ポーラ銀座ビル15周年でマティス展、福井利佐の切り絵も

【銀座新聞ニュース=2024年9月30日】化粧品業界国内4位のポーラ・オルビスホールディングス(中央区銀座1-7-7、ポーラ銀座ビル、03-3563-5517)が運営するポーラミュージアムアネックス(ポーラ銀座ビル、03-3563-5501)は10月4日から27日まで「マティスー色彩を奏でる」を開く。

ポーラミュージアムアネックスで10月4日から27日まで開かれる「マティスー色彩を奏でる」のフライヤー。作品はポーラ美術館が収蔵している「リュート」(1943年作)。

ポーラ銀座ビルが2009年にグランドオープンして15周年を迎えたのを記念して、フランスの画家で「色彩の魔術師」と呼ばれ、フォーヴィスム(Fauvisme、野獣派)のリーダ-的存在だったアンリ・マティス(Henri Matisse、1869-1954)の個展を開く。

アンリ・マティスが生涯を通して描き続けた室内画の作品で、ポーラ美術館が収蔵している「リュート」(1943年作)をはじめとした絵画5点と、晩年の傑作と言われる「ジャズ」(全20図)を展示する。

また、会期中は、赤ちゃん連れでも来場できる「赤ちゃんとの鑑賞会」や、認知症の方を含む高齢者を対象にした対話型鑑賞会などのプログラムも用意している。さらに、切り絵アーティストの福井利佐さんを講師に招き、マティスの切り絵の技法を取り入れたワークショップも開く。

ウイキペディアによると、アンリ・マティスは1869年フランスのル・カトー=カンブレジ生まれ、1887年に父親の命でカトー=カンブレジの裁判所の管理者の資格を得るためにパリで法律を学び、1888年に法科資格試験に合格、その後しばらくはサン・カンタンの法律事務所の書記として働いた。

1890年に盲腸炎の療養中に絵画に興味を持つが、ボザールへの入校は許可されず、教官ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau、1826-1898)から個人指導を受ける。初期は写実的なものを志したが、次第に後期印象派の影響を受け、自由な色彩による絵画表現を追究し、大胆な色彩を特徴とする作品を次々と発表し、「フォーヴィスム(野獣派)」と呼ばれるようになる。1898年にはアメリー・パレイル(Amelie Parayre)と結婚した。同年、印象派の画家カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro、1830-1903)の勧めを受け、ロンドンでJMWターナー(Joseph Mallord William Turner、1775-1851)を研究した。

フォーヴィスムとしての活動は1905年から3年ほどで、以降は比較的静かで心地のよい作品を描くようになり、線の単純化、色彩の純化を追求した結果、切り絵に到達する。晩年、南フランス・ヴァンスのドミニコ会修道院ロザリオ礼拝堂の内装デザイン、上祭服のデザインを担当、切り紙絵をモチーフにしたステンドグラスや、白タイルに黒の単純かつ大胆な線で描かれた聖母子像などは、20世紀キリスト教美術の代表作と目される。

また、緑好きが高じてアトリエにはテーブルの上に所狭しと並べられた多様な花や身の丈を越す巨大な観葉植物などを置き、植物園のようであった。鳥も多い時には300羽も飼っていたといわれている。腸の手術によって体力がなくなっていくと、油絵から「切り紙絵」へと制作手法を変え、アシスタントに色紙を作ってもらい、はさみで切り抜いて作品を作り上げた。体調の変化で作品にも変化が現れ、自然から受ける感覚、感触をダイレクトに現すようになった。花や植物から感じる安らぎを心の目で見て、はさみを使い生命力を感じさせる原色の切り絵に投影していった。1954年11月3日、ニースで心臓発作により、死去した。

7日は11時から12時30分、14時から15時30分は対話型鑑賞会で、進行役のファシリテーターと共にアンリ・マティスの作品を見ながら、感じたり思ったりしたことを自由におしゃべりできる。午前は定員が15人、午後が65歳以上限定で8人。認知症の人はその介護者を含む。いずれも事前予約制。

13日15時から30分間、ポーラ美術館学芸員によるギャラリートークを開く。入場は自由。

13日と14日の10時から11時30分まで、福井利佐さんによる切り絵のワークショップを開く。福井利佐さんが「色彩を奏でる」をテーマに、アンリ・マティスの技法を取り入れた切り絵作品を制作する。カッターやはさみを使用する。各回とも定員は8人で、事前予約制。参加費は無料。

福井利佐さんは1975年静岡県静岡市生まれ、多摩美術大学グラフィックデザイン専攻を卒業、1999年にJACA日本ビジュアル・アート展で特別賞を受賞し、2013年にポーラミュージアムアネックスで個展を開いている。

中島美嘉さんのCDジャケットアートワーク、Reebok(リーボック)とのコラボスニーカーの制作、ユニクロ「UT」への参加、直木賞作家の桐野夏生さんや木内昇さんの小説の挿画や装丁、NHK太宰治短編小説集「グッド・バイ」の映像制作、NHK「猫のしっぽカエルの手」オープニングタイトル制作なども手がけている。

15日11時から15時まで赤ちゃん鑑賞会を開く。0歳児から2歳まで、保護者と一緒に鑑賞できる。会場では赤ちゃんが落ち着くBGMを流し、ベビースペースも用意し、ベビーカーでの観覧も可能。

開場時間は11時(13日と14日は12時)から19時(入場は18時30分まで)。入場は無料。7日(対話型鑑賞会の日で事前予約者のみ)、15日(赤ちゃん鑑賞会で事前予約者のみ)、21日は休み。事前予約制はネット<https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/event/20240912.html>から予約する。