中央の百貨店9月、5店共+、訪日外国人需要が強くラグジュアリー好調

(終わりの方に参考として8月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年10月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の9月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは31カ月連続となっている。

中央の百貨店5店の中で、4月の売上高(店頭ベース)でほかが30%を超える中、前年比23.3%増と唯一、20%台にとどまった日本橋高島屋。

9月は、連日の厳しい暑さや週末における台風の影響などにより、「秋物ファッションの動きが鈍かった」(J.フロントリテーリング)ものの、9月後半に気温が下がると、「薄手のジャケットやアウターなどの秋冬アイテムへの関心の高まりがみられた」(三越伊勢丹ホールディングス)ようだ。また、訪日外国人観光客売上高を除いた国内売上高は高島屋で前年同月比8.3%増、J.フロントリテーリングが同3.5%増と8月に比べると改善している。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比2.9%増(8月速報値3.7%増、確定値3.4%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、8月の商品別では、呉服寝具ほか、化粧品、家庭用品計、食料品、サービス、その他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは31カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同12.2%増(同速報値12.8%増、確定値12.8%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、8月の商品別では紳士服・洋品、美術・宝飾・貴金属、家庭用品計、その他がマイナス、ほかはプラス)と37カ月続けてプラスとなった。

9月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、三越伊勢丹計で同2.4%増、国内百貨店計で同1.6%増だった。

9月後半に気温が下がると薄手のジャケットやアウターなどの秋冬アイテムへの関心の高まりがみられた。ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのハンドバッグ、宝飾、化粧品などが堅調に推移した。また、訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)は前年を超えて推移しており、全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。

同じく12.2%増と伸ばした銀座三越。この2店舗のみが10%以上の伸びを記録した。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同14.8%増(同速報値9.3%増、確定値2.2%増、8月の高島屋=国内14店舗ベース=の商品別売り上げはその他衣料品、家電、その他家庭用品、生鮮食品、食堂・喫茶、美術・宝飾品・貴金属がマイナス、ほかはプラス)と36カ月続けてプラスとなった。

9月の店頭売上高は、国内百貨店計(12店舗+EC)で同9.5%増、訪日外国人観光客売上高は20.4%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同8.3%増だった。

商品別売上高では、紳士服、紳士雑貨、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、子ども情報ホビー、スポーツ、リビング、食料品、食堂が前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同4.3%増(同速報値6.3%増、確定値6.3%増)と36カ月続けてプラスとなった(8月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、その他衣料品、その他雑貨、家具、その他食料品がマイナス、他はプラス、8月の訪日外国人観光客売上高は前年同月比39.1%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同2.7%増)。

9月は、厳しい残暑により秋物ファッションの動きが鈍かったものの、パラソル、スニーカーなどが売り上げを伸ばし、化粧品、宝飾品、ラグジュアリーブランドも引き続き好調に推移した。大丸松坂屋百貨店合計(13店舗、法人、本社等含む)では同5.4%増、関係百貨店(2店舗)を含めた百貨店事業合計では同6.2%増となった。訪日外国人観光客売上高(速報値)は同17.7%増(客数同52.4%増、客単価同22.8%減)となった

大丸松坂屋百貨店合計(法人、本社等を除く)では同5.1%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く国内売上高は同3.5%増だった。訪日外国人観光客売上高は2019年9月比50.5%増、2018年9月比80.1%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同2.4%増(同速報値16.0%増、確定値16.0%増、8月の商品別では紳士服・洋品、家具、家庭用品、食料品、食堂・喫茶がマイナス、ほかはプラス)と37カ月続けてプラスとなった。

9月の銀座店は商化粧品が前年比約33%増、ラグジュアリーブランドが同約11%増、宝飾が同約20%増になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーは好調に推移した。一方、訪日外国人観光客売上高については、為替が円高基調で推移するも前年比約34%増となるなど引き続き、全館を牽引している(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は約41%。割合は8月対比で約10ポイント強低下した)。

今後については、10月初旬からの国慶節で中国からの来日客の増大なども予想され、化粧品などを皮切りとした百貨店の強みを生かしたさまざまな商品の買い回りが進むことが想定されるとしている(ただし、9月は暑さや台風の影響などで、訪日外国人観光客売上高を除いた国内客の売上高は同約12%減)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内70社179店舗(7月比1社減、2店舗増)の8月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比3.9%増の4034億9375万円と、30カ月続けてプラスとなり、好調を維持している(2019年8月比0.3%減)。

8月は売上高(同3.9%増)、入店客数(同1.8%増)と共に30カ月連続のプラスで、台風や大雨などによる一部店舗の臨時休業や時短営業などのマイナス要素はあったが、引き続きラグジュアリーブランドなどの高付加価値商材と訪日外国人観光客が牽引した。記録的な猛暑を背景に盛夏アイテムが好調だったほか、帰省や旅行ニーズによる関連商品も動いた。各社が企画した外商顧客向け催事や会員施策も活況で、夏休みのファミリーイベントや物産展などの食品催事も奏功した。コロナ前の2019年8月比はほぼ同水準で推移している。

顧客別では、訪日外国人観光客売上高は為替相場がやや円高に振れたものの、売上高463 億円(同45.7%増、29カ月連続、シェアが11.5%)、購買客数45.3万人(同44.8%増)とプラス基調は続いており、いずれも8月として過去最高を記録した。本年1月から8月の累計でも前年同期比133.0%増の4441億円で推移している。

一方、国内市場は食料品が苦戦したが、高額商材と盛夏アイテムが好調で、7月より1.5 ポイントアップの同0.2%増(シェア88.5%、7月は1.3%減、シェアは87.4%)とプラスに転換した。2019年8月比で5.9%減。

地区別では主要都市(10都市)のうち、9地区で対前年で増加し、富裕層顧客向け催事が盛況だった。また、訪日外国人観光客需要と高額消費、盛夏商材が牽引した。とくに札幌はリニューアル効果などもあり二桁増だった。10都市以外の7地区の地方は5地区で前年に届かず、2カ月連続でマイナスだった。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、3品目(衣料品、身の回り品、雑貨)で前年実績をクリアした。ラグジュアリーブランドを中心としたバッグや時計、美術・宝飾など高額品が高伸した。衣料品や服飾雑貨は、盛夏商材やUV関連アイテムが好調だったほか、一部秋物商材も動いた。ただ、食料品は同1.2%減と2カ月連続でマイナスだったが、菓子は帰省や旅行、手土産需要等で健闘し、ほぼ前年並みで推移した。家庭用品も2.0%減だった。

全国の百貨店の8月の営業日数は前年より0.1日多い30.4日、102店舗の回答によると、入店客は56店が増え、21店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の8月の売上高は前年同月比6.6%増の1210億6629万円と36カ月続けてプラスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客による8月の売上高は同45.7%増の約463億2000万円と29カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが11.5%としている。

このうち、一般物品売上高は同44.9%増の約394億6000万円と41カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が50.3%増の約68億6000万円と25カ月続けてプラス、購買客数が同44.8%増の約45万3000人と28カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同0.6%増の約10万2000円で、7カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。