(終わりの方に参考として9月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年11月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の10月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは32カ月連続となっている。
10月は、休日が前年より1日少なく、年間夏日の最高日数を更新するなど気温が平年より高く推移したことにより、秋冬物衣料品へのマイナス影響があったが、「下旬になり、1日の寒暖差が大きくなり始めるとジャケットやアウターなどの関心の高まりがみられた」(三越伊勢丹ホールディングス)としている。また、中国の国慶節期間中だったこともあり、各社とも訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)を大きく伸ばした。
ただ、高島屋、J.フロントリテーリングのように、訪日外国人観光客を除いた国内客の店頭売上高がマイナスになるところも出はじめている。
三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比0.2%増(9月速報値2.9%増、確定値2.3%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、9月の商品別では、子ども服・洋品、美術・宝飾・貴金属、その他雑貨、その他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは32カ月続けて前年を上回った。
一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同10.1%増(同速報値12.2%増、確定値12.2%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、9月の商品別では呉服寝具ほか、美術・宝飾・貴金属、その他がマイナス、ほかはプラス)と38カ月続けてプラスとなった。
10月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、三越伊勢丹計(5店)で同4.5%増、国内グループ百貨店計(5店を除いた10店)で同2.2%減、国内百貨店計(全15店)で同2.0%増だった。
10月はラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのハンドバッグ、宝飾、化粧品などは堅調に推移した。しかし、10月前半は気温が高く、防寒アイテムに対する購買マインドが上がらなかったが、下旬になり、1日の寒暖差が大きくなり始めると、ジャケットやアウターなどへの関心が高まった。
訪日外国人観光客売上高は前年を超えて推移し、全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。
日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同5.7%増(同速報値14.8%増、確定値14.9%増、9月の高島屋=国内12店舗ベース=の商品別売り上げは生鮮食品、惣菜、その他、サービスがマイナス、ほかはプラス)と37カ月続けてプラスとなった。
10月の店頭売上高は、国内百貨店計(12店舗+EC)で同2.7%増、訪日外国人観光客売上高は同35.1%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同1.3%減だった。商品別売上高では、婦人雑貨、特選衣料雑貨、食堂、サービスが前年実績を上回った。
J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同3.6%増(同速報値4.3%増、確定値4.1%増)と37カ月続けてプラスとなった(9月の全店の商品別売り上げはその他衣料品、その他雑貨、家具、家電、生鮮、その他食料品がマイナス、他はプラス、9月の訪日外国人観光客売上高は前年同月比18.1%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同3.9%増)。
10月は、休日が前年同月に比べ1日減であったことや、気温が平年より高く推移したことによる秋冬物衣料品へのマイナスの影響があったものの、ラグジュアリー、化粧品、時計などの売り上げが好調で、大丸松坂屋百貨店合計(13店舗、法人、本社等含む)では同2.3%増、関係百貨店(2店)を含めた百貨店事業合計(15店舗、法人、本社等含む)では同2.4%増となった。
訪日外国人観光客売上高(速報値)は同27.8%増(客数同45.1%増、客単価同13.6%減)となった。
大丸松坂屋百貨店合計(関係百貨店2店、法人、本社等を除く)では同1.6%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く国内売上高は同1.8%減だった。訪日外国人観光客売上高は2019年10月比79.2%増、2018年10月比52.5%増だった。
松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同14.9%増(同速報値2.4%増、確定値2.4%増、9月の銀座店の商品別では呉服寝具ほか、家電、家庭用品、サービス・その他がマイナス、ほかはプラス)と38カ月続けてプラスとなった。
10月は化粧品が前年比約38%増、ラグジュアリーブランドは同約21%増、宝飾は同約4%増になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーは好調に推移した。一方、訪日外国人観光客売上高も前年比約41%増となるなど引き続き全館を牽引している(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は前年比8.6ポイント増の約47%)。また、依然、秋らしくない気温等の諸条件を受けながらも、カードホルダーなどへの各種施策が奏功し、訪日外国人観光客売上高を除く国内客の売上高は前年を上回っている。
日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内70社178店舗(8月比1店減、前年同月比2社、2店舗減)の9月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比2.3%増の4229億2410万円と、31カ月続けてプラスとなり、好調を維持している(2019年9月比14.8%減)。
9月は売上高(同2.3%増)、入店客数(同1.6%増)と共に31カ月連続のプラスで、増勢が続く高付加価値商材と訪日外国人観光客需要が牽引した。猛暑日が続く記録的な残暑の影響を受け、秋物など季節商材の動きは鈍かったが、夏物アイテムやUV(紫外線)ケア商品などは好調に推移した。各社が企画した物産展などの食品催事、外国展、外商顧客催事など各種施策も売り上げと集客に寄与した。コロナ前の2018年9月比は4.4%増であった。
顧客別では、訪日外国人観光客売上高は為替相場が円高に振れる中、売上高397億円(同21.6%増、30カ月連続増、シェア9.4%)、購買客数は45万人(同40.8%増)と、共に9月として過去最高を記録した。本年1月から9月の売上高累計は4838億円(前年同期比16.7%増)で推移しており、前年の年間売り上げ(2023年1月から12月3484億円)との対比では 38.9%増となった。
一方、国内市場は高付加価値商材が好調で、前月より0.4ポイントアップの前年同月比0.6%増(シェア90.6%)と2カ月連続プラスだった。
地区別では主要都市(10都市)は訪日外国人観光客需要と高額消費などから京都、福岡など8地区で対前年比で増えた。東京は、一部店舗の改装工事に伴う影響もあり、マイナス(0.6%減)となった。同じく広島も1.5%減だった。
地方(10都市以外の7地区)では4地区で対前年比プラスとなり、3カ月ぶりにプラスに転換した。とくに近畿は訪日外国人観光客効果などから6.0%増と伸長した。
商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、食料品以外の4品目で前年実績をクリアした。ラグジュアリーブランドのバッグなど身のまわり品や、時計、美術・宝飾などは引き続き好調だった。化粧品はUVケア、フレグランス(香水)の他、秋の新作コスメやイベントも好評で二桁増だった。主力の衣料品はカジュアルウエアや薄手の羽織物などの他、下旬の気温低下によりジャケットなども動いた。食料品は価格高騰などの影響から前年割れとなったが、菓子は訪日外国人観光客需要やギフト需要、彼岸などの歳時記や栗などを使用した季節商品も好調で、3カ月ぶりにプラスに転換した。
全国の百貨店の9月の営業日数は前年より0.1日少ない29.8日、104店舗の回答によると、入店客は57店が増え、21店が減ったとしている。
東京地区(12社22店)の9月の売上高は前年同月比0.6%減の1258億2650万円と37カ月ぶりにマイナスとなった。
国内87店舗の訪日外国人観光客による9月の売上高は同21.6%増の約397億1000万円と30カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが9.4%としている。
このうち、一般物品売上高は同16.1%増の約329億7000万円と42カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同58.0%増の約67億4000万円と26カ月続けてプラス、購買客数が同40.8%増の約45万人と29カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同13.6%減の約8万8000円で、8カ月ぶりに前年を下回った。
人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が上位に入った。
免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアとなっている。