクリアランスセールが、気温低下の後押しもあり、婦人・紳士の重衣料を中心に売り上げを伸長し、加えて12月までと同様に、ハンドバッグや宝飾、時計、ラグジュアリーブランドなどのプロパー商品の売り上げも好調で、全体を押し上げた。クリアランス後は、春物の展開拡大に伴い、薄手のコートや卒入学ニーズによるジャケット、ドレスなどの動きも出てきたとしている。

また、訪日外国人観光客売上高(免税売上、インバウンド)は昨年10月の入国制限の緩和以降、首都圏店舗を中心に堅調に推移、非訪日外国人観光客売上高と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや衣料品、宝飾時計を中心に高付加価値なアイテムへの関心が高いという。ただ、1月21日から27日の中国の春節期間中の目立った客数の増加は見られなかったとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同12.4%増(同速報値5.4%増、確定値5.5%増)と16カ月続けてプラスとなった。前年度の「まん延防止等重点措置」の反動に加え、高額品や訪日外国人観光客売上高が引き続き好調だったことにより、前年実績を上回った。

全店ベースの商品別売り上げ(高島屋15店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、子ども情報ホビー、スポーツ、リビング、美術、食料品、食堂が前年実績を上回った。

1月の全店の店頭売上高は同16.3%増(2020年1月比0.2%減)、訪日外国人観光客売上高は249.9%増(2020年1月比24.6%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は11.8%増(2020年1月比1.8%増)だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同43.1%増(同速報値17.3%増、確定値17.6%増)と16カ月続けてプラスとなった。

1月は初売りが堅調にスタートし、中旬以降の寒波により婦人・紳士コートが活発に動いたことに加え、ラグジュアリーブランド、美術宝飾品も好調を持続した。訪日外国人観光客売上高も657.9%増(客数が同3489.2%増、客単価同78.9%減、2020年1月比で58.4%減、2019年1月比46.3%減)だった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などと博多大丸、高知大丸を除く13店)は20.8%増、2020年1月比で5.4%減、2019年1月比12.2%減だった。国内売上高(訪日外国人観光客売上高を除く)は同15.2%増、2020年1月比で2.2%増、2019年1月比8.8%減だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同47.8%増(同速報値31.9%増、確定値31.9%増、12月の商品別では子ども服・洋品、身の回り品、家電、家庭用品、食料品、食堂・喫茶、サービス、その他がプラス)と16カ月続けてプラスとなった。

1月の銀座店は、化粧品が約83%増、ラグジュアリーブランドが同87%増(コロナ前となる2020年1月比約53%増)、宝飾は同31%増(2020年1月比約62%増)になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーが富裕層を中心とした国内のお客を軸に、好調に推移した。

また、訪日外国人観光客売上高については、水際措置がとられるなかでの春節を迎えた中国からのお客の動向は現時点では限定的で、今後のコロナ感染状況の改善などによる入国緩和で徐々に回復することが予想されるとしている。一方で、主に台湾、韓国、香港、タイなど東南アジアの国々からのお客による買い上げが、円安を背景に引き続き堅調に全館を牽引している(1月の訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は約24.7%。コロナ前の銀座店のその割合は平均で約25%程度)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社185店舗(総従業員5万4321人)の2022年1-12月の売上高は前年比13.1%増の4兆9812億円と2年続けて前年を上回り(2019年比11.1%減)、コロナ前の9割にまで回復し、「回復基調は鮮明」としている。訪日外国人観光客売上高は148.5%増の1142億円と3年ぶりのプラスとなった(2019年比67.0%減)。

東京地区(12社23店)の年間売上高(店舗調整後)は前年同月比19.7%増の1兆4505億円と2年連続でプラスとなった。2019年比9.0%減と、2021年の2019年比24.0%減より15.0ポイント改善している。

また、12月の売上高(店舗調整後)は前年同月比4.0%増の6150億9707万円で、10カ月続けてプラスとなった。また、2019年12月比2.1%減、2018年12月比7.0%減で、「いずれも前月(2019年11月比3.0%減、2018年11月比8.8%減)よりマイナス幅は縮小しており、着実に回復に向かっている」としている。入店客数は1.1%増だった。

12月は新型コロナ感染拡大による外出自粛傾向が一部に見られたものの、行動制限のない年末商戦は活況で、増勢が続くラグジュアリーブランドや宝飾品など高額商品と、気温低下により好調だった重衣料や防寒商材が牽引した。

顧客別では、水際緩和と円安で急伸している訪日外国人観光客売上高が、前月よりさらに81.5ポイントアップし484.7%増(9カ月連続、シェア3.5%)となった。2019年12月比では28.9%減と、コロナ前の7掛けまで回復した。国内市場は1.0%増(シェア96.5%)と、10カ月連続で前年をクリアした。2019年12月比では0.8%減と、ほぼコロナ前の水準に戻っている。

地区別では、訪日外国人観光客需要を背景に、9地区で前年をクリアした大都市(10都市/15カ月連続)が6.5%増と好調を維持している。半面、北海道、近畿を除く6地区で前年割れした地方(10都市以外の地区/2カ月連続)は2.7%減となった。

商品別では、主要5品目のうち4品目で前年実績を超えた。身のまわり品は、ギフト需要もありラグジュアリーブランドのバッグなどを中心にフタ桁の伸びを示した。衣料品は、天候与件からコートやジャケット、マフラー、手袋などが動いた。食料品では、原材料高騰の影響も一部に見られたが、クリスマスケーキや手土産の和洋菓子も引き続き好調だった。

全国の百貨店の12月の営業日数は前年と同じ31.0日、106店舗の回答によると、入店客は37店が増え、41店が減ったとし、81店舗の回答によると12月の歳時記(歳暮、クリスマス、年末年始商材)の売り上げについては13店が増え、22店が減ったとしている。

東京地区(12社23店)の12月の売上高(店舗調整後)は前年同月比8.0%増の1767億30682万円と16カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の12月の売上高は同484.7%増の約214億5000万円と9カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが3.5%としている。

このうち、一般物品売上高は同507.3%増の約192億9000万円と21カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同338.9%増の約21億6000万円と5カ月続けてプラス、購買客数が同2233.6%増の19万人と8カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同74.9%減の約11万2000円で、7カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品(11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服・洋品が上位に入った。

免税手続きカウンターの来店の多かった国(11月からランキングなし)は韓国、台湾、香港、中国本土、シンガポール、タイ、マレーシアとなっている。