丸善丸の内で福島恒久「フレスコ画」展、日本画と融合させる

【銀座新聞ニュース=2024年6月24日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は6月26日から7月2日まで4階ギャラリーで福島恒久さんによる個展「The authentic Japanese art フレスコ×日本画」を開く。

丸善・丸の内本店で6月26日から7月2日まで開かれる福島恒久さんの個展に出品される「歳寒三友図」。2024年に山種美術館の「Seed 山種美術館日本画アワード2024」に入選し、春に開かれた作品展での来場者による人気投票で「歳寒三友図」が1位に選ばれている。

石灰と砂を練り上げたモルタル作りから始まる「フレスコ」と伝統的な「日本画」を融合させる画家の福島恒久さんが、山種美術館の「SEED2024」入選作(S100号)をはじめ、創造力と情熱が息づく作品を展示販売する。

ウイキペディアや佐野市葛生伝承館(栃木県佐野市葛生東1-11-26、0283-84-3311)によると、フレスコ画(fresco)はまず壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態、生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く。やり直しがきかないため、高度な計画と技術力を必要とする。逆に、一旦乾くと水に浸けても滲まないことで保存に適した方法だった。ただ、失敗した場合は漆喰をかき落とし、やり直すほかはない。

漆喰には石灰岩を焼成し、生石灰にした上に加水した消石灰を使用する。作品を描写中、媒剤となる水分はたえず気化し、消石灰は二酸化炭素を吸収、酸素を放出し、炭酸カルシウムに変化する。炭酸カルシウムは水に溶けないため、フレスコ画は保存性に大変優れている。

フレスコ画が他の絵画技法と異なるのは、絵の具の定着溶剤を使用しないことで、例えば、日本画には膠(にかわ)、油彩には油、水彩にはのりといった溶剤を使用するが、フレスコ画はそれらを使用していない。

14世紀から16世紀のルネサンス期に盛んに描かれ、ミケランジェロ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni、1475-1564)の「最後の審判」(1541年完成)やラファエロ(Raffaello Santi、1483-1520)の「アテナイの学堂」(1509年から1510年の作)などが知られている。

福島恒久さんは1978年埼玉県さいたま市(旧大宮市)生まれ、2002年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、2004年に同大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻日本画第三研究室を修了、修了制作作品を帝京大学買い上げ、敦煌莫高窟(とんこう・ばっこうくつ)の修了模写を台東区買い上げ、2006年から栃木県佐野市葛生伝承館の壁画を制作(2027年完成予定)、2010年に栃木県石灰組合100周年で特別表彰されている。

2011年に日本プラスターのエントランス「大樹朝陽図」で日本漆喰協会の作品賞(2017年に栃木県栃木市の新庁舎フレスコ壁画の2014年の制作した「古今舞扇秋祭図」で作品賞、2018年に栃木メディカルセンターしもつが病院の2017年に制作したフレスコ壁画「桜梅桃李図」で作品賞)などを受賞、2016年にイノテックス・ジャパン ギャラリーの企画展「日本のフレスコアート 福島恒久展」を開いている(以降、同ギャラリーにて隔年で個展を開催)。2024年に山種美術館の「Seed 山種美術館日本画アワード2024」で入選している。現在、佐野市葛生伝承館壁画制作を継続している。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。