名古屋訪問序でに、観光で熱田神宮の梅を楽しむ(122、旅ルポ編)

【モハンティ三智江のインドからの帰国記=2023年3月17日】2月23日、知人の講演会に参加するため、愛知県名古屋市に行くことになった。前日の朝の便、8時30分の金沢駅発の高速バス(北陸鉄道、片道3600円)で、松任(まっとう)海浜公園、尼御前と車窓に海を眺めながら、まだ雪の残るわが郷土・福井県の南條エリアで休憩、なかなか風光明媚な経路で、楽しみながらお昼過ぎには、名鉄バスセンターに到着(所要時間3時間30分)。

帰路のバスでは、大きな落日が車窓を追いかけて来た。マーマレド色に滲み出した夕日の美しさに見とれた。

名古屋には、子どもの頃、明治村(愛知県犬山市にある明治時代の建造物を移築した野外博物館・テーマパーク)に家族で観光旅行に出かけた記憶があるが、はるか昔のことで、日本第3の都市にはまったく土地勘がない。

がために、かなり戸惑った。予約したビジネスホテルにたどり着くまで、2人の人に聞いて、なおかつ途上の警察署(中村警察)で詳しく教えてもらって、それでも方向音痴の私は迷って、また人に聞いて、ようやく太閤通りという大通りの左手に立つ黄色のペンキ塗り看板がひときわ目立つ間口の狭いのっぽのビルに行き着いた。

その名も「ニュー松竹梅ホテル」(名古屋市中村区太閤4-1-17、052-451-4130、総36室)、1泊3300円の安宿にチェックイン、16時から入室のところを、ありがたいことに、すぐに入れてもらえた。講演会ついでに名古屋の観光もするつもりで、もう一泊取って、しめて6600円、旅行支援はないが、陰性証明を取るのが面倒だった私ゆえ、満足ゆく安値だ。

あてがわれたた部屋は901号室、9階と最上階、角部屋で鍵を開けると、3畳程の室内にベッド、机の上に小型テレビ、壁に衣紋掛け、エアコン(トイレやシャワールームは共用)と、最小限の設備だが、小綺麗にリフォームされており、それなりに快適に過ごせそうだった。

名古屋駅から徒歩10分のビジネスホテル、ニュー松竹梅ホテルは、素泊まりなら1泊3300円でオススメ。

コロナ禍で2021年9月に閉業した東京・山谷の常宿・ホテルニュー紅陽(客はほとんどが外国人)と、広さ、設備は変わらないが、ずっときれいだ(後でわかったことだが、女性専用フロアの9階は他に客がいなく、貸し切り状態だった)。おかげでトイレとシャワールーム各2カ所、洗面台や、プラスチックの簡易ブラシの置かれた3人用の横長鏡台、ドライヤー、お湯ポットを誰にも気兼ねせずに使えた。

ひと休みしてから、街探検に出かけた。見知らぬ街中をきょろきょろ見回しながら、帰りの道を間違わないように頭に叩き込んで、駅まで行った。金沢と比べると、街計画が今ひとつで、駅とデパートとホテルが一緒くたになったような、未知の人にはわかりにくい設計で、辺りをぐるりと1周しただけで疲れた。

東京や大阪と比べても、私にはどうも好きになれない街並みだ。整備が今一つで昔の東京・池袋のようにダサい街並み、薄汚れてもいる。しかし、これから中部国際空港を利用することもあるだろうから(実際、北陸の住民は海外に出かけるのに東海や関西の空港を利用するのが多い)、チェックする意味でもよかったと思う。

翌日の講演会は、名古屋駅からJR中央線でふた駅目の勝川駅で催されるので、運賃や何番線かを確認して、帰途セブンイレブンで夕食を買って戻る頃には、日が落ちていた。前日北陸では雪が舞ったが、名古屋も思ったより寒い。朝早い出発だったので、その日は疲れからすぐ寝入ったが、枕が高すぎて寝心地は今ひとつだった。

翌朝、10時の講演会に間に合わせるべく早めに部屋を出て、電車で勝川駅に向かった。会場のホテル勝川プラザは目の前(講演会「ウクライナ・安倍暗殺・憲法改正・コロナワクチン、4つを繋ぐものとは?」の詳細は前号https://ginzanews.net/?page_id=62194参照)。知人の寺島隆吉さん(元岐阜大学教授)を始め4人の演者の講演会を17時まで堪能して、戻ったが、勝川駅で特筆すべきは、昼食休憩時に食べた駅前のモスバーガー店だ。

ランチメニューのチキンバーガーセット(税込730円、コーヒー&ポテトフライ付)が思いがけずおいしかった。チキンは照り焼きで、ポテトの揚げ方が柔らかめで、口に合った。勝川駅前は閑散としていて、コーヒーを飲みたかったので、日頃ほとんど食べないバーガー店に入るしかなかったのだが、これが案外に当たりだった。後で調べてわかったことだが、「モスバーガー」は日本経営のバーガー店ということで、どおりでポテトなども、外資系と比べると、カリカリでなく、ふんわりと柔らかめに揚げられており、照り焼きチキンとともに、日本人の私の口には合った。ブレンドコーヒーも、カップが大きくてたっぷり、おいしかった。

名古屋駅に戻って、さて夕食はどうしようかと考えて、たまたま前夜から探していたドトールコーヒー店が目についたので、まずはアメリカンを飲んで休憩、ついでにネットでレストラン探しをすることにした。

名古屋駅周辺の歩いて行ける観光スポット、四間道(しけみち)へ。古い家並みが残る一角だが、私には外れだった。

店内は、金沢チェーン店に比べると、広くてゆったりしていた。おやつにブリオッシュショコラ(180円)をケース棚から取って、アメリカンのS(250円)をオーダー、講演会を反芻しながら、寺島さんにごあいさつできてよかったと、コーヒーを飲んでひと息つく。私は、スターバックスのコーヒーは苦手で、安コーヒーチェーンなら、ドトールがお気に入りである。うちで飲むインスタントコーヒーも、ドトールだ。名古屋の駅構内や街中では、安コーヒーチェーンとして、プロントの店舗が目立った。

「名古屋駅周辺、レストラン」でネット検索を始め、ふとサイゼリヤがあるはずと思い当たり、チェックすると、ここから歩いて2分とある。名古屋まで来てサイゼリヤも芸がないが、金沢では無論、福井でも東京でも愛顧しているし、安くておいしいし、すぐ近くというのが何よりで地図を頭に入れて店を出た。

ところが、大体の見当をつけて歩き出したが、いっかな見つからない。名古屋の人はドトールとか、サイゼリヤはあまり馴染みがないらしく、聞いてもわからない。ほぼ諦めかけて、セブンイレブンで弁当を買って帰ろうと翻意しかけたが、最後にドラッグストアの若い男性店員に聞いたら、明解な答が返ってきて、やっと目的地に行き着けた。

なんと、角のモード学園スパイラルタワーズ(名古屋市中村区4-27-1、モード学園と商業施設が入っている地上36階、地下3階と塔屋2階の超高層ビルで2008年に開業、ねじれたようなモダンなデザインがひときわ目を引く名古屋のシンボル的タワー)の地下にあるのだった。

地階ではわからないよなぁとボヤきながら、エスカレーターを降りて、馴染みのサイゼリヤへ。店は混雑していて、入口近くの席に案内され、少し落ち着かなかったが、ようやく夕食にありつけた。

ミラノ風ドリア(300円)とイタリア製ブレッドのフォッカチオ(150円)に、赤ワインのグラス(100円)をオーダー、食べ慣れた味に満足、赤ワインは水割りでちびちび飲んだが、いままで行った各地のサイゼリヤの中では、店も窓なしで狭いし、店内にトイレはなく、最下位だ。ちなみにベストは、金沢香林坊109のサイゼリヤ(トイレは同じフロアの外)、南千住店は、窓からスカイツリーが見える穴場だ。やはり窓があるのがいい。香林坊店の窓際の席は、金沢の繁華街通りや、山並み、黄昏時は夕日も見えて、値段の安さと相まって超オススメだ。

翌日は8時30分と30分早くチェックアウトして、荷物を転がしながら、まず昨夜のドトールへ。アメリカンを飲みながら、ネットで観光スポットをチェック。生憎の雨模様。徒歩で行けるところはと、探していて、四間道(しけみち)という古い町並みが残るスポットがよさそうなので、雨が止んだ頃合を見計らって店を出た。江戸時代に名古屋城築城に伴って造られた商人町は元禄の大火後、防災のために道幅4間(7メートル)に広げたため、この名があるという。

名古屋のパワースポット、熱田神宮へ。傘を差しながら本殿に向かう巫女さんが風情を醸す。

途中で2人の人に聞いて、25分ほどで現地へ。名古屋国際センター(名古屋市中村那古野1-47-1、地上26階、地下3階、塔屋1階の名古屋地域の国際化を名目に1984年に開設、地下鉄・国際センター駅下車)に近いところだったが、細い路地の両側に石垣上の土蔵や格子造りの町家が軒を連ね、裏路地に子守り地蔵尊があったが、道はすぐに尽きてしまい、拍子抜けするくらいの呆気なさ、たったこれだけという感じの、文字通りに皮肉るならまさに、「しけた道」であった。

滋賀県長浜市にある江戸から明治の伝統的建造物(黒漆喰の和風建築)が並ぶ黒壁スクエアや、岐阜県の飛騨高山の江戸以来の城下町や商家町が保存された通り(飛騨の小京都)を見た目には、外れのスポットであった。

サイゼリヤで早めのランチを済ませた後、迷ったが、雨なので、名古屋城はパスして熱田神宮に地下鉄で向うことにした。バスで行くと50分近く、地下鉄だとたったの6分、ふた駅目の神宮前で降りて目の前とある。

3種の神器のひとつの草薙剣(くさなぎのつるぎ)を祀る由緒ある神社(創建646年、初詣には毎年200万人以上訪れる)らしい。東門の鳥居を潜って、熱田の杜の中にある鬱蒼とした木々に囲まれた本宮に雨中のお参り、傘を差して荷物ゴロゴロ、不都合だったが、境内の梅が咲き誇り、目を楽しませてくれた。

雨下の白梅が濡れた花弁を綻ばせ、雅やか、紅梅も見頃で可愛らしかった。

雨滴に濡れる白梅、紅梅、かぐわしい香りに花弁がほころびて、乙なものだった。本殿に参拝後、広い境内をざっと周り、神木や古木のパワーを感じ、南門(正門)のいかにも年季の入った古びた木の鳥居を見て、また来た道を戻り、神宮前駅から名鉄名古屋駅へ。17時45分JR名古屋駅(新幹線口)発の高速バスを予約していたが、名鉄バスセンターに行き、予約変更、14時30分発金沢駅行きにしてもらった。行きは3600円だったが、当日券は4000円だった。

雨では観光気分もそがれるので、早めに帰ることにしたのだが、これが正解だった。海の美しさのみならず、ちょうどサンセットタイムにぶつかり大きなオレンジ色の落日が車窓を追いかけてきて、感激した。講演会も、金沢から駆けつけた甲斐はあったし、美しい夕日をひたと見据えながら、2泊3日の名古屋旅行の楽しさを反芻した。

(「インド発コロナ観戦記」は、92回から「インドからの帰国記」にしています。インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いてきましたが、92回からはインドからの「帰国記」として随時、掲載します。

モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。また、息子の「Rapper Big Deal」はラッパーとしては、インドを代表するスターです。

2023年3月10日現在(アメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学は3月10日でデータの更新を終了)、世界の感染者数は6億7657万0149人、死亡者数が688万1802人、回復者は未公表。インドは感染者数が4469万0738人、死亡者数が53万0779人、回復者が未公表で、アメリカに次いで2位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は1億0380万2702人、死亡者数が112万3836人(回復者は未公表)、3月14日現在の日本は感染者数が3333万6977人、死亡者数が7万3273人、回復者が2170万4201人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。編集注は筆者と関係ありません)