ヴァニラで「恐怖」展、空山基ら、渡辺シヴヲ、相蘇敬介の収集も

【銀座新聞ニュース=2024年7月26日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は7月27日から8月18日まで「こわいもの-The Aesthetics of Fear」を開く。

ヴァニラ画廊で7月27から8月18日まで開かれる「こわいもの-The Aesthetics of Fear(エスセティクス・オブ・フィア、恐怖の美学)」のフライヤー。

ヴァニラ画廊では「隠されているもの、秘められているべきものが顕現するとき、私たちはその象徴に恐怖の念を抱きます。それは死者の蘇り、迷信、抑圧、孤独、静寂、暴力など様々な形や物語をもちながら、恐怖や不気味の感情の源泉となります」とし、今回は空山基(はじめ)さんや近藤智美(こんどう・さとみ)さんら国内外の現代作家の「恐怖」をテーマにした作品を展示する。

また、渡辺シヴヲ(しぶお)さんの幽霊画コレクション、「リンクファクトリー(LINKFACTORY) 」(立川市羽衣町3-7-9、042-529-2080)を運営する特殊メイク、特殊造形などを手掛ける相蘇敬介(あいそ・けいすけ)さんのコレクションといった「古今東西の恐怖美術コレクションも同時公開し、多様化する恐怖や不安の表現に迫」るとしている。

今回、出品するのは空山基さん、近藤智美さん、光宗(みつむね)薫さん、髙木智広さん、雪下まゆさん、高橋美貴(みき)さん、田村幸久さん、相蘇敬介さん、小妻要(おづま・かなめ、小妻容子=おづま・ようこ、1939-2011)、小山哲生(てつお、1944-2010)、Arnaud Diemer(アルノー・ディエメ)さんの11人。

空山基さんは1947年愛媛県今治市生まれ、愛媛県立今治北高校を経て、1965年に四国学院大学文学部英文科に入学、1967年に中央美術学園に入学、1969年に卒業し、旭通信制作部に入社、1971年に独立し、1984年にイタリア・フィアット社の世界キャンペーンのイメージを担当し、1995年に有線テレビ(CATV)「T&A2000」のキャラクター、セクシーロボットのデザインを手がけ、1996年にアメリカの「ヴァーガス・アワード」を受賞、1999年にソニーの「アイボ(AIBO)」のデザインを手がけ、グッドデザイン賞グランプリ、メディア芸術祭グランプリを受賞した。

2001年に初代アイボがスミソニアン博物館とニューヨー近代美術館のパーマネントコレクションとされ、朝日新聞発明賞を受賞した。1989年にドイツ・ミュンヘンのフェラーリホール、1994年にアトランタ、1994年と1998年、1999年にロサンゼルスのタマラ・ベイン・ギャラリー、2003年にギンザ・グラフィック・ギャラリーなどで個展を開いている。

近藤智美さんは1985年広島県生まれ、18歳で広島から上京して、渋谷で「マンバギャル(ガングロといわれたヤマンバの第2世代)」を経験し、ギャル文化の終えんを見届け、絵を描き始め、2011年に個展、2012年に「VOCA(ボカ)展」、2013年に「LOVE(ラブ)展」に出品、人間をモチーフにして古典技法、さまざまな引用を用いて抑制したタッチで描いている。ライフワークとして自身が参加した渋谷ヤマンバギャル文化を美術史として捉え直す研究を継続して行っている。

光宗薫さんは1993年愛媛県生まれ、大阪府育ち、2011年12月にAKB48劇場で開かれた「AKB48 6周年記念公演」で「AKB48」13期生として披露された一方で、独学で絵を描き始め、2012年4月のTBS系「アタル(ATARU)」で連続ドラマに初出演、体調不良により、8月24日から26日の東京ドーム公演を辞退、10月24日に「AKB48」を辞退することを発表し、「AKB48」としての活動は10カ月だった。

2013年9月に「劇場版 ATARU THE FIRST LOVE&THE LAST KILL(アタル・ザ・ファースト・ラブ&ザ・ラスト・キル)」で女優業を再開、2013年10月に大阪府でボールペン画による個展を開いた。2014年4月に芸能事務所に所属し、芸能活動を再開し、同年9月に「東京ランウェイ2014 SPRING/SUMMER」にモデルとして出演、2015年2月にも「東京ランウェイ2015 S/S」にモデルとして出演した。しかし、2017年9月に10月から芸能活動を休止することを発表した。

2015年9月からTBSの「プレバト!!」に出演し、2023年12月時点で、水彩画名人10段、色鉛筆特待生3級、トーストアート特待生5級、黒板アート特待生5級、ストーンアート特待生5級となっている。

髙木智広さんは1972年岐阜県生まれ、1992年に武蔵野美術大学短期大学部美術科を卒業、1995年にフランスにわたり、古典絵画技法を研究、パリ自然史博物館で動物骨格を研究し、1997年に帰国、2006年に個展を開き、2010年に第29回損保ジャパン美術財団選抜奨励展に出品、2012年に第15回岡本太郎現代芸術賞(川崎市岡本太郎美術館)を受賞、2015年にヴァニラ画廊で個展を開き、2017年にニューヨークのギャラリー小暮で個展を開いている。

雪下まゆさんは1995年生まれ、2018年に多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業、同年に「ミスiD2018」で岸田メル賞、音楽ジャケットや小説の装丁画、広告ポスター、テレビコマーシャルなどに起用され、2020年6月29日にファッションブランド「Esth.(エスター)」を立ち上げている。2022年に「同志少女よ、敵を撃て」で本屋大賞を受賞、東京モード学園のCM、 SUMMERSONIC(サマーソニック)2022オフィシャルグッズ、「TOKYO CREATIVE SALON (トウキョウ・クリエイティブ・サロン」(東急電鉄)といった広告や装丁などを手がけている。

髙橋美貴さんは東京都生まれ、1995年に武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業、ソニー・インタラクティブエンタテインメントにアーティストとして在籍し、日本を舞台にしたホラーゲームシリーズで「屍人・闇人」のデザインに携わり、2014年よりオリジナル作品を発表、「Behance Wacom(ベハンス・ワコム)」賞を受賞し、2016年にヴァニラ画廊大賞展に参加、2017年にヴァニラ画廊で個展を開いている。

田村幸久さんは1993年東京都生まれ、多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻を卒業、2015年に第3回ヴァニラ画廊大賞でヴァニラ賞を受賞、2018年に「Liquitex the challenge(リキテックス・ザ・チャレンジ)」でリキテックス賞大学部門を受賞、2021年頃から、マンガ、映画、フィギュア、ゲームなどから影響を受け、残虐かつ冷酷な修羅をテーマにした絵画作品「Killing machine(キリングマシン)」シリーズを制作している。現在、ふなばし美術学院の講師。

相蘇敬介さんは1975年北海道札幌市生まれ、1995年に代々木アニメーション学院特殊メイク(SFX)科を卒業、「カトナジャパン」(旭化成代理店)でシリコーン樹脂など軟質樹脂素材を使用した人工皮膚や人体模型の研究開発、製作に7年間携わった後、2001年に独立し、創業し、人体型ロボットや化粧品開発用の人工皮膚を製作した。

2002年にフジテレビの番組、イベントなどで使用される特殊メイクや特殊造型物の製作をはじめ、2006年に「株式会社リンクファクトリー(LINKFACTORY) 」(立川市羽衣町3-7-9、042-529-2080)を設立、2008年にテレビドラマ「鹿男あをによし」の特殊造型を担当、2014年にテレビ朝日系「ドクターX-外科医・大門未知子」の特殊メイク、特殊造形を手掛けている。

小妻要(小妻容子)は1939年新潟県柏崎市生まれ、1956年に中央美術大学院に入学、1958年に肺結核療養のため新潟県柏崎市に戻り、1959年に柏崎市の小田印刷デザイン部に入社、1962年に戸井版画工房に入社、1965年に栗津画廊に入社した。

1965年に「奇たんクラブ」9月号に懸賞入選作品が掲載され、1968年にフリーとなり、1971年に画集を刊行、1987年に堂昌一(どう・しょういち、春日章=かすが・あきら=)さんらと「艶5人展」を発足、1997年に報知新聞、文芸家クラブ大賞、さし画賞などを受賞、2009年にヴァニラ画廊で個展、2010年にアメリカ・ロサンゼルスで2人展を開催し、日本出版美術家連盟副会長を務め、2011年9月26日に死去した。

小山哲生は1944年長野県生まれ、1960年代は自分の表現行為を「ビタミン・アート」と名付け、新宿や銀座で街頭ショー「太陽まんだら」シリーズを行い、銀座東芝ホールで牛と蛇と人の共演によるビタミン・アートリサイタルを開いた。1970年代にインドを放浪し、「花とビートルズとお釈迦様」のテーマで個展を開催し、人形の制作もはじめ、1980年代もインドを放浪し、風景画を描きはじめ、ブロードウェイ新人賞でグランプリを受賞した。

1990年代は銀座のギャラリーで立体拡大のオブジェを発表し、公募展で東京都知事賞、内閣総理大臣賞を受賞、2005年に渋谷で個展「この世でいちばん真っ赤なりんご」を開催、2006年、2007年、2010年に東京都美術館で「人人展」を開き、2008年からヴァニラ画廊で個展などを開いている。2010年9月1日に亡くなる直前まで女性作家の団体「べラドンナの会」顧問を務めた。

ヴァニラ画廊によると、Arnaud Diemerさんはフランスを拠点に活動する写真家で、戦争での荒廃した風景の撮影から違法ファイトクラブに没頭するに至るまで、ぞっとするような場所で生命と美を探し求める。不気味の谷に心を動かされて、フィルターを通さずに真実を捉え、被写体に内在する本質を受け入れ、混沌とした存在の中でそれらの生の真正性を確保している。彼にとって、真の美は不完全さ、弱さ、深い不明瞭さの中にこそ宿るものとしている。

渡辺シヴヲさんは1965年神奈川県生まれ、俳優の傍ら、演劇ユニット「コケズンバ」に参加している。また、幽霊画などの奇々怪々な「モノ」を収集する「怪異物蒐集家」として知られる。

8月3日17時30分から19時45分まで怪談、オカルト研究家で怪談サークル「とうもろこしの会」会長の吉田悠軌さんと元AV女優で作家の川奈まり子さんによるイベント「怪談夜咄2024」を開く。怖い絵や幽霊画に囲まれての特別怪談イベント。

吉田悠軌さんは1980年東京都八王子市生まれ、早稲田大学第一文学部演劇映像コースを卒業、在学時に映画サークルに所属、卒業後の2005年に高校時代からの友人と行った稲川淳二さんの怪談ライブに影響されて「怪談サークル とうもろこしの会」を結成、その後、雑誌ライターや「オカルトスポットマガジン 怪処」の編集長、クレイジージャーニー出演など、主に怪談・オカルトの分野で活動している。

川奈まり子さんは1967年東京都世田谷区生まれ、1988年に女子美術大学短期大学部グラフィックデザインを卒業、出版社デザイン室に勤務、その後、フリーライターを経て、1999年に前夫との離婚を機に「義母 まり子34歳」でAVデビューし、年間売上1万本を超える大ヒットとなった。2003年にAV監督の溜池ゴローさんと結婚、1児の母となる。2004年に引退後は作家、コラムニストとして活躍している。2016年にAV出演者への支援、業界の健全化を図る団体「一般社団法人表現者ネットワーク(AVAN)」を設立、代表に就任した。

開場時間は12時から19時(土・日曜日・祝日、最終日17時)で、入場料は1000円。無休。トークイベントは3000円。ネット(https://t.livepocket.jp/e/kaidanyobanashi2024)から申し込む。