【銀座新聞ニュース=2024年9月6日】Art Gallery M84(中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル、03-3248-8454)は9月9日から10月5日までエドワード・レビンソンさんによる写真展「フランスの光」を開く。
ピンホール写真の第一人者とされているアメリカの写真家、エドワード・レビンソン(Edward Levinson)さんは40年近くピンホール写真に取り組んでおり、今回もひそやかな大地の声(Whisper of the Land)を聞き、フランス(アルル、リオン、パリなど)の日常の自然の中に“ひらめきの瞬間”など不思議な光をピンホール・カメラで撮影した、未発表の作品で、モノクロームプリントによる約35点を展示する。
エドワード・レビンソンさんは1985年から写真撮影を再開し、「私の手法は常に、カメラを、自身の目で見、そして自己の内部で感じたものとの架け橋にすること」としている。
また、ピンホール・カメラで制作した短編映画「東京物語」は「LOS ANGELES FILM REVIEW INDEPENDENT FILM AWARDS(ロサンゼルス・フィルム・レビュー・インデペンダント・フィルムアワード)2015」で「Best Cinematography(ベスト・シネマトグラフィー)など6件の国際映画コンペに入選している。
短編映画「パリの光」は、5つの賞を受賞している。さらに、2024年7月24日から28日まで開かれたバルセロナ(スペイン)の実験写真フェスティバルに招待され、「マインド ゲーム」写真展、デジタルピンホールムービーワークショップ、「さまざまなピンホール体験」をテーマにした、コンファレンス パネリストとして参加した。
今回の「フランスの光」については、エドワード・レビンソンさんは2013年から2018年の間に4回、数種のピンホール・カメラを携えてフランスを訪れた。「私が訪ねた6地域は、どこも素晴らしい特質をもっていた。ボージョレーの友人の旧い庭園。地元の写真家に案内されたルー川河畔の谷。秋のモネ(Claude Monet、1840-1926)の庭、ゴッホ(Vincent.W.van Gogh、1853-1890)が愛したアルルの町、映画祭の街カンヌ、16世紀の詩人ピエール・ド・ロンサール(Pierre de Ronsard、1524-1585)が住んだトゥールの僧院、そしてパリの街を何時間も歩き回った。これらの光のスポットに、私は現在と過去の真髄を見出した」としている。
ウイキペディアなどによると、ピンホール・カメラは、レンズを使わずに針穴(ピンホール)を利用したカメラで、「針穴写真機」ともいう。単純なピンホール・カメラは、箱の中の一面に感光素材を貼り、反対面にピンホールを開けたものである。ピンホールを通り抜けた光は、感光素材上に像を結び、露光時間さえ十分であれば、現像によって像を得ることができる。
ただ、撮影しようとする物体が180度反転されて、倒立した画像がフィルム上に作られることになる。また、ピンホール・カメラは、近いものから遠いものまでボケずに写すことができるという利点がある。
また、像を得るためには感光素材だけでなく、感光する素材であれば何でもよく、CCDイメージセンサなどでも利用できる。ピンホール・カメラには焦点距離という概念はなく、調節する機構が存在しない。きちんとした像を得るためには、ピンホールの大きさは、一般的に0.2ミリから0.5ミリ程度とされている。
光量を得られにくいので、通常のカメラと比較すると、長い露出時間を必要とし、典型的露出時間は1秒から数時間、場合によっては1日くらいまで露出することがあるとしている。
エドワード・レビンソンさんは1953年アメリカ・バージニア州生まれ、1973年にバージニア州立コモンウェルス大学で写真を学び、1979年より日本に在住し、1985年より写真撮影を再開し、1990年より撮影関連書籍を出版している。1993年からアナログのピンホール・カメラで撮影をはじめ、「癒す風景」としてシリーズ化している。
フィルムカメラ、ピンホール・カメラ、デジタルカメラで撮影し、モノクロ銀塩写真はすべて自身の暗室作業でプリントし、最近はピンホール・カメラによる動画の制作にも取り組んでいる。個人ギャラリー「エドフォト」を自宅に併設している。日本写真協会、ピンホール写真芸術学会、アメリカ・ポンホール・リソース(PINH0LE RES0URCE)、日本ペンクラブの各会員。
9月14日16時から17時30分までエドワード・レビンソンさんによる「ピンホール写真」をテーマに、ギャラリートークとピンホールムービー上映会を開く。短編ピンホール映画「Paris de Light」はプレミア上映になる。先着15人まで。
開場時間は10時30分から18時30分(最終日17時まで)、日曜日は休み。入場料は500円。展示作品はすべて販売する。