資生堂ギャラリーで渡辺志桜里インスタ展、D・チェンとトーク

【銀座新聞ニュース=2024年11月4日】国内化粧品業界首位の資生堂(中央区銀座7-5-5、03-3572-5111)は11月6日から12月26日まで資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3、東京銀座資生堂ビル、03-3572-3901)で渡辺志桜里さんによる「宿/Syuku」展を開く。

資生堂ギャラリーで11月6日から12月26日まで開かれる渡辺志桜里さんの個展「宿/Syuku」展に出品されるインスタレーション「Sans room(サンルーム)」(バクテリア、ブルーギル、水、野菜、チューブほか)。

アーティストの渡辺志桜里さんは外来種や絶滅種といった人間と自然との間に生じる摩擦を想起させるモティーフに焦点を当てることで、人間同士に孕む課題を暗示する作品を多く手がけている。

今回は、水槽やプランターなどをホースでつなぎ、水やバクテリアを循環させて自律した生態系を構築するインスタレーションの代表作「Sans room(サンルーム)」や能の演目「翁」にインスピレーションを得て制作した新作能の映像インスタレーションなどを展示する。

自然と人間の関係によって日本の生態系が築かれてきたダイナミズムを長い時間軸で捉え、「宿」という観点から照射し、そこに孕む諸問題を浮かび上がらせると同時に、未来をどう生きるか、その手がかりを探る展示会としている。

また、渡辺志桜里さんは現代において、特に新型コロナウイルスの流行以来、人間の身体を「宿」主としてウイルスが生存している意識や、国家・コミュニティを越え、他種や他者との共生へ向かう感覚が高まっていると見ている。

インスタレーション作品「Sans room」においては、渡辺志桜里さんが幼少時から身近な遊び場であった皇居から採取した植物、魚、バクテリアなどを別々の水槽に分離させ、それぞれを繋ぎ合わせ、水を循環させることで、自動の生態系をつくり出し、それらのアップデートを重ねることによって、人類絶滅後も永続可能な生物の営みを維持しようとしている。

資生堂ギャラリーで個展を開く渡辺志桜里さん。

渡辺志桜里さんは1984年東京都生まれ、2008年に中央大学文学部仏文学専攻を卒業、2015年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業、2017年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了、2020年に東京藝術大学大学院に在籍中の渡邊慎二郎さんとの2人展を開き、2021年には初の個展を、2022年には新宿歌舞伎町能舞台で「とうとうたらりたらりらたらり あがりららりとう」を開いている。

12月13日19時から20時まで渡辺志桜里さんと情報学研究者で、早稲田大学文学学術院 教授のドミニク・チェン(Dominique Chen)さんによるトークイベントを開く。

ウイキペディアや早稲田大学のデータベースによると、ドミニク・チェンさんは1981年東京都生まれ、母親は日本人、父親は台湾出身のフランス国籍で外交官、2003年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デザイン・メディアアート学科を卒業、2006年に東京大学大学院学際情報学府修士課程を修了、2013年に同大学院博士課程を修了、博士号(学際情報学)を取得。フランス国籍を取得している。

2004年よりNTTインターコミュニケーション・センターの研究員として映像アーカイブの構築や美術展示企画に携わり、日本におけるクリエイティブ・コモンズの立ち上げに参加、2007年よりNPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパンを設立、理事に就任、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを採用した多数のプロジェクトの立案・企画・支援に従事した。

2008年4月に株式会社ディヴィデュアルを設立し(2018年にスマートニュース株式会社が買収)、ウェブ・コミュニティ「リグレト」などの企画・開発に携わる。2008年度に情報処理推進機構からスーパークリエーターとして認定され、日本におけるクリエイティブ・コモンズの普及活動によって、2008年度にグッドデザイン賞を受賞している。2015年4月より、公益財団法人日本デザイン振興会の審査員、2017年4月より早稲田大学文学学術院・准教授、2022年4月より同大教授。

開場時間は11時から19時(日曜日、祝日は18時)。月曜日は休み。入場は無料。