中央の百貨店7月、5店共+、訪日外国人好調の陰で国内客低迷へ

(終わりの方に参考として6月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年8月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の7月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは29カ月連続となっている。

7月の売上高が38.5%増と4割に近い伸びを示した松屋銀座店。訪日外国人観光客売上高は過去最高となった。

7月は休日数が前年同月比2日減だったことによるマイナスの影響が見られたものの、訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)が「6月と同水準で、好調を継続」(三越伊勢丹ホールディングス)しており、「ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が伸びて、全体を押し上げ」(高島屋)、松屋銀座店では「過去最高」を記録している。

しかし、訪日外国人観光客売上高を除いた国内売上高は高島屋が0.9%増、J.フロントリテーリングが0.2%減と低迷しており、大手百貨店は訪日外国人観光客への依存を強めている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比6.5%増(6月速報値17.2%増、確定値16.1%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、6月の商品別では、子ども服・洋品、その他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは29カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同26.0%増(同速報値39.2%増、確定値39.2%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、6月の商品別ではサービスのみがマイナス、ほかはプラス)と35カ月続けてプラスとなった。

7月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、前年比は三越伊勢丹計で同11.3%増、国内百貨店計で7.2%増だった。また、伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越の3店舗共に13カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。

商品別では、6月までと同様に、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾、時計、化粧品などが引き続き好調だった。また、気温上昇に伴い、サングラス、カットソー、ブラウス、パンツなどの夏物アイテムへの関心も高かったとしている。

訪日外国人観光客売上高は、国内百貨店計(既存店)で6月と同水準で、好調に継続している。全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同6.2%増(同速報値19.0%増、確定値18.8%増、6月の高島屋の商品別売り上げは家具、食堂・喫茶のみがマイナス、ほかはプラス)と34カ月続けてプラスとなった。

7月の店頭売上高は、国内百貨店計(13店舗+EC)で同8.1%増、2019年7月比15.7%増、2018年7月比14.4%増だった。国内顧客は、婦人ブラウス、パンツなどの夏物衣料(正価品)や旅行用品に動きが見られた。また、訪日外国人観光客売上高は、引き続きラグジュアリーブランドを中心とする高額品が伸びて、全体を押し上げたとしている。

訪日外国人観光客売上高は82.9%増、2019年7月比148.3%増、2018年7月比147.7%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同0.9%増、2019年7月比5.8%増、2018年7月比4.6%増。

商品別売上高(14店舗ベース)では、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、スポーツ、リビングが前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同7.6%増(同速報値14.4%増、確定値14.5%増)と34カ月続けてプラスとなった(6月の全店の商品別売り上げはその他衣料品、その他雑貨、家具、その他食料品がマイナス、他はプラス、6月の訪日外国人観光客売上高は前年同月比133.0%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同9.0%増)。

7月は、休日が対前年比2日減だったことによるマイナス影響があったものの、ラグジュアリーブランドや化粧品が引き続き好調を持続し、気温の上昇に伴い、サマーニットやカットソーなどの夏物衣料品が活発に動いた。大丸松坂屋百貨店合計では同10.0%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計でも同10.0%増だった。店舗別では、15店舗中9店舗が前年実績を上回った。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は、名古屋店、札幌店、静岡店が前年比3倍となるなど、同111.8%増(客数同79.7%増、客単価同17.9%増)となった。2019年7月比115.4%増、2018年7月比142.9%増だった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などを除く13店舗)の売上高は同9.5%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く国内売上高は同0.2%減だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同38.5%増(同速報値35.2%増、確定値35.2%増、6月の商品別では家具、食料品、サービス・その他がマイナス、ほかはプラス)と35カ月続けてプラスとなった。

7月の銀座店は、化粧品が前年比約54%増、ラグジュアリーブランドが同約65%増、時計が同約20%増、宝飾も同40%増になるなど、売り上げを大幅に伸ばした。訪日外国人観光客売上高については、円安なども要因となり前年比約115%増となった。速報ベースで、銀座店の売上高、訪日外国人観光客売上高においては、過去最高となった(6月の公表では、訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は約55%)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社177店舗(4月対比0店)の6月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比14.0%増の5018億3247万円と、28カ月続けてプラスとなり、好調を維持している(2019年6月比8.2%増)。

平年より遅い梅雨入りで晴天の日が多かったことなどから外出機運が高まった他、各社企画の外商催事や会員施策、食品催事も寄与した。訪日外国人観光客売上高と高付加価値商材は引き続き活況で、天候要因から盛夏アイテムも好調だった。結婚式などオケージョンニーズも見られた。また、中元商戦は、こだわりの素材やパーソナルギフト、自家需要などライフスタイルの変化に即したさまざまな商品提案が好評で、堅調に推移した。入店客数も6.4%増となった。

顧客別では、訪日外国人観光客売上高が、円安を追い風に同135.5%増の661億2000万円(27カ月連続、シェア13.2%)と、5月に次ぎ(2024年5月718億円、4月599億円、3月495億円)、調査開始以来、2番目に高い数値となった。2019年6月比でも133.8%増と前月(132.4%増)並の数値となった。

一方、国内市場は前年比5.7%増(2カ月続けてプラス、シェア86.8%)と好調で、2019年6月比でもほぼ同水準となった。

地区別では、増勢が続く訪日外国人観光客需要と高額品が好調な9地区(10都市ベースで、33カ月連続、17.1%増)で前年実績を超えた。この内、7地区(札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)ではふた桁増を記録した。一方、6地区で前年実績を超えた地方(10都市以外の7地区、3.8%増)は、3カ月ぶりにプラスだった。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)すべてで前年をクリアした。ラグジュアリーブランドのバッグなど身のまわり品や、時計・宝飾など高額商材、化粧品は国内外共に好調だった。天候要因から夏物衣料も動いた。食料品は生鮮食品が価格高騰の影響で前年割れとなったが、菓子がギフトや訪日外国人観光客需要で3カ月ぶりにプラスに転換した。食堂喫茶では、ビアガーデンやバーベキューも盛況だった。

全国の百貨店の6月の営業日数は前年より0.1日少ない29.8日、104店舗の回答によると、入店客は71店が増え、11店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の6月の売上高は前年同月比16.0%増の1578億892万円と、
34カ月続けてプラスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客による6月の売上高は同135.5%増の約661億2000万円と27カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが13.2%としている。

このうち、一般物品売上高は同140.9%増の約577億円と39カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が104.4%増の約84億2000万円と23カ月続けてプラス、購買客数が同92.3%増の約57万9000人と26カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同22.5%増の約11万4000円で、5カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアとなっている。