和光で田村能里子「素描」展、飛鳥Ⅲに飾られる「ミューズ」4点も

【銀座新聞ニュース=2024年9月24日】国内時計業界第3位のセイコーホールディングス(中央区銀座1-26-1)グループの百貨店、和光(中央区銀座4-5-11、03-3562-2111)は9月26日から10月6日まで6階セイコーハウスホールで「田村能里子素描展-凛とつややかに」を開く。

和光で9月26日から10月6日まで開かれる「田村能里子素描展-凛とつややかに」に出品される「四季のミューズ 秋」。2025年夏に就航予定のクルーズ客船「飛鳥Ⅲ」(郵船クルーズ)の「フォーシーズン ダイニングルーム」に設置される予定で、四季をテーマとした4作のうち、「秋」をテーマにした作品。

見つめるまなざし、しなやかな指先、美しさと力強さを湛える女性像を描き続けている画家・田村能里子(のりこ)さんが2009年以来、15年ぶり3回目の個展を和光で開く。

田村能里子さんは1969年にインドで制作の原点ともいえる女性のモデルたちと出会い、以後、シルクロードやタイなどの各地で生命感溢れる「姿」を求め、描き続けている。今回は「素描」を基にして描いた「四季のミューズ」と題した4枚の壁画(全長12メートル)の展示を中心に、壁画に描かれた場面と素描のつながりを感じ取る40余点を展覧する。

田村能里子さんは「絵の修業を重ねてきて60年、素描はいつも目の前にある、壁画やタブロウといった成画の土台となる大切な過程」とし、「修業の終盤に差し掛かった今、今まで描き貯めてきた『過程』を並べ観ていただくことで新しい対話が生まれてくるのではないか」という思いを込めている。

田村能里子さんは今から55年前「ひとのかたち」という造形に惹かれ、初めて踏んだインドで、その原点ともいえるような女性のモデルたちに出会い、「彼女たちの素肌、素顔、素手、素足すべてが『素のかたち』として素描したくなる魅力に溢れていた」という。滞在した4年間、ほとんど毎日コンテを握り、帰国する頃には、画は「千の桁」を超える数になっていた。また、30年前、こんどは3年間滞在したタイで「女性のたおやかさに出会い、これも今の素描に活かされて」いるという。

田村能里子さんは初代飛鳥(1991年12月に就航、2006年にドイツの船会社に売却)、2006年3月に就航した「飛鳥Ⅱ」(現在も運行中)にも自ら描いた絵画が船内に飾られており、今回の「飛鳥Ⅲ」でも「フォーシーズン ダイニングルーム」に「四季のミューズ」4点が飾られる。

田村能里子さんは1944年愛知県一宮市生まれ、1966年に武蔵野美術大学油絵実技専修科を卒業、1969年から1973年までインド・カルカッタ(現コルカタ)に滞在、1982年に昭和会展で優秀賞、1983年に現代の裸婦展で大賞、1985年に和光で個展、1986年に文化庁在外研修員として北京中央美術学院に留学、1988年に日本青年画家展で優秀賞、1989年に壁画「二都花宴図」(中国・西安)に対し、中国政府より軒轅杯(けんえんはい、軒轅は古代中国の伝説上の帝「黄帝」の名)国際特別賞、同年に前田寛治大賞展で佳作賞、1995年から1998年にタイ・バンコクに滞在、2009年に和光で個展を開いている。、

開場時間は11時から19時(最終日は17時)まで。入場は無料。