ギャルリーためながで菅原健彦展、青池や屋久島を題材に40点

【銀座新聞ニュース=2023年2月25日】ギャルリーためなが(中央区銀座7-5-4、03-3573-5368)は2月25日から3月19日まで菅原健彦展を開いている。

ギャルリーためながで3月19日まで開かれている菅原健彦展に出品されている「老松図」。

日本画家で、京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)教授の菅原健彦さんが青森県・白神山地にある12湖の一つである「青池」や、鹿児島県・屋久島の自然を新たな主題に加えた新作など約40点を展示している。

菅原健彦さんは1996年に山梨県にある樹齢千年を超える神代桜から始まり、三春や淡墨桜、臥龍の松などを題材にして、「自然界の強靭なエネルギーと出会った衝撃、感銘といったインスピレーションをもとに新たな形」で作品を描いている。

ギャルリーためながによると、越前の手すき和紙の裏から墨をにじませ、砂状の岩絵具を振りかけた上から、水を含んだ筆を走らせその筆勢を樹形に見立てたり、日本でもっとも古い墨として知られる「松煙」で樹皮を思わせるひび割れを生み出すなど、その表現方法は多岐に渡っているという。

また、「流転する生命のダイナミズムとその神秘性への賛美が込められた画中は、力強さを放ちながらも、どこか繊細な美しさが響いて」いる。新作は「紺色の雁皮紙を用いた作品や、プラチナ箔に乗せた青のコントラストが美しい作品が加わり、より一層の深みや清澄さが印象的」としている。

マルホンの「MOKUZAI.COM」によると、「松煙」は樹脂含量の多い松(特に根元の部分)を不完全燃焼させてつくった煤(すす)を集めた炭素黒色顔料のことで、和墨の原料として知られている。その歴史は古く、後白河天皇(1127-1192)の頃から紀州松煙が賞賛されていたという記録が残されている。

ヨーロッパでもインクの材料として使用され、カーボンブラックが生産されるまでは、純粋な炭素黒色顔料とされていた。また、日本では松煙染や線香花火の原料などにも用いられている。松煙の色は純粋な黒色で、化学的につくられた黒色よりも素材に深みと重厚感を与えるが、白色の顔料を混ぜると青みを帯びた灰色になるなど、重厚からカジュアルまでさまざまな雰囲気を出すことができる。

菅原健彦さん1962年東京都練馬区生まれ、1989年に多摩美術大学絵画学科日本画専攻を卒業、在学中の1987年に第5回上野の森美術館大賞展で佳作賞、1994年に五島記念文化賞にて新人賞、1995年から1996年まで五島文化財団研修員としてドイツに留学した。

1997年に「両洋の眼・現代の絵画展」で倫雅賞(2003年に河北倫明賞)、1998年に第11回MOA岡田茂吉賞絵画部門で優秀賞、文化庁作品買い上げ、2004年に「第2回東山魁夷記念日経日本画大賞展」で大賞、現在、京都芸術大学美術工芸学科教授。

開場時間は11時から19時(日曜日、祝日は17時)まで。入場は無料。25日16時から18時までレセプションを開く。