【銀座新聞ニュース=2024年10月23日】国内百貨店業界売上高3位の日本橋高島屋S.C.(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は10月23日から11月11日まで本館6階美術画廊Xで村山秀紀さんによる「現代美術の室礼Ⅱー村山秀紀の眼と手」を開いている。

日本橋高島屋S.C.で10月23日から11月11日まで開かれている村山秀紀さんの「現代美術の室礼Ⅱー村山秀紀の眼と手」に出品されている村山秀紀さんが額装まで手がけた「19Cブックマーク(シェイクスピア生誕300年記念)」。
表具師で作家、「立入好和堂(たちいり・こうわどう)」(京都府京都市中京区蛸薬師通富小路東入油屋町139、075-221-4607)の3代目である村山秀紀(ひでき)さんが2019年11月に日本橋高島屋で開いた「現代美術の室礼ー村山秀紀の見立て」の第2弾となる展示会で、既存の常識にとらわれない独創的な表具で注目される村山秀紀さんは、紙、絹のみならず、陶器やガラス、キャンバスに描かれた絵画までも、表装対象の「本紙」としている。
一方で、高島屋によると、襖(ふすま)や屏風、掛け軸、工芸品など、日本の美術は室内装飾や実用品としてくらしの中で生まれ発展してきた。日本人はそれらを用い、年中行事や節句、季節を告げる室礼(しつらい、しつらえ)として空間を飾り、祝い事や、神仏・自然への敬意、四季の移ろいへの思いなどを視覚的に表してきた。
室礼は伝統的な決まりごとの枠内で、主人の見立てによって、時に高い美意識や思想を込めた奥深い表現となり、表具はその室礼装飾にとって重要な要素のひとつとなっている。
しかし、近代以降、生活様式が西欧化してきた日本では、室礼の習慣はプライベートなレベルではもはや失われつつあり、その今の時代において、村山秀紀さんの眼と手によって、伝統に同時代的な機知を織り込み、高感度でスタイリッシュな現代の室礼が生み出されている。
表具師の村山秀紀さんは、日頃から蒐集してきたヨーロッパアンティークのブックマークやトワルドジュイ(toile de Jouy、主に2色使いのデザインの布や柄のことで、18世紀のデザインをモチーフとしたフランスの伝統的なデザイン、生地)、アメリカのプリント古布、江戸期の小袖の一部などを「本紙」に見立てたオリジナルの新作表装作品を中心に、現代アート作品を村山秀紀さん独自の感性で表装したアーティストとのコラボ作品も発表している。
コラボしているアーティストは淺井裕介さん、女流作家の束芋(たばいも)さん、町田 久美さん、宮永愛子さん、森村泰昌さんの5人。
ウイキペディアによると、「室礼」は建具や調度を配置して、儀式の場を作ることで、主に寝殿造において、柱だけの開放的な空間を御簾、几帳、壁代などのカーテン類、屏風や衝立などのパネル類、押障子や鳥居障子などの取り外し可能な建具などで仕切り、必要な場所に畳や二階棚などの家具・調度を配置して、儀式の場を作る。
史料としては「類聚雑要抄(るいじゅう・ぞうようしょう)」(1146年ころに作成)の他、「満佐須計装束抄(まさすけ・しょうぞくしょう)」(平安時代末期に源雅亮=みなもとの・まさすけ、生没年不詳=によって書かれた)、鎌倉時代前期に順徳天皇(1197-1242)によって制作された「禁秘抄」(1221年に成立)が知られている。
村山秀紀さんは1952年東京都生まれ、大学卒業後証券会社に勤務、1983年から京都で夫人の実家である「立入好和堂(たちいり・こうわどう)」(京都府京都市中京区蛸薬師通富小路東入油屋町=なかぎょうく・たこやくしどおり・とみのこうじ・ひがしいる・あぶらやちょう=139、075-221-4607)にて義父の指導を受けて、表具師の修業に入る。現在は3代目として家業を継承し、同時に作品を独創的に表装する作家としても制作している。
開場時間は10時30分から19時30分(最終日は17時30分)。入場は無料。