【銀座新聞ニュース=2024年7月28日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は7月31日から8月6日まで3階ギャラリーで「第5回 江戸の匠展」を開く。
東京の伝統工芸品は、長い年月を経て東京の風土と歴史の中で育まれ、時代を超えて受け継がれた伝統的な技術・技法により作られている。今回は6人の伝統工芸作家の作品を展示販売する。
東京の伝統工芸品は東京都知事から「東京都伝統工芸士」として認定を受けた41工芸品の職人が制作する工芸品を指しており、「東京都伝統工芸品産業振興協議会」の意見を聞いて、知事が東京都伝統工芸品に指定している。その要件として、1)製造工程の大部分が手工業的であること、2)伝統的な技術または技法により製造されているものであること、3)伝統的に使用されてきた原材料により製造されるものであること、4)都内において一定の数のものが、その製造を行っていること、と定められている。
「東京都伝統工芸士」のうち、「江戸小紋(東京染小紋)」は1976年に国が、1982年に東京都が認定、「東京打刃物(とうきょううちはもの)」は1989年に認定、「東京彫金」は1988年に認定、「江戸象牙」は1983年に認定、「江戸切子」は1985年に東京都が認定、2002年に国が認定している。「甲州印伝」は1987年に通産大臣(現経済産業大臣)により指定伝統的工芸品に認定されている。
今回、出品するのは「ミツワ硝子工芸」(埼玉県草加市小山2-24-22、048-941-9777)の「硝子工房 彩鳳」の江戸切子、高橋工房(文京区水道2-4-19、03-3814-2801)の江戸木版画、和弘利器(葛飾区金町1-10-8、03-3607-0833)の代表取締役で3代目横座鍛治(横座は、鍛冶場の代表を意味する)の大河原康宏さんのブランド「菊和弘」、一般社団法人「染の里 おちあい」(新宿区上落合2-3-6、03-3368-8133)の代表理事の高市洋子さんの更紗、東京彫金の3代目で、彫金家の小川真之助さんの「東京彫金」、前川象牙店(千葉県千葉市花見川区柏井1-15-2、043-259-5822)の前川敬太朗さんの「象牙細工」。
ミツワ硝子工芸は1971年5月に創業し、1978年4月に法人として設立され、現在、林恭輔さんが社長を務めている。社内のスタッフでは1982年岡山県生まれの細小路圭さんが2019年に伝統工芸士に、1984年神奈川県生まれの山田のゆりさんが2020年に伝統工芸士に、1988年」東京都生まれの吉川(きっかわ)太郎さんが2023年に伝統工芸士に認定されている。また、会社としては「江戸切子」は1985年に東京都伝統工芸品に指定され、2002年に国の伝統的工芸品に指定されている。「江戸硝子」は2002年に東京都伝統工芸品に指定され、2014年に国の伝統的工芸品に指定されている。
高橋工房は江戸時代の安政年間(1855年から1860年)に創業し、1963年2月に法人化され、現在、6代目の高橋由貴子さんが社長を務めている。高橋家は江戸木版画の「摺師」の家系で、4代目高橋治正から「版元」の暖簾も兼ねている。
和弘利器は1947年に千葉県松戸市で大河原製作所を設立、1953年に現在の葛飾区金町に工房を移し、「和弘利器株式会社」として法人化した。現在は「菊和弘」ブランドとして手作り刃物を製造している。大河原康宏さんは1997年に刃物鍛冶として業務を開始、2018年に葛飾刃物工業会理事長、2019年に葛飾区伝統工芸士に認定されている。
「染の里 おちあい」は1920(大正9)年に小林繁雄(2代目社長)が「二葉屋」として創業(初代社長は小林繁雄の妻の叔父の土方氏)、その後、「染の里二葉苑」を経て、2020年に「染の里おちあい」に改称した。また、3代目社長が染色作家として知られた小林繁雄の次男、小林文次郎(ぶんじろう、1929年生まれ)で、4代目が小林文次郎の子息、小林元文(もとふみ、1965年生まれ)さん。
高市洋子さんは東京都生まれ、大学卒業後にリクルートに入社、住宅情報事業(現SUUMO)に従事し、出産を機に退職し、地元の母親に繋がれる情報を提供する「おちあいさんぽ」というフリーペーパーを発行、その後、二葉でギャラリーの運営を受託、現在、株式会社二葉の社長、社団法人染の里おちあいの代表理事を務めている。また、全部で5万枚ほどある型紙をデジタル化するプロジェクトを進めている。
小川真之助さんは1967年生まれ、1989年から2代目の父親、小川健次郎(けんじろう、1929-2011)に師事し、本格的に彫金をはじめ、2002年に東京都伝統工芸品産業振興に寄与し、東京都知事より感謝状、2007年に東京都伝統工芸士に認定され、現在、日本彫金会理事、東京都伝統工芸産業団体青年会会長。
前川敬太朗さんは1965年生まれ、2016年から父親の前川弘幸(ひろゆき)さんに師事している。前川弘幸さんは1989年に台東区優秀技能賞を受賞、2006年に前川象牙店を設立、現在、代表を務めている。
8月1日と2日の11時、11時30分、14時、14時30分、16時、16時30分から「サコッシュの型染体験」のワークショップを開く。各回とも定員は2人で、6歳から参加でき、参加費は税込2200円。
3日と4日の11時、11時30分、12時、12時30分、14時、14時30分、15時、15時30分、16時、16時30分、17時から「江戸切子」のワークショップを開く。各回とも定員は1人で、7歳から参加でき、参加費は4400円(グラス代込)。
開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。ワークショップの参加はすでに電話などで受け付けている。