丸善日本橋で西岡夫婦と天本菜穂子が手・針仕事展、ジャケット等

【銀座新聞ニュース=2024年10月6日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は10月9日から15日まで3階ギャラリーで「第7回アナンダ工房・アミーナコラボ 西と東、装いの手仕事、針仕事展ーインド・ベンガルのカンタとヨーロッパのニードル刺繍レース」を開く。

丸善・日本橋店で10月9日から15日まで開かれる「アナンダ工房とアミーナコラボ 西と東、装いの手仕事、針仕事展」に出品されるアナンダ工房のカシミアウールにカンタ刺繍のコート。

染織家の西岡由利子さんと夫で織を手がける西岡直樹さんの主宰する「アナンダ工房」(千代田区神田須田町1-17-11、03-3828-2725)と、天本菜穂子さんが代表取締役を務めるルーマニアの伝統工芸レース販売の「アミーナ(Amiina)」(福岡県福岡市中央区黒門2-5、092-517-4253)がコラボして、インド・ベンガルのカンタ刺繍と、ルーマニアのニードル刺繍レースを販売する。

アナンダ工房はウールなどの布を素材に、室内でも着られるジャケットやコート、ワンピース、スカート、ベストなどを出品する。アナンダ工房では「糸の破線に、糸の破線が寄り添うと、糸たちはにわかに何かを語り始め、その声に耳を傾け、次の糸を選」んでいる。そうしてできたアナンダ工房の図柄に、カンタの達人ロティカさんが刺繍を施し、アナンダ工房で仕上げている。

「CALICO」によると、「カンタ(Kantha)」とは、ベンガル地方などで女性が家の中で古くなったサリーを重ねて刺し子刺繍を施し、主に赤ちゃんのおくるみや敷物として使ってきたものをさす。布を重ねてシンプルな直線を施したラリーキルトや、刺繍で村の様子や現地の鳥や花々などを隙間なく刺して、その周りの空間を素朴なスティッチで埋めたノクシカンタ、ノクシカンタとは逆にモチーフの周りだけを隙間なく刺すバルバトカンタ、すべてを埋め尽くしたスジュニカンタなどがある。「カンタ」とは「刺す」を意味する言葉という。

同じく出品されるアミーナのカフェオレ色のジャケット。

天本菜穂子さんによると、ルーマニアのニードル刺繍レースはルーマニアを含めバルカンや東ヨーロッパで見られる珍しい手編みレースで、一般のレースが狩猟用の「網」が原型といわれ繊細さが特徴なのに対して、ニードル刺繍レースは立体感が加わり、一線を画している。完成までに膨大な時間を必要とし、手間が大変かかるので、次第に作れる人が少なくなっている。

アナンダ工房は1970年代からインドのウエストベンガル州で、インドの職人である友人たちと一緒に手染と手織りの工房を運営し、その布でオリジナルの服を作っている。素材と色はできる限り自然のものを使っている。インドの樹染めは、沙羅双樹、パラミツ(常緑の高木の果樹)、菩提樹(ぼだいじゅ、インドボダイジュ、高さ20メートル以上に生長する常緑高木で、イチジク属)、アンマロク(別名はゆかんで、果実でハーブのひとつ)などの植物を使用している。

また、2012年西岡直樹さんが文章を、西岡由利子さんがさし絵をてがけた「花みちくさ-身近な植物をめぐる210話」(平凡社)を刊行している。

西岡直樹さんは1946年宮崎県生まれ、宇都宮大学農学部を卒業、1973年から1978年まで、インド・西ベンガル州のシャンティニケトン大学、コルカタのジャドブプル大学でベンガル語を学び、インドの村々をめぐり、昔話や植物の話を採話している。

西岡由利子さんは1950年東京都生まれ、武蔵野美術短期大学油絵科を卒業、インド・タゴール大学で古典絵画、ジャドブプル大学でベンガル語、バナスタリ大学で細密画とインド木版更紗を研究調査している。

天本菜穂子さんは熊本県熊本市生まれ、1985年に九州大学を卒業、1993年から3年間、ルーマニアで生活し、現地の手編みレースに触れて、1997年にルーマニアの伝統工芸レース販売の「アミーナ(Amiina)」を設立し、ニードル刺繍レースなどの販売を手がけている。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。