ミライザカと鳥メロで帆立メニュー、原発処理水放出を受けて支援

【銀座新聞ニュース=2023年9月10日】「焼肉の和民」などを運営する国内飲食業界第15位のワタミ(大田区羽田1-1-3、03-5737-2288)は9月11日から20日まで、「ミライザカ銀座5丁目店」(中央区銀座5-9-11、銀座ファゼンダビル、050-2019-7112)などの「ミライザカ」店と「三代目鳥メロ」で「日本の漁業応援キャンペーン」を実施する。

9月11日から20日まで提供される「ミライザカ」の「ホタテのガーリックバターステーキ」(768円)。

8月24日から福島第一原発の処理水の海洋放出が始まってから、中国政府が日本産の水産物を全面禁輸、香港政府においても10都県を原産地とする水産物の輸入禁止を発表している。これを受け、ワタミが展開する香港の外食店舗でも風評被害の影響から予約のキャンセルなどが相次ぎ、売上高が約15%減少している。

ワタミグループでは、水産物の中でも特に影響を受けている国産のホタテを使用したキャンペーンを実施する。

「ミライザカ」店では、「ホタテのカルパッチョ」(税込548円)、「ホタテのガーリックバターステーキ」(768円)、「ホタテのフリット」(658円)、「ホタテのっけ寿司」(768円)を提供する。

「三代目 鳥メロ」店では「帆立のカルパッチョ」(548円)、「帆立メロ寿司2種盛」(438円)、「帆立のレア串揚げ」(328円)、「帆立のっけ寿司」(658円)を販売する。

ワタミでは「水産会社、各漁港と連携しながら、今後も継続して日本の漁業を少しでも応援できるようなキャンペーンを継続」するとしている。

同じく「三代目鳥メロ」で提供される「帆立メロ寿司2種(刺身&炙り)」(438円)。

ウイキペディアによると、福島第一原子力発電所の汚染水は2022年度には1日あたり約90トン増えており、2023年6月29日時点で容量の97%にあたる約133万8000トンに達している。これにより保管できる場所が徐々に減り、発電所の敷地内にタンクを増設する余裕はなく、発電所内部から取り出す予定の燃料デブリを保管する場所を捻出するため、今あるタンクを減らす必要がある。

国のタスクフォースチームは2016年に「基準以下に薄めて海に放出する案」など5つの案を示し、タスクフォースチームから議論を引き継いだ小委員会は、基準以下に薄めて海に放出する案と加熱して蒸発させ、大気中に放出する案の2案を中心に議論を進めることを提言し、政府は2021年4月にコスト面などから「基準以下に薄めて海に放出する案」の採用を決めた。

一方、2012年10月にトリチウムと炭素14以外の62核種の放射性物質を汚染水から除去できる多核種除去装置「ALPS(アルプス、Advanced Liquid Processing System)」を東芝が完成した。この「ALPS」を使ってトリチウムや炭素14を除く62種類の放射性物質を国の規制基準以下まで浄化処理した水が「ALPS処理水(処理水)」と呼ばれる。

ALPSはフィルター(活性炭・吸着材など)により放射性物質吸着や薬液による沈殿処理などといった科学的、物質的な方法で処理する設備で、トリチウムや炭素14を除く62種類の放射性物質を国の規制基準以下まで浄化することが可能とされている。ただ、トリチウムを希釈することは可能であるが、完全に処理することは不可能となっている。

タンク内に貯留されている水の約7割でALPSが除去の対象としていた62の放射線核種の告示濃度比総和が1を上回っている(基準値を上回っている)。タンク内に貯留されている水にはトリチウムの他にセシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90、炭素14、カドミウム113m、プルトニウムなどの放射性物質が残留している。これに対して東電は汚染水を海洋放出する際には二次処理を行い、トリチウム以外の放射線核種の濃度を基準以下にするとしている。

トリチウムの処理では大量の海水を外部から汲みあげ、100倍以上に希釈したトリチウム濃度を1リットルあたり1500ベクレル未満とし、それにより国の規制基準の40分の1に引き下げることが可能で、基準を満たした水は海底トンネルを通じ放出されている。日本政府は最大年間22兆ベクレルのトリチウムを海洋中に放出する。

トリチウムは水素と性質が類似しているため、水分子からトリチウムだけを分離、除去することは容易ではなく、タンクに貯蔵されている133万トン超の処理水中に含まれるトリチウムの総量はわずか16グラム程度だが、このような微量を取り除く技術は、日本だけではなく、世界でも実用段階に至っていない。トリチウムが放射性同位体が減少して半分になる半減期は12.33年で、原発を実施している各国はいずれも、トリチウムを基準値以下に薄めたうえで、海洋など自然界に放出している。

2020年6月末までに分析を実施した処理水などの貯蔵タンク計80基における炭素14の濃度は、国の規制基準(告示濃度限度)である1リットル当たり2000ベクレルに対して、平均で1リットル当たり42.4ベクレル(最小2.53ベクレル、最大215ベクレル)で国の規制基準を満たしている。

処理水の海洋放出について、政府は2015年に「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と福島県漁業協同組合連合会に伝え、官房長官の松野博一さんは2023年6月28日に「経産省が2015年に福島県漁連に回答した『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』との方針は順守する」と述べている。

2023年7月4日にIAEA(国際原子力機関)は福島第一原発の処理水の海洋放出計画をめぐり、「計画は国際的な安全基準に合致」し、人や環境への影響は「無視できるほど」とする調査報告書を公表した。7月7日に原子力規制委員会は、放出設備の性能などの検査で問題がなかったとして、東電に終了証を交付した。これにより放出のための準備が整い、8月24日13時03分頃に東電は処理水の海洋放出を開始した。

浄化設備で取り除けなかったトリチウムの濃度が、最大で1リットル当たり63ベクレルで、政府方針で定めた放出時の排水基準である1500ベクレル(1500ベクレルは国の排出基準の40分の1)を下回ったことから海洋放出が開始された。

東電は2023年8月25日に配管で採取した海水のトリチウム濃度の分析値が「計算上の濃度と同程度であること、分析値が1リットル当たり1500ベクレルを下回っていることを確認した」と発表した。8月24日の処理水の海洋放出開始後に福島第一原子力発電所から3キロ以内の10カ所で採取した海水のトリチウムの濃度を公開し、いずれの地点でも検出限界値(1リットル当たり約10ベクレル)を下回っていた。

処理水は福島第一原発の沖合約1キロの海底から放出され、1日あたりおよそ460トンずつ、17日間程をかけて7800トンの処理水を海洋放出する。2023年度は合計3万1200トンを4回に分け7800トンずつ放出する。2023年度内の削減量はタンク10基分程度の約1万1200トンほど(総量の約0.8%程度)を見込んでいる。政府は今後約30年間かけて、処理水を太平洋へ放出する計画。

銀座とその周辺では「ミライザカ」店は「銀座5丁目店」のほかに、「新橋銀座口ガード下店」(港区新橋1-3-10、050-2019-7191)、「日比谷富国生命ビル店」(千代田区内幸町2-2-2、富国生命ビル、050-2019-7175)がある。

「三代目鳥メロ」店は「新橋銀座口ガード下店」(港区新橋1-3-10、050-5492-3963)、「有楽町日比谷口店」(千代田区有楽町1-6-8、松井ビル、050-1709-1159)がある。

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