蔦屋書店で江上越の作品集刊行展、渡辺純子とのトークも

【銀座新聞ニュース=2024年7月30日】書店やレンタル店、フランチャイズ事業などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(渋谷区南平台町16-17、渋谷ガーデンタワー)グループの銀座蔦屋書店(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3575-7755)は8月14日までイベントスペース「GINZA ATRIUM」で江上越さんによる個展「作品集出版記念 生命線」を開いている。

銀座蔦屋書店で7月27日から8月14日まで開かれる江上越さんの個展「作品集出版記念 生命線」に出品される「生命線」(2024 Oil on canvas、(C)Etsu Egami)。

現代アーティストの江上越(えがみ・えつ)さんが8月9日に作品集「生命線ー隔てるもの、つながるもの」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ発行、美術出版社発売、税込8580円)を刊行するのを記念して、個展を開いている。作品集に掲載されている作品を多数展示し、2メートルを超える大作も複数展示する。また銀座蔦屋書店にて作品集を先行販売している。

作品集「生命線ー隔てるもの、つながるもの」は、版元ドットコムによると、大学から北京に渡り、現在も清華大学に籍を置きながら、活動する江上越さんが新作で描いたのは、作家・北方謙三さんとの出会いによって生まれた「三国志」で、2023年12月に京都で開かれた個展では、劉備(りゅうび、161-223)、曹操(そうそう、155-220)、孫権(そんけん、182-252)ら登場人物たちの肖像画、合戦シーンを描いた大型作品が展示された。

その「三国志」作品に加え、作品集ではゴッホ(Vincent Willem van Gogh、1853-1890)やマティス(Henri Matisse、1869-1954)、梅原龍三郎(1888-1986)、岸田劉生(1891-1929)ら江上越さんが影響を受けた画家や文豪・哲学者らの肖像画、コロナ禍に制作した人間関係を新たな視線で捉え直した作品群「ソーシャルディスタンス」など、一貫したテーマとして描く「コミュニケーションのかたち」をつまびらかにしており、絵画作品125点を収録している。

江上越さんは「私の制作は、ミスコミュニケーションから始まり、(フランスの哲学者)ジャック・デリダ(Jacques Derrida、1930-2004)の「差延」(さえん、「語でも概念でもない」とされるデリダの造語)」と(後漢の文人)「蔡よう(ようは「邑」の上に災の上の字を付けた漢字、133-192)の「九勢」に強く共感して、自分自身の体験から生まれたもの」としている。

さらに「私の作品の中で、線は最も大事な要素である。常に『生命線』の意識が根底にある。身体運動で対象との共感をよりリアルに表現し、ズレることによって、形は浮かんでくる。肖像の場合、その人の人生を描き出す。脈動、呼吸、生命の軌跡と未来へ紡いでいくエネルギーを出そうとしている。 生命線は私の作品の中、隔てるものであり、つながるもの」と考えている。

江上越さんは1994年千葉県生まれ、2016年に中国の中央美術学院を卒業、2017年にドイツのHfG(The Karlsruhe University of Arts and Design、カールスルーエ芸術デザイン大学)に留学、2019年に中央美術学院大学院で修士を修了し、2022年に同大学院博士課程を修了、海外での経験をもとに、コミュケーションをテーマとする作品を発表している。

2020年にForbes China、2021年にForbes Asia世界を変える30歳以下の30人に選ばれ、2021年に文化庁の新進芸術家に選出されてアメリカ・ニューヨークに派遣され、アジアンアートプライズ2019のファイナリストに選ばれ、2022年にNet a Porter が選ぶアート界を変える世界の女性6人に選出され、「BEST ARTIST PRIZE(ベスト・アーティスト・プライズ)2023」を受賞している。

1994年千葉県生まれ。2022年中央美術学院(北京)博士課程修了、2017年カールスルーエ造形大学(ドイツ)に留学、2020年文化庁新進芸術家海外派遣により渡米、「東洋的な油絵」の探求やミスコミュニケーションをテーマに制作している。

6日19時から19時40分まで江上越さんとACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル日本財団)理事の渡辺純子さんによるトークイベントを開く。

開場時間は11時から20時(最終日は18時)。入場は無料。